第13話 女勇者
「僕には双子の兄が居て……幼い頃からずっと勇者を目指していたんです……だけど、病気で死んでその夢は……だからその夢を僕が引き継ごうと思ったんです。でも、女の子では皆が特別扱いしたり、手加減したり、一方で女では勇者になれないとか言われて……そういうのが嫌で……」
だから性別を偽って男のフリをして……
「おーそうだったのかー知らなかったぞー(小生も前回は驚いたからな……)」
「わーそうだったのですかーびっくりしましたー(こんなに早くこのことを知るようになるとは……前回は御主人様は知らないままでしたが、今回は知るのですね)」
なんか、ソードとマギナはあんまり驚いていないように見えるけど、俺は正直まだ頭が混乱している。
まさかこいつが女だったとはな……とりあえずそれは本当のようだし、事情は分かったけど……
「お願いします、先輩! どうか内緒にしてください! お願いします! 僕、どうしても勇者になりたくて……僕、なんでもしますからぁ!」
「……ぬっ」
「「あ゛?」」
女か……というか、何で気づかなかったかなぁ、童顔の美形とは思っていたけど、見れば見るほど女にしか見えねえし、胸やアソコも形の整って……って、俺は何を考えてんだ?
「ま……まぁ……言わねーけど……」
「先輩ッ! あ、ありがとうございます、先輩! えへへ、僕、本当に運がいいな……受付で足切りされた時、この世の終わりかと思ったけど、先輩に出会えて、鼓舞されて……こんなに優しくてカッコよくて……」
「「………………」」
「あっ、で、でもぉ、いくら何でもさっきのはひど過ぎます! ぼ、僕の、あ、あそこ……ひ、一目見たらわかるのに、あんなに根掘り葉掘り調べるなんてぇ!」
かわいいな……いかん、思い出したら色々とムクムク……って、そうじゃない!
俺はもうそういうことをしないって決めたんだから、ここでブレるんじゃない。
ってか、こいつの言う通り、一目見りゃ分かる話であって、何故俺はあんなに……くそ、つい昔の癖で、女のアレを見るとソードとマギナを弄んだ時のように体と指が自然と動いちまっ……って、言い訳になんねえし!
「うぐ、す、すまん……ほ、ほんとうにごめんなさい!」
「んもう……」
「もう、いっそのこと俺みたいなクソ野郎は去勢でも何でも――――」
「え、いや、そこまでは「ぼっちゃまぁあああ!」「御主人様ぁあああああ!」ひゃうっ!?」
と、そこでどうにか償おうとした俺にソードとマギナが血相変えて止めに入って来やがった。
「なりませんぞォ、坊ちゃまッ! そ、それだけは! そんな、きょきょきょ、去勢など、去勢した坊ちゃまなど、そんなもの、ルーのないカリーライスです!」
「そそそそ、その逞しく雄々しき剣を失えば、人類にとってどれだけの損失か! ネメス! あなたも御主人様に言いなさい! 去勢などもってのほか! もってのほか! もってのほかあああああああああ!」
「あ、あう、は……はい……せ、せんぱい……だ、大丈夫です。も、もういいですから、頭上げてください」
俺としてはもうその方が……とも思ったが、やはり慈悲深い勇者だ。
こんなクソ野郎の俺にも慈悲を……まぁ、ソードとマギナの圧もすごかったしな……
「そうか……で、でも、すまなかったな、本当に。お前のマン―――」
「せんぱい~~~~~~~! もう、いいですからぁ! はい、この話は終わりです!」
とにかく、勇者は女だった。もうそれだけで、特に問題は……いや……待てよ?
こいつ、周囲に女を侍らせてハーレムだったような……
「あー、ところでお前、男のフリしてたってことは……お前は女の方が好きだとか?」
「え!? い、いえ、そんなことは……ぼ、僕は……男性の方が好きというか……うぅ、先輩恥ずかしいからそんなこと聞かないでください~」
「……お、おぉ……そうか」
どうなんだ? こいつが男でなくて女であることで何か問題……前回どうだったんだ? 姫様だけじゃなく、他の黄金世代もこいつのこと惚れてたよな?
