第12話 居候
「―――――というわけだ……再試験合格するまで……こいつ居候……」
「あ、あの、すみません……ネメスと言います! 僕……その……家が遠くて……それと一週間も宿に泊まるほど、その、お金も……あと、是非試験まで先輩に鍛えてほしくて」
というわけで、何故か未来の勇者ネメスが俺の家に少しの間居候ということになった。
「そ、そうですか……い、いえ、御主人さまが決められたことに私が口出すことはありませんが……」
急展開にマギナも戸惑っている様子だな。まぁ、いずれこいつらは仲間になるんだから今のうちに仲良くさせても問題ないだろ。
(あれぇ? 御主人様、どういうことでしょうか? 本日はネメスと決闘してご主人様がボッコボコにされて、拗ね拗ねな御主人様に乱暴に朝までズコバコされるはずが……何故、ネメスがご主人様に懐いているのです? しかも居候? え? 先輩? 坊ちゃまが真人間になられたところでどういう展開に?)
敗者復活再試験は一週間後。ただ、こいつの家はすごく遠くて往復はきついし、それに試験までできるだけ強くなりたいので……ということでお願いされて居候という展開になってしまった。
まぁ、合格すれば寮に入れるからそれまでだろうが、いずれにせよこいつが俺の家に居候なんて展開はまるで予想してなかったし、考えられなかったな。
あと、少し懐かれているみたいだし。
とはいえ……
「まぁ、俺もゴチャゴチャ関わって変なことになったし、だから試験までの居候は構わねえが……俺はお前を鍛えられるほどデキた奴でもないぞ?」
「え? 先輩……」
実際、こいつがこの後はどうやって強くなるかは分からねえし。俺自身も新たな魔法とかは感覚で覚えただけだし。
ただ……
「ただ、ソードの戦闘力はヤバいし、マギナの魔法もヤバいから……どうだ二人とも。こいつを二人で一週間鍛えることってできるか?」
「「え!? わ、我々が!?」」
「わ、そうなんですか!? でも、ソードさんは先輩の護衛みたいですから強いのだと思いますが……マギナさんもすごいのですか? メイドではなく……」
そう、二人ならば俺よりももっと的確だろうし、強いし、何より未来の仲間で……モヤモヤするが二人を幸せにする男みたいな立ち位置で……
「ぬっ、少し違う。小生は坊ちゃまの奴隷だ」
「私はメスブタです」
「……うぇ?」
「ちょぉおおおおい、二人ともだからそれはやめろとッ!」
と、そこで改まって真顔でソードとマギナがそんなこと言うもんだから、急にネメスが顔を青くして俺を怯えるように……
「そ、そんな……せ、先輩……そ、そういう……」
おっと、前回と違って関係良好になるかと思えば、雲行き怪しくなってきた。
まぁ、そりゃそうか。平民のこいつからすればこういう権力持った金持ちが人に対して非人道的な行いをすることは軽蔑と嫌悪と絶対に受け入れられない文化ってことで前回も俺に文句言ってきたんだよな。
(ぬっ、これはまずい! 前回のようにはさせんぞ! まだ始まっていないドスケベライフの未来のためにも!)
(御主人様とのメスブタライフを手に入れるためにも、もう二度とネメスに邪魔はさせません!)
これでネメスとソードとマギナの距離が縮まっ――――
「勘違いしないでもらいたい! 小生は自分の意志で坊ちゃまの奴隷になっている! それどころか小生は坊ちゃまにもっとスケベなことだってして欲しいのに坊ちゃまは禁欲されるという大事にされっぷり、衣食住三食与えられる環境と人道的な扱い間違いなし!」
「私は御主人様のオモチャで便器になる豚な人生を送るつもりでした。しかし御主人様は私を人間として扱ってくださります。私は何とか御主人様にもっともっと尽くして手を出されたいと邁進中。これは私が望んでいることです。奴隷やメスブタという単語だけで妙な勘違いとくれぐれも余計なことはしないようにしてください!」
あれぇ? なんかもはや色々とまず過ぎるワードまで飛び出した上で二人は身を乗り出してネメスに対して「余計なことすんじゃねえぞ」と言葉をぶつけ……
「え、あ、あ~、そ、そう、なんですか……い、いえ、先輩が何も酷いことしていなくて、お二人も望まれていることなのでしたら、むしろ変な勘違いして、ご、ごめんなさい」
折れるな勇者ああああああああ!?
