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神聖と呼ばれている場所に建てられてる大きいお屋敷、その一室に住んでいる娘達
世間では謎に包まれた一族として、祭典など特別な日にしか姿を現さない謎な存在
噂だけがひとり歩きをしており、絶世の美女の集まりだとか、稀代の天才集団だとか、人を生き返らせる力を持っているだとか様々なことが言われている一族。
その末子蒼月雛華は世間の噂からかけ離れた女の子だ。
彼女の1番上の姉蒼月七華は噂の通り天才といわれる部類の頭脳の持ち主である。2番目の姉皆華は絶世の美女と呼ぶのにふさわしい容姿の持ち主であり、見る人を虜にする魅力がどこかそなわっている。
ただ末子の雛華だけは違う。決して醜い容姿というわけではない。それなりに愛らしい顔つきではあるが、姉の皆華に比べると系統の違う顔つきで、並んでしまうとどうしても姉の影に埋もれてしまうそんな姿をしている。頭の方もそうだ。長女と違って平々凡々の頭脳の持ち主である。それに姉たちと違って巫女としての能力を国の為に発揮しているわけでもない。末っ子らしく甘ったれで泣き虫な世間知らずのお嬢様、そして自分の力に自信もない、ただの内気な少女だった。