アレはこいつが女だと分かっていたうえで惚れてたのか?
今は多様性であり、同性との恋愛もうんたらかんたらで……
(前回、ネメスが女だということで酷いことになったからな……ドロドロの愛憎とか、騙されたとか……むむ!?)
(彼女もそれで『助からなかった』のですよね……サキュバスの呪いにかけられ、それを解除するには男性の精を体内に取り込む必要があったのですが……そこでネメスが女だということでそれができず……んん!?)
とりあえず、俺がちょっと動いただけでだいぶ歴史が変わってしまったような気もするし、今後はマジで気を付けないとな。
それに、こいつにソードとマギナを幸せにしてもらうとかの計画も考え直さないと……って、なんかソードとマギナが目を大きく見開いて俺を見て来て……
「とにかく先輩、これからは僕のことは男の子だと思って……あ、でも、お風呂とかそういうのは遠慮……あ、でも、僕は何でもするって言ったし、先輩が『そういうこと』を求められるなら僕に拒否はできないし……そ、その、お礼と、く、口止め料ということなら……あ!」
そしてネメスまで俺を見て……いや、股間を見て……ッ!?
「ん、もう、やっぱり先輩の……エッチ♥」
「はあはあはあはあはあはあはあはあ坊ちゃま♥」
「ぶひぶひぶひぶひ御主人様♥」
ネメス、ソード、マギナの三人が俺の元気になった股間を見て顔を赤くして鼻息荒くして、っていうか、ソードとマギナがものすごいヤバい顔してないか?!
「えっと、せ、先輩なら……僕にできるお礼はそれぐらいしか……だから、先輩……」
え!? いやいやいやいや、この展開はさらに予想できないというか、何だこれは!?
「喝ッッッッッ! 坊ちゃまにスケベな礼など必要ない! 坊ちゃま専用ドスケベ女肉は小生で間に合っている!」
「まったく、勇者を目指すはずが娼婦の真似事ですか? それは許しません。御主人様にはメスブタ肉玩具がおりますのですでに間に合っています!」
「ひゃうん!?」
と、そこでソードとマギナが雌猫になりかけたネメスを鼻息荒くして止めた。
危なかった……前回の俺ならソッコーでベッドに連れ込んで朝まで抱いてた……こいつこんな無防備な顔晒して身を委ねようとしやがって……本当に色々な意味で危ないなこの勇者。
「と、とりあえず、修行、明日から……お前は客室で寝てろ……じゃぁ」
「お待ちを、坊ちゃま! ムラムラされているのであれば眠れぬと思われまする! いつでもどこでも準備万端な小生の全穴をどうぞご賞味してくだされ!」
「御主人様、安眠枕として私のこの未使用の身体を存分に揉んで舐めて吸ってぶち込んでくださり、玩具にして朝までよがらせて下さい!」
「わ、ソードさんマギナさん、な、なんてエッチな……う、ううん、僕だって先輩にお礼を……先輩、あ、あのね、僕知ってます、そのお口――――」
とにかく今日は俺も精神的に疲れたので、部屋への進入禁止の命令を下して籠った。
「おやすみいいいいい、もうお前ら全員部屋来るなああああああ!」
「「「あーーーっ!!??」」」
とにかく頭の混乱が収まらない。
「なんでだよぉ! なんでエロい事ばっかしていた盛っていた時にはあいつら全員俺を軽蔑した眼差しだったくせに、俺が禁欲した途端に誘惑してくんだよ! つーか、ネメスまでどうすりゃいいんだ!?」
ソードとマギナは何かぶっ壊れてるし、勇者は女だし、それでいて俺は先輩なんて言われるし……どうなっちまうんだ?




