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眠れる王  作者: 慧瑠
見えてくる意思

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94/236

他言はするなよ

「そういえば君達、武器は?」


「「拳!」」「上手く扱えないので」


「軽めの剣と盾があれば嬉しいですね」


「なんとも本当に無防備だ。まぁ、古い物だが使うといい」


吹き飛ばされたガレオの後を追うように軽い足取りで家を出ていくシューヌは、佐々木達の返答に苦笑いを浮かべながら玄関の壁を軽く小突いた。

すると、木製の壁がうねり動けめき、ぽっかりとできた穴から細剣と盾が姿を表す。


「いいんですか?」


「元々は私の物ではないから。別に構わないさ」


振り返らずに鴻ノ森へ答えたシューヌの視線は、自分が吹き飛ばした先で起き上がらないガレオへと向けられていた。

ガレオが連れてきた騎士達はと言うと、騎士団長であるガレオが吹き飛ばされたことで警戒を高め、シューヌの一歩に合わせ一歩後退して一定の距離を維持し続けている。


「さてと……聖騎士、いや今は団長まで上り詰めたと木々の噂で聞いたな。ならこう呼ぶべきかな?ガレオ聖騎士団長殿。

私は知っている。君がこの程度で死ぬ…ましてや、倒される様な男ではない。いつまでもそうしているのは、見苦しいぞ。ガレ「私の名を呼ぶな化物が」――」


遮られたシューヌの言葉。同時にガレオの周囲の地面に罅が入り、無数の岩が浮き上がる。その岩は身を回し、鋭利なモノへと姿を変えてシューヌを襲った。


「こうして向かい合うのは何時ぶりかね。見ない間に、発動速度も威力も、随分と魔法が上手くなったものだ」


だがその牙はシューヌに届かない。

後に発動したにも関わらず、同じ量の岩がシューヌからも射出され、全てを相殺していく。


「何をしている!命令は下したはずだぞ!」


何故か一歩も動けずに居た自分達に向けられた喝で、ハッと意識が戻る感覚がした騎士達は改めて武器を構えた。


「まぁ確かに、精神干渉は気合で解くのが一番だけどさぁ。中々強引に解除させる」


飛びかかってきた一人から振り下ろされた剣を、トカゲの様な手で受け止めるシューヌ。同時に響く金属音に、剣を振った騎士もそれらを見ていた者も驚きに目を見開き、ガレオはその表情を憤怒に染める。


「貴様……その腕!また!」


「勘違いはしないでくれよ。これは幾分も昔……君と最後に会ってすぐの頃のモノだ。まだあの頃はこうする他、無かったんだ」


「潔く死を受け入れろ!」


ガレオが肉体強化の魔法を発動すると同時に生じた荒々しい魔力の波動。それに当てられ木々はざわめき、纏う威圧感は膨れ上がる。


踏み出された一歩は瞬時に距離を詰め、片手で振り下ろされる剣と本人の体で作られた死角から伸びる短剣。対するシューヌは、人の手でガレオの手首を握り、瞬時に剣を砕き騎士を突き飛ばしたトカゲの様な指先を短剣の剣先に添え止めた。


「それはできないな。まだ私は役目を終えていない。

しかし流石だ…。ちゃんと鍛錬を怠らず、一振り一振りに込められた殺すという意思。私も喜んでいるよ」


「知った風な口を聞くなよ。化物が」


「知っているさ。私はちゃんと覚えている」


競り合いの間で交わされる会話。その間を狙った騎士がシューヌの背後に周り槍を突く――はずだったが、空気の破裂音は響き、槍を突こうとした騎士は身を震わせ崩れ落ちる。


「はい二人目」


「ほぉ。魔法……ではないね。随分と変わったスキルと言ったところか」


人の形をした雷光から響く声に覚えのあるシューヌは、興味深そうに目を細めた。それは僅かな隙であり、ガレオはそれを見逃さない。


握られていた腕を引き、シューヌの体勢を崩す。それにより短剣を止めていた指先もズレ、短剣の起動は前のめりになったシューヌの顔へと伸びていく。


魔法の発動は僅かに間に合わない。仮に間に合ったとしても、ガレオならば確実に致命傷を突き刺す。それらを知っている、分かっているシューヌは顔を少しだけ傾げ、その右目に短剣を受けた。


