女のストレスと僕のストレス
女体化願望叶えます? 何だろう。このチラシ。確かに女の子になってみたいけど、これ本当かな? スマホでQRコード読んでと。
なになに? 家に帰ったら女体化するって?うっそだあ。
あ、こんなことしている場合じゃない!このままだと遅刻する!
「すみませーん。⚪︎×ビルまでの道を教えて欲しいんですけど」
「ここをまっすぐ行ったらコンビニがあるから右折してすぐそこです!」
「ありがとう!」
「なんかよく道を聞かれるかも。僕って訊ねやすそうな顔をしてるのかな」
会社に到着。
「なぜ、遅刻した!時間厳守は社会人の信用を守る第一歩だぞ!」
「すみません! すみません!」
「あと、昨日の資料も間違っていたから、後で直しておくように」
「は、はい。でも、その資料、僕の担当じゃないですよ」
「やかましい! 口答えせず直せ! お前は叱りたくなる顔をしてるんだ!」
「わ、わかりました」
り、理不尽。
仕事後。
「あー仕事終わったー。あなただれ?」
「女体化担当の女神です。あなたを女体化させようと思いまして。キラキラマジカル女の子になあれ」
「わわっ! 本当に女の子の体になってる!」
「はい、これがあなたの新しい名前と性別入りの身分証です。明日から接客業頑張ってね」
「待ってください。そんなに急に生活変わっても」
「まあ、明日だけ一日、女の子体験してみたら? なりたかったんでしょ?」
「は、はい」
「今まで女になりたい人をたくさん見てきたけど、ほとんどが一日で対人ストレスで参っちゃって元の体に戻してくださいって言うのよ。明日、仕事終わりにまた来るから、どっちの性別がいいか教えてね。一生ものの判断になるから。じゃあね」
翌日
「申し訳ございません。ぺこぺこ」
「女じゃ話にならん。店長を呼べ」
「店長申し訳ございません」
「君には高い給料払ってるんだよ! しっかりしてよ!」
「はい。お手数をおかけいたします」
「仕事疲れたなあ。あれ、電話だ。姉ちゃんからだ。女体化しても家族構成はそのままなんだねえ。もしもし」
「あれ? あんた女体化したんだ?ねえねえ、それより彼氏ったらひどいのよ。聞いてくれる?」
「また、姉ちゃんたら僕を感情のぶつけ相手にする」
「あんたがいちばん話しやすいのよ。母さんとか無理だし」
「いつものことだし、まあいいか」
30分も話相手になってしまった。疲れた。
「じゃじゃーん。女神でーす。どう? 女の子の生活大変だったでしょ」
「大変だったよ。疲れた。でも、よくよく考えたら、いつもと似たような感じかなあ。あれ? ひょっとして、僕の場合、女体化しても男だった頃に受けてたストレスのカテゴリと意外と変わんなかったりする? 僕って一体何なんだろう」
「このまま女として生きる? 男の子との恋愛イベント待っているわよ」
「はいはーい、します。デートさせてください」





