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あの空 〜of kanna〜  作者: kooy


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第0話 白い鳥と青い空

 空が、青かった。


 雲ひとつない。


「うわぁ……」


 カンナは校舎の屋上で、空を見上げていた。


 昼休み。


 本当なら友達と教室でお弁当を食べている時間だ。


 なのに今日は、一人だった。


 別に、友達と喧嘩したわけじゃない。


 嫌われたわけでもない。


 ただ――。


「眠い……」


 それだけだった。


 午前中の授業で眠気に負け、机に突っ伏していたカンナは、昼休みになった瞬間、なぜか屋上へ向かっていた。


 そして今。


 空を見ている。


「……なんか、いいなぁ」


 何がいいのかは、自分でもよく分からない。


 ただ、青い。


 広い。


 どこまでも続いている。


 カンナは、ぼんやりと空を眺めていた。


 そのときだった。


 一羽の白い鳥が、空を横切った。


「……あ」


 鳥は羽ばたきながら、どんどん遠くへ飛んでいく。


 カンナは、その姿を目で追った。


 右へ。


 そして、上へ。


 白い鳥は、青い空の中へ吸い込まれるように消えていった。


「いいなぁ」


 カンナは笑った。


「わたしも飛べたらいいのに」


 そんなことを呟いて。


 一息ついた、そのとき。


「カンナぁぁぁぁ!」


 屋上の扉が勢いよく開いた。


「いた!」


「……げ」


「『げ』じゃない!」


 美香が息を切らしながら駆け寄ってくる。


「もう! お昼一緒に食べようって言ったじゃん!」


「そうだっけ?」


「言った!」


「覚えてたよ!」


「本当に!?」


「ごめんごめん」


 カンナは笑いながら立ち上がった。


「じゃ、お弁当食べよっか」


「今、謝ったよね!やっぱり忘れてたんじゃん!」


「今日のお弁当は何かなー」


「もー、誤魔化さないで。カンナ!」


「え、何? 分かんなーい!」


 二人の笑い声が、屋上に響いた。


 カンナは最後に一度だけ、空を見上げた。


 もう、白い鳥はいない。


 それでも。


 青い空は、どこまでも広がっていた。


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