――ぐちゅりっ


本来ならば眼球を貫き、神経を絶ち、脳まで到達するはずの一撃。しかしそれは受け止め、絡め取られた。目があるはずのソコから伸びる無数の触手によって。


「化物め…」


「私もそう思う」


空いているトカゲの様な手ではなく、ローブの内側から植物の蔦が急速に成長し生えた様に伸び広がりガレオを縛り上げようとする。


「浅いな」


「避けていいのかな?」


「何ッ!?」


遅い来る蔦を避けようとするガレオだったが、背後からドサッと倒れ込む音が聞こえ、振り返れば部下の騎士が二人倒れ込んでいた。


「やばっ」「佐々木君!田中君!」


その騎士を吹き飛ばした佐々木と艮は、焦りを含んだ声を漏らす。咄嗟の艮の叫びに反応した田中が騎士と蔦の間に割って入り、その身から幾多にも枝分かれをする雷を放出する。それでも尚、その猛威は止まらず、物量で全てを押しつぶそうとする。


「くそったれが!」


田中の雷撃を越えて向かい来る蔦に悪態をつく佐々木の身が揺らぎ、崩れ、一つの小さな灯火へと変わり……瞬間、周囲の空気を焦がす猛火へと変質していく。


触れること叶わず。


その猛火へと寄る蔦先から灰へと変わり、更に残る火種から意思を持つような炎が生まれ蔦を燃やしつくそうと焚ける。


「それもまた魔法では無い様だ。……なるほどね、繋がったよ。そういうことかな?ガレオ聖騎士団長殿」


「なにっ、がだっ!」


蔦の根本。未だに成長が止まらず、更に増え続けている蔦の根本で、状況を観察していたシューヌは一つの結論を見つけた。

その答え合わせをするために、自身に迫る蔦を全て斬り伏せているガレオへと問う。


「彼等はこの世界の人間ではない。更に言えば、君達聖騎士の気の使いようを見るに、彼等は聖女と関わりがある。それも深い関わりが。……大方、聖女が再来した。というのが私の考えだが、どうだろうか」


「答える義理はない!'破撃・十華(とうか)'」


シューヌの問いに返ってきたのは、ギロチンの様に空から降り注ぐ十の斬撃。容易く蔦を断つ斬撃は、その根本であるシューヌにすら届きうる。


尚も成長をし続ける蔦には無意味。水を切り裂いたところで、次は流れ出てくる。激流の様に息衝く蔦の波。それでも、斬撃の一つはシューヌへと届く。


「本当に成長したものだ。'破撃・一華(ひとか)'」


手に武器はない。

振るうのは、トカゲのような腕の一振り。その動作のみで、流れる空気は一瞬の内に刃へと変貌を遂げ、空から降る斬撃へと突き進む。


上と下、互いの斬撃が触れ合った瞬間、周囲に突風が吹き荒れ、ガレオは僅かに顔を背けて視界をずらした。その行動が隙になってしまっているとガレオは気付いている。だからこそ、すぐに視界外から迫る蔦には気付く。


他の蔦よりも遥かに早い速度で迫る蔦は、ガレオを確実に狙っていた。このタイミングを待ち続け、他の蔦に紛れていたソレに対し、ガレオが取れる行動は限られていた。


回避は不可能。そのタイミングを狙っての攻撃。

防御はあまり有効ではない。迫る蔦は一本だが、無数の蔦が編み絡まる強靭な蔦。生半可なものであれば、防御ごと。完全に防御したとしても、弾き飛ばされ蔦の波に飲まれる。

斬り伏せるのも手だが、勢いを殺せる程に優しい攻撃ではない。


「ならばっ!」


合せる。

瞬きも許さない僅かな瞬間を狙い、持っていた剣を突き立て力を込める。


治まるまで、勢いが緩むまで、剣一本でその激流に立ち向かう。


安物ではない。むしろ、値段を付ければ金貨が飛ぶ様な名剣に部類されるもの。しかし無茶な使い方をすれば刃は毀れ、罅は入り、折れる。


「持たないか……。ふっ、助かる」


押しつぶされそうになる激流を裂いている剣は振るえ、悲鳴を上げている事をガレオは理解している。磨き鍛え、手入れを怠らずに使い続けてきた相棒の悲鳴に、ガレオは心の中で謝罪を述べ、最後の瞬間まで頼らせてくれる相棒に感謝を告げる。


