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校庭を歩く。プレハブ校舎と簡素なグラウンドの周囲は木々に覆われ、街を見下ろすこともできない。
今、両親はどうしているだろうか。初日の、訪れて僅か数時間で、息子は吐きそうです。
ほかの試験場へ向かった友人は、どのような試験を経ているのだろう。同じだとしたら、もう落選者は決めたのだろうか。
気楽に、興味と下心で相手を決めようと思うのだが、そううまくはいかない。相手も人間で、感情がある。試験に落ちたとなれば、落ち込むだろう。そこから復帰できる精神力は誰にあるのか。
あるいはそれを所持していなくても、誰ならば周囲の人間に助けてもらえるだろうか。
そういう消去法的な、消極的な決め方でいいのかどうかはわからないが、誰からも愛されそうで、親身になってくれる人が居そうなのは、あの子だろうか?
しばらくひとりで、あてどもない思考を繰り広げながら、あてもなく、ぐるぐると歩き回った。
校舎を振り返り、見上げて驚いた。
窓から、いちかちゃんが手を振っている。
振り返したが、これは接触には当たらないだろうかと不安になった。御子野瀬さんの姿を探したが、見当たらず、ため息を漏らす。
なんだか疲れるところに来てしまった。




