甦った覇王
賊が神宮寺神宮を襲撃するという事件が発生しているなか、その事を全く知らない我らが主人公・北郷一刀はというと
一刀「それでは鍛練始め! 」
娘達『えいっ!えいっ!! 』
幼い娘達を鍛えていた。
通常、忍の子は三歳になった時に初めて鍛練を受けることができ、その際に忍になるかどうかを決めることができる。
最初に忍になる決意をして、後になって忍をやめることも可能なのだが再び忍になることは許されない
だが一刀の娘達は皆、忍になる道を選んだのだった。
だが忍の鍛練は三歳からでないと受けられないため
呂ソウ「がばれっ! 」
まだ二歳半である呂ソウは鍛練のお手伝い
幼児組は鍛練を受けることができないでいた。
一刀「(しかし皆強くなったな、こりゃ実力が抜かされる日も早いかもな) 」
まだ長女である孫登ですらも六歳だというのに親馬鹿な一刀
一刀「(でも、もうそろそろあの時期だろうし、ちょっと教えておくか) 」
この日、一刀は娘達にある出来事を話そうとしていた。
それは…
娘達『新星決定戦!? 』
一刀「正しくは新星候補決定戦だけどね 」
新星候補決定戦のことについてであった。
孫登「父様、それって何ですか? 」
新星決定戦と新星候補決定戦
似ているようだがちょっとだけ違う。
新星決定戦は次期新星を決める大会だが新星候補決定戦は次期新星候補を決める大会なのだ。
そもそも本来新星はその代の新星が死去又は忍を引退しなければ次の新星に受け継がれていくことがなく
現新星である一刀達が未だに誰一人とて新星をやめていないため次の新星を決めることができない
そのため次期新星候補を決める大会が開かれることになったのだった。
孫登「ではその大会で優勝すれば父様と同じ新星になれるのですか? 」
一刀「そうだよ。みんな出てみるかい? 」
一刀が聞いてみると
娘達『出たいです! 』
全員が同じ答えを出した。
もちろん大会に出たいという考えもあるが、大好きな父である一刀と同じ新星になりたいという気持ちもあるだろう
だが
呂ソウ「ちちちゃま… 」
ぐいっ!
一刀のズボンを引っ張りながら寂しそうな顔をする呂ソウ
幼いためまだ忍の鍛練を受けていない呂ソウは正式な忍ではないため大会には出られないのだ。
一刀「大丈夫だよ呂ソウ。新星にはなれないけど『ちびっこ大会』があるからさ 」
ちびっこ大会
それは新星候補決定戦と同時期に行われる大会であり、参加資格は1〜3歳までの幼児大会であった。
新星にはなれないので少し悔しいが
呂ソウ「でる! 」
大会に出られることに喜ぶ呂ソウであった。
黄柄「おっしゃーっ!!やったるでい!! 」
甘述「父上の娘として恥じぬよう頑張ります 」
陸延「頑張るです〜 」
秋「たとえお姉たま達と戦うことになっても負けません 」
周邵「周邵もちびっこ大会に出るのです! 」
今から気合いを入れまくる娘達
一刀「あっ!それと母さん達には内緒だからね 」
娘達『何で〜? 』
一刀「何でも!特に蓮華には絶対に… 」
一刀がそこまで言ったその時
蓮華「私が何なのかしら? 」
孫慮「と〜ちゃ! 」
バァンッ!!
蓮華が孫慮を抱いて現れた。
蓮華…一刀の主君であり正妻。嫉妬深い性格である。そしてこの小説内では紫苑達をも上回る大陸一の超乳の持ち主
一刀「れ…蓮華!?何故ここに!? 」
蓮華「母である私が娘の鍛練の様子を見に来ちゃダメなのかしら? 」
別にダメではない
蓮華「それより一刀、さっき私に内緒の話をしていたようだけど何の話なの? 」
ずいっ!!
一刀に詰め寄る蓮華
一刀「べ…別に何の話もしてないよ!? 」
話を否定する一刀であったが
きょろきょろっ!
この時、一刀の癖である嘘をつくと目を動かすがしっかり発動していた。
それを察した蓮華は
蓮華「一刀!主君命令です!!言いなさい!! 」
一刀「ひぃ〜っ!? 」
主君命令を使い、無理矢理話を聞き出すのだった。
歴代最強の忍と呼ばれた一刀も妻には弱かったのだった。
そして
蓮華「へぇ、新星候補決定戦ねぇ 」
主君命令には勝てず、ついに白状してしまった一刀
一刀「で…でも蓮華は王だから忙しいだろ!?だから来れないかと… 」
蓮華「何を言ってるの!娘の晴れ舞台ならば必ず行きます! 」
大会社の会長ですら子供の授業参観に参加するように呉の王である蓮華も参加する気満々であった。
蓮華「でも一刀、何故新星候補決定戦に私が来ちゃダメなの? 」
一刀「えっ!? 」
確かに単なる新星候補決定戦ならば蓮華が来てはダメな理由がわからない
実は一刀はまだ話していない理由があったのだった。
蓮華「か〜ず〜と〜!! 」
一刀「うっ!? 」
そして蓮華が再び主君命令で無理矢理聞き出そうとしたその時
一刀「あっ!?そうだ蓮華、そろそろ時間じゃないのか!? 」
蓮華「えっ?そういえばそんな時間だったわね 」
何かの用事を思い出すと
一刀「じゃあ俺は準備してくるから蓮華は孫登達と共に門で待っていてくれ! 」
バビュンッ!!