稼げている僅かな時間で打開策となる魔法を唱え様としたガレオは、激流から外れて側面から迫る蔦に一瞬だけ反応が遅れた。


「間に合わな「やっと近づけた」――貴様は」


蔦の波を避けるように、むしろ波が彼女を避けるように移動している。つまり、彼女こと鴻ノ森が目の前にいるガレオも蔦が避けていく。それは、迫っていた蔦も例外無く。


激流の様に流れていた蔦の波に、鴻ノ森が盾で触れれば、緩やかに……最後には動きを止めてゆっくりと枯れていく。


「助かった」


「そうですね。色々とご迷惑をおかけしました……どうぞ」


罅が入り、限界を迎えていた剣を労っているガレオに手を差し伸べる鴻ノ森。

その鴻ノ森にも礼を言い、差し出された手を握り返したガレオは、急に体を引っ張られた。何が起きたのか理解する前にガレオが見たのは、鼻がくっつきそうな程に近くに寄せられた鴻ノ森の顔と、薄く彩られた鼻腔を擽る甘い香りだった。


------

---


腹部を襲う衝撃でガレオは目が覚める。


「この程度で気絶するやつがあるか戯け」


「は?」


「どうした?まだ、気が飛んでるのか?」


「し、師匠?」


「それ以外の誰に見える」


自分を見下ろすのは、嘗て師と仰ぎ、尊敬と憧れを持っていた男。

その男は、人ではない。

古くに絶滅したとされる龍族の血と多種の血が混ざり合っていると言われている半龍族。ドラゴニュートとも呼ばれていた時期もある。


龍族の様なドラゴンの姿になる事はできないが、その強靭な鱗と肌に持ち、個体によっては羽根や尾を持つものも居た。


そんな半龍族の中でも、自分が師と仰ぐ者は強かった。

様々な武器を振るい、魔法の扱いも繊細で、果には勇者と共に旅をした経験をも持っていた男。


「何故…何故、師匠が生きておられるんですか!」


「はぁ?本当に寝ぼけてんのか?ぶっ倒れた時に頭でも打ったか!

はぁ、これだから…エルフは鍛え方が足りてねぇ。もう、種族単位で足りてねぇ」


「なっ!半龍の師匠と一緒にしないでください!森では俺に追いつけないじゃないですか!」


「ったりめぇだろ。エルフと森でやるとか、普通に考えてやりたくねぇわ!まぁそれでも?お前は?俺に勝てたことはないけどなぁぁ!えぇぇ、どうなのよぉ!」


鼻息荒く小馬鹿にしたような顔で言う男にガレオは突っかかる。男はそれを受けて、更にガレオをバカにした。


「普通に考えて、森で周囲の木を薙ぎ倒しながら戦ったりしません!」


「邪魔だからしゃーねぇだろ」


「もっと周囲の環境を考えてですね」


「あーはいはい。その説教は聞き飽きた。ってか、普通に森以外で戦うほうが多いんだから、癖づいてる動きを治せ。

癖じゃなく、手段として持ち合わせろ。わざわざ森を出てまで俺に着いてきてんだから、森以外での戦闘が多いに決まってんだろ」


「ぐっ…はい師匠」


懐かしいやり取りだ。

懐かしい?


