第4章 リリン(10)
「私は確かめなくちゃいけないことがあるから、ここに残るわ」
ララン姉さんがガーデンを抱きかかえ、空へ飛び立とうとしている。
私はこの場所で何が起きたのかをどうしても知りたくなり、二人とは別れることにした。ララン姉さんは反対したが、ガーデンも同じような気持ちを抱いていたようで、「あの、ラランさん。リリンは残らないと、きっとこれから先ずっと今日のことを引きずっちゃうよ」とララン姉さんを説得してくれた。
ほんの少しの間一緒にいた『共犯者』だったけれど、ガーデンは私のことをずいぶんわかってくれたのかもしれない。
ララン姉さんは「私たちの故郷で待ってるわ」と言い残し、ガーデンを連れて大空へと飛び立っていった。
「……よし」
パチン!と頬を両手で挟むと、深呼吸した。
血のにおいと鉄のにおいが入りまじり、風に乗って髪をなぐ。
私は確かめないといけない。
一体何が起きたのか。
私はいったい何に加担していたのかを。
百人ほどの人間が各々武器をとり、人間の10倍ほどの大きさの怪物と戦っている。
『太陽の花』計画によれば、(少なくとも、私が知る計画通りならばだけど)あの武器は将軍たちが人間に横流ししたもののはずだ。
この計画の最終地点は魔王様の封印を確固たるものとし、破壊神として目覚めないよう徹底的に『倒す』ことだった。
私たち魔物は、魔王様に触れた瞬間に黒い霧になってしまう。
とても悪い言い方をすれば、魔王様からしてみれば、私たちはエネルギーの源と言えるかもしれない。あの怪物はきっと、アース・フリントの力を吸収して目覚めてしまった魔王様自身なのだ。
あのか弱そうな少女が、いったいどうやってあんな姿に……とも思うが、魔物というのは常に変化を繰り返す。
あの姿が本当の魔王様の姿なのかもしれない。
でも、それでも……。
私は何も信じられなかった。
自分に起きたことが飲み込めなかった。
「だから、見逃さない。絶対に」
大きな瓦礫の陰に隠れ、私は戦いの成り行きを見つめていた。




