11話 「悲しみの果てに」
召喚魔法が強すぎるかもしれません……
31層へと進んだ俺達の前に居たのは、日本には絶対居ないような蛇だった。
「この階層は蛇かよ……しかもめっちゃデカいし、俺なんて一口で食われそうだわ」
デカイ蛇はまだ俺たちには気が付いて居ないが、こいつはやばい。
「お前、この蛇のこと見たことないのか?」
ノースさんは俺に聞いてくるが、俺が知ってるはずがない。俺が知ってるのはせいぜい1mぐらいの蛇だからな。目の前に居るのはどう見ても30mは超えてる。
「えっ? ノースさんは逆に見た事あるんですか?」
さすがにノースさんは俺に聞いてきたんだ、分かるはずだろう。
「ん、ああ。 まぁ知ってるといえば知ってるぞ。なにせ1回戦ったことあるからな」
戦ったことあるのかよ!!
「へ、へー。そうなんですか。……ちなみにどれくらいの強さでした?」
ノースさんが負けたとしたらヤバすぎる。現時点の俺達だと勝ち目がない相手だった。
「まぁ、一応俺は勝ったぞ。割と危なかったけどな」
ノースさん……割と負けそうだったのか。これはやばいな。
「リンシアー。お前の魔法なら倒せるのか?」
リンシアが俺たちに見せてくれた魔法なら、なんとなく倒せる気がしたのだ。
「うーん、そうじゃな。一応あやつ程度なら倒せるであろう。だが、あれはこの階層の中で弱いやつじゃぞ?」
よし、やっぱり倒せるのか。良かった、
「って! あいつ以上にやばい奴が居るの!?」
あれよりヤバいって、俺達死ぬんじゃね?
「お、お兄ちゃん! 声がデカイよ!!気付かれちゃうって!」
響が俺の事を注意したが、もう既に遅かった。前を向いたら蛇の黄色い目がこちらを向いていたのだ。
「やばい! ノースさん!お願いします!!俺はとりあえずまた召喚魔法使ってみるんで」
ノースさんは俺の言葉を聞いた後、すぐに蛇に戦いを挑みに行ってくれた。
「お兄ちゃん……響怖いよぉ……」
響は怖がって俺の後ろに隠れてしまった。俺はすぐに召喚魔法の詠唱を始め、リンシアにはノースさんの援護を頼んでおいた。
「よし!発動した! メデューサ召喚!」
魔法陣が浮かび上がり、中から目に包帯を巻いた女性が現れた。
「お、やっぱり俺の想像した通りのキャラが出たぞ。これならきっと魔眼が使えるから蛇も倒せるはず……!」
俺の黒歴史ノートには、メデューサの包帯を取ると魔眼が使えるようになり、相手を瞬時に石化させることが出来るのだ。ただ回数に制限があって、確か10回までだった気がするな。
「さっそくだが、メデューサ! あいつを石化させてくれ!」
「マスター、石化させるのは良いのですが、私もここに来たことで能力が下がってしまいました」
ん? やはり召喚魔法を使うと弱くなるのか。
「どのくらい弱くなったんだ?」
これで石化が使えなくなったとかだとやばいな。
「石化の魔眼が発動自体は出来るのですが、瞬時に石化は出来ず、徐々に相手を石化させるくらい弱ってしまいました。 あとは全体的に戦闘力が下がってしまっていて、石化の魔眼以外だと戦闘すら不可能です」
な、なんだと。いくらなんでも弱くなりすぎだろ。
「ま、まぁ石化の魔眼が使えるだけマシか。とりあえず使ってあの蛇を石化させてくれ!」
「ではマスター、発動致しますので、絶対に私の目を見ないでくださいね。ちなみに今戦っている人達にも目を見ないように伝えといて下さい」
メデューサは俺にそう伝えると、すぐさま包帯を外し、蛇を見つめ始めた
「ノースさんとリンシア! 絶対にメデューサの目を見ちゃダメだからな!! 普通に死ぬから!」
俺は自分の出せる精一杯の声で伝えた。
「了解した!」
ノースさんにはしっかりと聞こえたようで良かった。
「ん、お主。我はここに居るから大丈夫だぞ?」
そういえばリンシアは俺の隣で援護をしてたんだったな。忘れてたぜ。
そこからはノースさんが必死に時間を稼ぎ、メデューサの魔眼が上手く発動してくれて、ようやく蛇が石化してくれた。掛かった時間は大体1時間ぐらいだ。
「ノースさん、メデューサ。倒してくれてありがとな」
俺は1歩間違えてたら死んでる状況を、打破してくれた2人に感謝の言葉を掛けておいた。……隣を見てみたらリンシアがふてくされていた。
「リンシアー、そんな顔してどうしたんだ?」
「お主、我も頑張ったのに……褒めてくれなかった」
やばい、忘れてた。こいつもしっかり援護してくれてたんだ。
「お、おう! 大丈夫忘れてないぞ! お前のことは後で撫でてあげようと思ってな!!」
俺はそう言いながらリンシアの頭を撫でてあげた。
その後、何度か蛇に見つかりそうになったが、メデューサの魔眼で透視して、上手く石化して倒すことが出来た。
ようやく俺達の前にボス部屋の扉があったのだが、
「なぁ、メデューサ。大丈夫か? 目から血がやばいけど……」
なんとメデューサの目から血が溢れていたのだ。俺はそれが凄い心配で声を掛けたのだ。
「大丈夫ですが、マスター。私の魔眼はあと良くて2回しか使えません……申し訳ありません」
メデューサは俺に対して、凄く謝ってきたが、それはおかしい。
「メデューサ。お前は謝らなくていいんだぞ? お前のお陰でここまで来れたんだ。本当にありがとう」
メデューサには感謝してもしきれない。自分の目を犠牲にしてまで倒してくれたんだからな。
「いえ、マスターの為ですから……。私の魔眼をあと2回使います。ボス部屋には3体の蛇が居るので、私に2体は任せてください。それが終わったら私は消えると思うので、あとは宜しくお願いします」
メデューサは申し訳なさそうにしてから、魔眼を発動してくれた。目から血が垂れて痛そうなのに見ているだけの俺達は凄く申し訳なかった。
それから少し時間が経ち、メデューサのお陰もあって、2体は倒してくれたようだった。
だが、メデューサの身体が、少しずつ光の粒子となって消えていっている。そんな時にメデューサは俺に対して別れの言葉を言ってくれた。
「マ、マスター……私なんかを呼んでくださり……ありがとう……ござい……ま」
メデューサの言葉は途中で切れてしまったが、言いたいことは分かった。
「メデューサ! 俺もお前と会えて良かったぞ!! また機会があったら呼ぶからまたよろしくな!!!!」
俺は涙を流しながら、光の粒子となって消えていくメデューサに対して言った。メデューサは最後に少し笑って、消えていってしまった。
残されたのは静寂と、俺達だけだった。
「メデューサの意思を無駄にはしない! まぁぶっちゃけ俺はこれ以上何も出来ないけど!!」
俺達はボス部屋の扉を開け、意気揚々と挑みに行ったが、中に居たのは……
「なんだよこいつ……」
身体が一つの首8つのモンスター。
ハイドラだったのだ。
俺達は絶望しながらも、メデューサの死を無駄にしないために、全力で挑むことにした。
ちょっと書いてて、想像したら自分で悲しくなりました(笑)