あれ?
なんかおかしいぞ?
一回もヤッてないのに、ソードとマギナがやけに俺とエロいことしたすぎじゃねえか?
これってあれか?
手を出されないということで逆に色々と勘違いしてしまっているパターンか?
プライドのためか手を出されないことを逆に屈辱に思っちゃうパターンか?
「いずれにせよ、誤解が解けたのならそれでよい。あと坊ちゃまも仰られているし、修行なら小生も協力しよう(ネメスが強くならんと後々面倒なことになるからな)」
「ええ。私も魔法について色々とお教えしましょう(さっさと強くして、これから迫りくる脅威とかをネメスに排除してもらい、私は心置きなく御主人様にアプローチです)」
「あ……はい! ありがとうございます! 僕、頑張ります! よろしくお願いしますっ!」
いずれにせよ、まぁ……今はとりあえずこれでいいの……か? 分からんが、とりあえず今はネメスに確実に合格してもらわんとな。
「とりあえず今日は遅いし、お前も色々と汚れちまっただろうから、風呂にでも入って来いよ。マギナ、風呂は?」
「ええ、ご用意できております」
「よし、来いよ、ネメス。俺も入る」
「はい、何から何までありがとうございます、せんぱ……え?! お、お風呂? ま、待ってください、せ、先輩、お、お風呂は一人で……」
「あ? ったく、何だ~お前、恥ずかしいのか? 男同士で……ほら、めんどーだからさっさと脱げよ。マギナに洗濯してもらわないとだしよ」
「あ、ん、まってくださ、ちょ、あ――――――」
風呂入ってサッパリして、明日からの特訓……俺も参加してみるかな……後々外に出るにあたって、俺自身もやっぱ強くなっとかないとってのもあるし……
「「あっ!!??」」
って、何だこいつ……急にモジモジして……なんだ?
「お、お待ちくだされ、坊ちゃま!」
「御主人様、ネメスのお風呂は、お風呂は―――!」
イライラすんな。たかが男同士で風呂ぐらい、さっさと服を剥いで……ん?
「いや、あん!」
ありゃ? こいつ胸が……抵抗されてもみくちゃになってこいつの胸に手が当たったら……柔らかい?
「ネ、ネメス……おま……」
「あ、あぅ……うぅ……先輩……」
胸を抑えながら、顔を真っ赤にして涙目になりながら上目遣いで……こいつ……まさか!
「お前、脱げッ!」
「あ、だめぇ、先輩ィ~」
シャツを剥いだら、女モノの……白いブラ……こいつ、女装趣味なのか!? 勇者なのに!? いや、今は多様性でこういう趣味は広く受け入れろとか何とか……とりあえずブラを剥いで……
「きゃああああ!」
これは……胸筋じゃない……ふくらみだ……大きくはないがプニッとして突起して……お、男もこういう胸に……?
「し、下も見せろッ!」
「ええええ!? いや、ダメぇ、先輩、その、言います! ぼ、僕はぁ、実は僕はぁ~」
ズボンも脱がせると、こっちも上と併せた白の女モノのパンツ。とりあえずそれも脱がせるとそこには……
「は……生えてねぇ……」
「ひっぐ、うう、ひっぐ……」
生えてない。毛も棒も……
「ない? んなバカな?! どっかに隠れてないか? ほら、こう、んほら」
「ひゃぁぁああん、ちょ、あん、んわあああああ!? やだぁ、先輩指で、いじらな、左右にひろげな、やぁあああん! 引っ張らないでえ!」
「どこだああああ! 隠れてないで出て来いいいィ!」
「いやああああ、ゆびいいいいいい、ほじくらな……せんぱいいいい!」
どこかに隠れていないかと探してみたが見当たらない……
「ぐっ、坊ちゃま……わっ! ぐっ、うらやま……坊ちゃまの指でいじくりまわされるなど!」
「嗚呼……御主人様……おそかっ……ッ! 何故私ではなくネメスが先に!?」
脱衣場に駆けつけてきたソードとマギナも頭を抱えて……なんか悔しそうに……
知らんかった……
勇者ネメスって女だったのか……
※すみませええええええええええええええええええええんん!!!!!!
この話を投稿し忘れておりましたぁあああああああ!!!!!!