ふと、ガレオは首を傾げた。先程の師匠である男とのやり取りに、懐かしさを感じたのだ。

遥か昔の出来事であり、自分の大事な記憶であり、そのぶっきらぼうな暖かさに涙すら出そうになる。


「……?今日のお前は変だな。

手解きはこんぐらいにして、飯にすっか。ちょっと待ってろよ」


「また焼くだけですか?」


「生でもイけるが、焼きゃ大抵のもんは何でもイけるからな。男の料理ってやつだ」


「手抜きの間違いでは」


「あん?」


「いえ…」


男から視線を逸らして、ガレオはそそくさと薪を拾いに行く。

もはや日課になっている薪拾い。料理は魔法で済ますが、見張りの間の焚き火はそうはいかない。


だからガレオは、男が料理を始めたら休憩や見張りの時ように薪を集めるのが日課になっている。

手際よく乾いた枝や、火持ちがしそうなモノを集めている間にガレオは思い出していた。


あの夢は何だったのだろうか。

長い時を夢の中で過ごしたようで、その夢で師は自分を守って死んでいる。その後も教えを守り、訓練を怠らずに鍛えていると、リュシオン国の聖騎士団の団長まで務めていた。


バカバカしい話である。

先の未来では、師匠も老いて死ぬだろう。当然の事だ。仮に夢が現実になりそうだったとしても、師匠であるあの男が誰かに倒される様な状況は、憎たらしさもあるが想像ができない。


それほどまでに男は強く。それほどまでにガレオは憧れている。


「ガハハハハハ!!!俺が殺される夢か!残念だったなガレオ。俺は死なねぇし、明日も手加減はしてやらねぇぞ」


「す、少しは手加減してください!」


「慣れろ慣れろ!ガハハハハハ!!」


旅のお供だ。と、切らさない様に村や街に寄っては買い足している酒を豪快に飲む男を眺め、やはりそうそう簡単にくたばる様な方ではない。とガレオは思う。


明日の訓練内容を聞き、状況に応じでの対応方法や打開策を聞き。いつもの様に過ぎていく時間、これまでの様に、これからも過ぎていく時間にガレオは身を委ね、気がつけば日が沈む。


「さて明日もはえぇんだから。今日はもう寝ろ」


「はい。交代の時間になったら起こしてください」


「おうおう」


そう言って男は酒を口に流し込む。そんな男を横目に、ガレオは掛け布団代わりの魔物の革を被り目を閉じた。


なんだかんだと言って男は優しい。見張りも決めていた時間より長くしてくれて、自分を気遣ってくれている。旅を始めた時は、本当に焼くだけだった料理も、最近では塩がかかり始めた。

だが、優しいからと甘えていばかりはいられない。今日こそは時間になったら自分で起きるんだ。


心に決めてから、小さく意気込み、ガレオの意識はゆっくりと沈んでいく。


---

-----


「――おぉぉぉ!――んちょぉおおおおお!!」


落ちたばかりの意識に、野太く騒がしい声が響いてくる。


「し…しょう?」


珍しく酔ってしまい、絡み酒になってしまったのだろうか…と過りながら落ちたばかりの意識を叩き起こすと……。


「団長ぉぉぉ!!!!しっかりしてください!団長ぉぉぉぉぉ!!!」


涙を流す男の顔。それは当然、自分の師のモノではないが、その顔も知っている。むしろ最近では師の男よりも良く見る顔だ。


「ロバーソンか…」


「ガレオ団長!お気づきですか!大丈夫ですか!私が分かりますか!」


「……そうか、あちらが夢だったか」


目が覚め、思考ができるようになり、ガレオはハッキリと理解した。

夢を見ていたと思い起きたあっち側が夢であり、そして起きたコチラ側が今なのだと。


「団長!!」


「大丈夫だ。心配させたなロバーソン」


頭がガンガンと痛むが、上半身だけ起き上がり周囲を見渡せば、そこは見知った部屋。

聖騎士団の医務室であり、部下が怪我などをすればよく連れてきていた場所だ。今はそこに自分が寝かされていた。


少し記憶を辿れば、ある程度の事は理解する。

鴻ノ森が自身に何かをした事。それが何かは分からないが、何かをしたのが鴻ノ森である事は確信できている。


「あ、起きましたか?」


「これは!聖女様!?何故この様な場所へ」


「ガレオ団長…佐々木殿達が連れ帰ったガレオ団長の治療をしてくれたのが聖女様です」


「なぁッ!?」


部屋に入ってきた東郷に驚いたガレオに対し、気を使ったロバーソンはこっそりと耳打ち……の仕草のみで変わらぬ声量で、帰還後の事を伝えた。


自分の治療をしてくれたのが聖女である事に驚いたガレオは、慌ててベッドから降りて姿勢を正そうとするが、当然ロバーソン耳打ちもどきが聞こえていた東郷は、ガレオを手で制す。


