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メモとにらめっこをしていると、御子野瀬さんが帰ってきた。
彼は残念そうな顔をして、声を掛けてくる。
「五灯さんだが、やはり失格の対象になるようだ。彼女は君の意思に関わらずここで退場ということになる。本人にはもう伝えたよ」
それだけ言い切ってしまうと窓辺に寄って煙草を吹かし始めた。
「え、それってどういうことになるんですか?」
「どうもなにも」彼は無表情である。「彼女は強制退場。君が減らすのは五灯さんを抜いた九人からさらに二人、ということになった。ちょっとは荷が下りたかい」
そんなことを言う。
半ばで揉み消すと、また次のものを口に咥える。
彼とて初めての現場で、このような対応はストレスに違いないだろう。
「わかりました」
僕が言ったのはそれだけだった。
いつみちゃんはここで強制退場。何が反則に当たったのか、という説明はされない。
美味しいお米が作れたら喜ぼうと言っていた彼女の顔が浮かぶ。吐きそうだった。
あと二人、僕は僕の基準で振り落とさなければならない。
それがどれほどの重圧なのか。
ちゃんと考えなければならないとわかっている。
事実、一人は、落選者を決めた。
あと一人。
「あの」
そこで気になって、声を掛ける。
「なに?」
返答は少しとげとげしかった。
「僕は、どのようにしてこの選別を発表することになるのでしょうか」
「ああ」言って、また長いままの煙草を消す。「落とす人を決めたら言ってくれ。こちらから十通、いや、九通か、封筒を渡す。その中には、合格者用の内容が記載されたものと、不合格者用の内容が記載されたものの二種類ある。君はその封筒に、それぞれ該当する人物の名前を書くんだ。それを俺と、又野さんでみんなに配る」
「つまり」
「そう。君は、ここで決めた人とはもう会えない」
「……わかりました。もう少し考えます」
「それがいいよ」
「外、散歩していても平気ですか?」
「うん。行っといで」
また、煙草に火をつける。




