12 デートの順番
氷室さんが俺を見据えてくる。
「まさに課題デートは女の子の企画力、会話力、そしてかわいらしさが試されます。結婚した後にどんな楽しいことがあるんだろうと見極められると思います。ならばこそ、5人のデートが終了してから、幸斗様にはランキングを発表していただきます。コスプレ大会の時は秘密にされましたが、今度は発表していただきますからね」
「うう……」
俺は、頑張った女の子に1位から5位まで評価を付けるなんて、残酷なことはしたくない。
「きちんと評価してあげることも、女の子に対するやさしさですよ」
「……わかりました。今度は発表します」
俺はうなだれて答える。
「ご了承いただき、ありがとうございます。あと、ゲームの公平性を保つための工夫を一つさせていただきますね。5名の女の子には、デートのプランを考えて、紙に書いて私に提出していただきます」
「なんで、そんなことしないといけないんだよー」
桃香はめんどくさそう。
「デートは1週間おきですからね。順番が後の子は、デートプランを練る時間がたっぷりあることになります。それに先の子のデートの結果を聞いて、後の子がそれを上回るデートプランを考えられちゃうじゃないですか」
「よくそんなことまで気にしますよね……」
俺は氷室さんの厳密さに呆れてしまう。ガチで、デートをゲーム化してしまっている。
「雨のときはどうなるんでしょう?」
ニーナちゃんが素朴な質問。
「土曜日か日曜日のどちらかでデートに行って下さい。天気予報を見て、都合のいい方を選べばいいです。しかし今は梅雨。両方、雨の場合もありますので、雨を想定したデートプランを考えておくといいでしょうね。晴の場合、雨の場合、それぞれプランを紙に書いておくのでも良しとします」
「ふくざつです。カ〇ジみたいに細かなルールがあるです」
ニーナちゃんはデスゲームっぽい気配を感じているみたい。失敗したからって誰も死なないけどね。
「デートプランの提出締め切りは明後日、水曜日の夜10時とします。今から丸2日間もあれば十分でしょう。皆様、スマホなどで情報収集したり、幸斗さんと相談なさって下さい。相談は、幸斗様の部屋ですることにして、他の子には内緒にされた方がいいでしょう」
「うーん、2日って少ないよ。私はデートって何するのかわからないし」
千紘姉さんがトホホな顔をしている。
「条件は皆様、同じですよ。次の土曜日か日曜日に最初の人にデートに行ってもらいますからね。早速行動を開始なさってください」
氷室さは手を打ち鳴らして、女の子達に動き出すよう指示する。
みんな、お風呂に入って、パジャマに着替えてたから、今日はもう終わりのつもりだったのに。
「私は、幸斗の希望を聞かないと全然わかんないや。幸斗、お話しよ」
千紘姉さんが俺を誘う。
周りを見れば、他の子はスマホを手にして、調べ始めている。
俺とのデートが大事になってしまった。ちょっと申し訳ない気分。
まあでも……千紘姉さんや美少女5人と順番にデートに行けるって、ワクワクしちゃうね。
◆◇◆
女の子5人のデートプランは、期日までに全員から提出された。俺なんかのために、女の子たちが真剣に考えてくれたと思うと、頭が下る。
ジャンケンで順番が決められて、千紘姉さん→ニーナちゃん→桃香→磨莉奈→藍になった。
順番に優劣があるのか、俺にはよくわからない。
『美〇しんぼ』とかのグルメマンガだと、先に料理を出した方より、後に料理を出した方が勝率が高い。後手番が勝つ方がドラマが盛り上がるからだ。
課題デートも、最初の方の子は記憶が薄れていって、後の子の方が記憶が鮮明だから、俺が採点する時に後の子の方を高く評価するってことがありえるかもしれない。後手番が有利な可能性はある。
でも俺はデート童貞だ。デートだけじゃなくて、完全童貞だが……きっとデート初体験は、印象に残りやすい。
そして順番が先の子のデートの方が新鮮な気分で感動するんじゃないだろうか。後の子の方は、慣れてしまって、あまりインパクトを受けないかもしれない。
むしろ先勝後負の可能性も大いにありそうだ。
厳密な氷室さんの影響を受けたせいで、俺も課題デートの評価方法をどうするか考え込んでしまう。
……とにかく俺としては頑張ってくれた女の子を公平に評価することに徹しよう。順番による優劣があったら俺の心の中で補正しないといけないわけで、かなり難しいことが要求されるな。




