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大きな贈り物

 春休みに入って数日が過ぎた時、教頭先生から電話があって、私をはじめとした新3年生の役員に明日ガレージに来て欲しいという話があったんだ。

 なにやら急用があるみたいだったんだけど、一体なにがあるんだろう?


 昼過ぎから緊急で七海ちゃんたちに連絡して、翌日にガレージに集合したんだ。


 「教頭は、一体何の用なんっスかね?」

 「まさか、廃部にするとか言い出すんじゃ……」


 七海ちゃんと陽菜ちゃんが変な思考パターンの沼に溺れかかっていた。

 集合時間の数分前にやって来たのは、教頭戦と教師水野だった。


 「春休み中にご足労頂き、申し訳ありません。今日集合して貰ったのは、急遽導入になったこれについての説明があるからです」


 と教頭先生が指し示した先にあったのは、鮮やかな色合いが眩しい大型の機械だった。

 それを見た私たちは、言葉を失ったままだったんだ。

 しばらく沈黙が続いた後で七菜葉ちゃんが言った。


 「これ……リフトですよね?」


 すると


 「その通り。これは、2柱式リフトです。今回とある施設が廃業になるために放出されたものを手に入れました。2年しか使ってない極上品です」


 と教師水野が、一言発するごとに後ろを振り返りながら言った。

 どうやら、立ち振る舞いや言葉使いに教頭先生のチェックが入るみたいなんだ。


 その後、補足した教頭先生の話によると、この話を教師水野から受けた教頭先生は、以前より私たちの活動を見ていて、ジャッキアップ作業に難儀している姿を目の当たりにしていて、更に危険があるといけないと思っていた矢先のこの話だったので、即座に買い取ろうと決めて動いたのだそうだ。


 しかし、どこから出てきたのかは分からないけど、こんな極上品のリフトがやって来るのはとてもラッキーだと素直に思ったんだ。

 教頭先生の感想は当たっていて、私たちの今までの作業には、ジャッキアップに対する大変さというのがいつもついて回っていた。

 特に足回りとオイル交換という場合や、足回りとミッションやクラッチの交換などという作業の場合、今までの場合だと半地下のスペースを使おうとするとジャッキアップでの足回りやブレーキ作業ができないため、半地下の無いスペースでウマをかけたスペースに乏しい状態でミッションを抜いたりしなければならなくて大変だったのだ。


 なので、このリフトが来ることによって、同時作業の多い我が自動車部の活動にとっては、非常に作業時間と労力、更には危険性が大幅に軽減されることになるのだ。


 「凄いっス! これで、自動車部の重作業が大幅に軽減されるっス!」


 七海ちゃんが無邪気に喜んでいたけど、これに関しては部員の総意と言っていいんだよね。

 まぁ、本音を言うならパルサーやミラージュのエンジン積み替えの時にあってくれると凄く助かったんだけど、でも、これからも重作業はたくさんあるだろうから嬉しいよね。


 私たちは早速使い方についてのレクチャーを受けた後で、実際に車を持ち上げての実践に入ったんだ。

 重さ的にはサファリも余裕で持ち上げられる能力を持っているそうなので、こと、部車の整備に困るような事態は無さそうだね。それにしても、本当に軽々と車が持ち上がる様には、今までジャッキアップでは結構苦労させられている私たちにとっては見ていて清々(すがすが)しさを感じるんだよね。


 よしっ!これで春からの作業が捗りそうだね。

 なにせ、春は初手からクルーのエンジン作業で、重い6気筒エンジンの積み下ろしがあるからね。このタイミングでのリフトの導入は正直、助かるの一言だったね。


 リフト導入の件はひと段落ついたんだけど、せっかくみんなで集まったんだから、お昼前にひと作業したいねって話になったんだ。

 でもって、普通はJKが春休みに集まったら、どこかに遊びに行こうとかそういう相談になるものなんだけど、ひと作業なんてフレーズが飛び出してくるところに自動車部魂を感じちゃうよね。


 今のところ、部車の基本整備は終わってるし、やるとすればクルーの作業前準備で、スカイラインから降ろしたRB20DEエンジンのオーバーホールにチャレンジしようと思っているんだけど、そんな話をしたところ


 「せっかくだから、今から取りかかっちゃおうよ。ギリギリでやるより余裕持ってやった方が良いってば」


 と陽菜ちゃんが言ってみんなが賛成したので、エンジンクレーンを持って、ガレージの隅の古タイヤの上に置かれているRB20DEエンジンをこちらに運んでくることにしたんだ。


 「うわっ! 分かっていたけど、やっぱりRBは重いね」


 エンジンが持ち上がった瞬間、七菜葉ちゃんが言ったんだけど


 「でもって、この間はRB20DET持ち上げたんだから、それに比べれば軽くね?」


 と沙綾ちゃんが言って、みんなの笑いが起こったんだ。

 

 エンジンを目の当たりにすると結構綺麗で、本当にオーバーホールの必要があるのか?と思うほどだった。

 確かに、ボディの程度の良さからタイプMの替えボディにしちゃったくらい程度の良い車だったから、恐らくエンジンには不調とかはないと思うんだ。

 でも、せっかくのクルーへの載せ替えなんだから、載せる前にしっかりオーバーホールしておいた方が後々で面倒が起こらないと思うんだよ。

 それに、自動車部の活動としてもエンジンのオーバーホールなんて初めてだから、この機会にみんなで覚えていっちゃうのも今後の部の財産になると思うんだよ。


 私は、以前に見たオーバーホールの手順書に従って、エンジンにメスを入れていく事にしたんだ。



 

 お読み頂きありがとうございます。


 『続きが気になるっ!』『エンジンのオーバーホールなんて、簡単にできるの?』など、少しでも『!』と思いましたら

 【評価、ブックマーク】頂けますと、大変嬉しく思います。

 よろしくお願いします。

  

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