43/43
第四十二話「木陰 雛子──③」
[──過去──]
小さい頃から、私の父は母に暴力を振るっていた。
酒に酔っては母の髪を掴み、顔を殴ってはお腹を蹴った。
小さかった私は何も出来なくて
ただただ、泣きながらお母さんを見ることしか出来なかった。
ごめんね。ごめんね。って泣きながら私に語りかけるお母さんの言葉の意味を理解するには──
幼かった私には到底出来ることではなかった。
[──過去──]
大人になるまでは、理解しようとも思わなかった。
愛し合うから結婚して
愛し合ったから、共に支え合いながら生きていくものだと
頭では理解していても
あの男のせいで、私の理想は存在しない幻想だと思い込んでいた。
母は、出会うべき人を間違えたのだと
本気でそう思っていたからやったのに。
あの日を境に、私は母とも決別した。
今でも、あの日の母の行動は理解できないけど
そのおかげで、私は今も暮らしている。