「そのままで大丈夫です。今回は、生徒の皆さんがご迷惑をおかけしてしまったみたいで……。皆を守っていただきありがとうございます」


ペコッと頭を下げる東郷に、ガレオは苦虫を噛み潰した表情を浮かべて情けない気持ちに襲われる。


守ってなどいない。むしろ制圧されたのはこちらであり、互いに手加減した上でこんな事態になってしまっているのだ。


「頭をお上げください…」


東郷に頭を上げさせると、今度はガレオがベッドから降りて頭を下げた。

深く深く頭を下げ、今回あった事の全てを話す。


子供の行方を追いかけ、連絡が取れなくなった鴻ノ森達を追いかけて森へ向かい、その先にて鴻ノ森達と敵対した事も当然。そのまま、多少の危害を覚悟して連れ帰ろうとした事も。


「全部、艮さん達から聞いています。それを踏まえて、ありがとうございました。

間違いなくご迷惑をおかけしたのは私の生徒達です。皆が怪我をせずに帰ってこれたのは、ガレオさん達が配慮してくれた結果です。

私が同伴していても変わらなかったかもしれません……。だから、これぐらいはさせてください」


ガレオの手を握り、回復魔法をゆっくりと掛けていく東郷。その暖かさに、先程現実だと思った夢を思い出し、思わず涙が漏れてしまう。


その涙は過去に対してか、聖女の暖かさに関してか…。ガレオは解を出すことはせずに、治療が終わるまで、その暖かさに身を委ねる。

数分もすれば、東郷は手を離して治療の終わりを告げた。


「では、私は他の聖騎士の皆さんの様子も見てきますね」


立ったまま行っていた事に恥ずかしさを感じた東郷は、ととっと軽くガレオを押してベッドに座らせて部屋を出ていこうとする。そんな東郷をガレオは呼び止めた。


「聖女様!」


「はい?どこか、まだ痛みますか?」


「いえ、私は回復魔法には詳しくありませんが、流石なモノだと思います。聖女様に治療をして頂けただけるとは、誠に身に余る光栄であります。

心よりの感謝を……。それと、不甲斐なく気絶した私を連れ帰ってくれたお付きの方々にも礼をしたいのですが…」


「あ、あぁ……えっと、艮さん達は今……ちょっとお説教中です」


「説教?ですか?」


「アハハ、顔を出せるようになったら伺う様に伝えておくので」


この場において、聖女以外に異界の者を説教できる人物がいるのか?とイマイチ理解できずに首を傾げているガレオを他所に、アハハーと苦笑いを浮かべながら東郷は部屋から出ていってしまった。


「ふむ…心配させたなロバーソン」


「ハッ!」


東郷が居なくなり、部屋にはロバーソンとガレオの二人だけが残る。先程までは東郷がいた事で、口を噤んでいたロバーソンにガレオが謝罪をすると、ブンブンと首を振りながら返事はしっかりと返す。

そんなロバーソンを見たガレオは、ある事に気付いた。


「……ロバーソン」


「ハッ!」


「他言はするなよ」


「はい?えっと、何をでしょうか」


突然言われた言葉の意味が理解できないロバーソンは首を傾げ、その様子を見たガレオは何でも無い…と話を終わらせた。だが、次にロバーソンは口にした。


「そういえば、ガレオ団長の男泣きをはじめ「ロバーソン!」ハッ!」


「他言はするなよ」


「…!! わ、わかりました!」


先程と同じ言葉を被せられ、首を傾げたロバーソンだったが、ガレオのその目の本気さにやっと察して、ロバーソンは口を固く閉じた。



やっぱり、戦闘描写は難しい。……書き終える最後まで言ってそうな気がしてます。



評価・ブクマありがとうございます!!!

嬉しさの余り、ちょっとうどん麺を作りすぎました。 こんな私ですが、今後もよろしくおねがいします。

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