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Lost19 底辺の隊長と呼ばれた男  作者: JHST
第四章 アリアス防衛戦
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⑤作戦会議 -新人の意見-

 そもそも騎士が五人しかおらず、うち二人が新人という厳しい編成。できる事は限られている。

 下手にゴブリンの群れの中で立ち止まれば、いかに全身を装甲で覆っている騎士といえど、無傷とはいかない。万が一、鎧の隙間から毒が塗られた武器を刺し込まれれば、目も当てられない。四肢の動きを封じられた騎士が、醜いゴブリンに囲まれ、生きたまま鎧を着たまま体を削られていく様は恐怖以外に言葉が見つからない。


「報告通りに敵の半数を倒せば撤退してくれるのであれば、効率よく奴らを倒す方法は、これしかないと思います」

 僅かな沈黙の後、エコーがタイサの案に同意する。

 その横で座っているバイオレットは、珈琲を両手で囲みながら何も答えずに、地図を静かに眺めていた。


「バイオレット、何か気になる所でもあったか?」

 昼間の件があるものの、タイサは彼女にも声をかける。バイオレットは地図から視線を僅かに逸らすと、私見を述べる事を躊躇いながら、上目でゆっくりと口を開く。

「その………この街の冒険者も、我々と共に街の外周で戦ってもらう事は出来ないのでしょうか?」

 冒険者ギルドはそれなりの大きさをもつ街であれば、必ず一カ所は存在する。街に所属する冒険者に声を掛ければ、住民よりも遥かに戦力として期待ができる。そういう意味において、彼女の目の付け所は決して間違ってはない。


「いや、今回は街の中で戦ってもらう」

 タイサはバイオレットの提案が悪くない事に触れた上で、その理由を説明する。

「現在、この街に所属する中堅以上の冒険者達が、東部の騎士団遠征で一儲けしようと、一斉に出稼ぎに向かってしまっている。つまり、ここに残っている冒険者は、周辺で害獣狩りや荷物運びを手伝って小銭を稼いでいる程度の力量しかいない、という事だ」

 冒険者関連については、この街のギルドマスターから既に確認を終えている。残っている冒険者は百人に満たないと心許ないが、ないよりマシであり、南門近くの高台から弓を射る部隊と、障害物(バリケード)越しに、正面から蛮族を迎え撃つ部隊に分ける事になっていた。


 タイサはもう一度全員の表情を確認し、質問がないことを再度確かめた。


「説明は以上だ。各自、今から一時間程度の食事と休憩の後、屯所にある倉庫前に集合とする。全員で倉庫に残っている武具を点検し、装備もままならない冒険者や住民達に貸与する」

 その言葉にバイオレットが敏感に反応しする。そして何かを言おうと口を開けたが、先の件もあり、彼女は言葉にしようかと、迷っていた。


「王国騎士団の装備を一般人に使用させる事は、騎士団憲章において禁止している事は分かっている。だがこの際仕方がない。責任はすべて俺が負うから、お前達は心配する事なく行動して欲しい」

 敢えて彼女の言いたい事を汲み取り、タイサは先手を打って言葉にした。

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