蓮華「あっ!?こら一刀っ!!もうっ!! 」
これとばかりに逃げ出す一刀であった。
一刀が新星候補決定戦に蓮華を呼びたくない理由
それは…
新星候補決定戦とはいえ多くの忍達が集まってくる。
そして忍の中でもアイドル並みの人気がある新星。その中でナンバー1の一刀が出ればくの一達から黄色い声援が出まくる。
そんな状況を妻達の中でも特に嫉妬深い蓮華が目撃すれば大変なことになるのは明白であった。
一刀「(とりあえずこの場はしのげたか、今日があの日でよかったな!?) 」
一刀が蓮華から逃げられた理由
それは今日が蓮華の母である孫堅の墓参りの日だからである。
他のみんなはそれぞれ仕事等があるため、先に蓮華が行くことになったのだった。
そして孫堅の墓石までの道を歩く一刀、蓮華、孫登と孫慮
孫登「ほっ!ほっ! 」
たたたんっ!!
蓮華「孫登、疲れてない? 」
孫登「大丈夫です 」
六歳とはいえ一番一刀から鍛練を受けている孫登にとって墓石までの道のりなんて朝飯前であった。
孫慮「たーい! 」
一刀「孫慮も元気だね〜 」
まだうまく歩けない孫慮は一刀に抱かれていた。
スッ!
そんな一刀に蓮華が近づくと
蓮華「一刀、帰ったらさっきの話の続きを聞かせてもらいますからね 」
一刀「は…はい!? 」
まだ蓮華の中ではさっきの話が続いていた。
そしてこの時、一刀はしばらく旅に出ようと考えるのであった。
その後、何事もなく蓮華にとって母であり、一刀にとって義母、孫登達にとって祖母である孫堅の墓の前につくと
パンパンッ!
孫登「慮ちゃん、お目め閉じるの! 」
孫慮「あいっ! 」
蓮華「あらあら 」
まずは蓮華、孫登、孫慮が墓に向かって祈るのだった。
蓮華「(母様、お久し振りです。私やみんなは元気でいますからあの世で見守っていてください) 」
孫登「お祖母ちゃん。元気ですか? 」
孫慮「あいあい? 」
娘達はつい言葉に出していた。
蓮華「(孫にあたる孫登達も元気にしていますので安心してください) 」
そして墓への挨拶がすむと
一刀「次は俺だな 」
最後は一刀が挨拶をするのだった。
スッ!
一刀「(御無沙汰でございます孫堅様、俺はいつまでも蓮華や仲間達を守りますのであの世で安心して見守っていてください…) 」
一刀が祈りを続けていたその時
ふわぁっ!!
前話にて謎の男がばら蒔いたリボーンパウダーが風に飛ばされ、呉の地にやって来て
スッ!
そのパウダーが墓にふりかかったその瞬間!
パァーッ!!
一刀「えっ? 」
墓が光り輝いた直後に
ドッカァーンッ!!
煙が発生し、爆発したのだった。
蓮華「か…一刀!? 」
孫登「父様!? 」
孫慮「と〜ちゃ!? 」
突然のことに驚く蓮華達
すると
一刀「俺なら大丈夫だ… 」
煙が出まくるなか、返事を返す一刀であったが
ぎゅむっ♪
一刀「むっ!? 」
突然顔に柔らかいものがあたり、一刀の口と鼻を塞いでしまった。
さらぁっ!
やがて煙が晴れると
蓮華「一刀…!? 」
そこにいたのは…
バァーンッ!!
女の胸に顔を押さえつけられている一刀の姿であった!
蓮華「か〜ず〜…♯ 」
ゴゴッ…
その光景を見た蓮華は嫉妬のあまりヤン華(ヤンデレ蓮華)になりかけるのだが
蓮華「…ってあなたは!? 」
蓮華は一刀を押さえている人物に心当たりがあった。
その人物とは…
蓮華「もしかして母様!? 」
バァーンッ!!
何と!?蓮華の母である孫堅であった!
一方その頃、とある島にて
?「本当にそんな奴がいるのか? 」
謎の男「ああいるとも、私達と同じくらい、いやそれ以上に北郷一刀を恨む奴がな! 」
謎の男が行動を開始するのだった。
おまけの劇場
〜娘メモリー〜
このコーナーは一刀達の娘とその妻達の小話である。
『出産祈願・前編』
それは孫登が生まれる三日前のこと
思春「体調はよろしいですか? 」
蓮華「あぁ思春、大丈夫だ 」
もうじき孫登が生まれようとしていたのだが
思春「しかし北郷め!出産前の蓮華様を置いて天の国に向かうだなんて奴には夫としての自覚が足りぬ! 」
蓮華「まぁまぁ思春、一刀だって何か考えがあるのだろうし、赤ちゃんが生まれる前には帰ってくるだろうさ 」
思春「もし戻らなかったら時間を戻してでもするかもしれませんね 」
一刀ならばあり得る
そしてその一刀はというと
ザッ!
一刀「着いたぞ。ここが忍山か 」
一刀は忍山という忍でしかこれないという山に来ていた。
その理由は…
一刀「この山にのみ生息するという満月熊、必ず三日以内に見つけてみせる! 」
満月熊…月ノ輪熊の変異種で絶滅危惧種。体はヒグマよりも大きく性格は荒く、隠れたら忍ですらも見つけられない。その特徴は額に丸い跡があるのだが、その丸に生まれてくる子供の名前を刻むとその子は元気に育つという言い伝えがある。
だが見つけにくく、更には強いため刻む人は少なかった。
一刀「待ってろよ満月熊! 」
ザッ!
早速山に入る一刀
だが一刀であっても見つけるのは難しく、二日が経過すると
一刀「ようやく見つけたぞ! 」
バァンッ!!
グルルゥッ!!
体長10メートルはある巨大な満月熊に遭遇した一刀
一刀「必ずお前の額に子の名を刻んでやる! 」