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69 ニーナちゃんにフラグ追加

「いいえ、悪い男だったら、わたしを置いて逃げ出していたです。ゆきとさんは逃げ出さなくてやさしいのです」

 ニーナちゃんが感激しているみたいだから、そういうことにしておくけど……


 須藤の殺意は俺に向けられていたから、俺が逃げようとしても逃げられていたかは疑問である。

 あれは腹を括(くく)って戦うしかなかったね。もうちょっと俺の動きが遅かったら、心臓を刺されて絶命していたと思うと恐ろしい。


 美少女5人とイチャラブを見せつけているせいで、俺は他の男子の恨みを買いまくっているみたいだ。イチャラブを止める気はないんだけど、もっと護身に気を付けよう。


「まあもう大丈夫だよ」

 俺はニーナちゃんを落ち着かせようと背中を撫でてやる。


「ひっくひっく……」

 ニーナちゃんは嗚咽(おえつ)し始めてしまった。張りつめていた緊張の糸が切れてしまったよね。


「ニーナちゃんを守れて良かったよ。またストーカーっぽいことをされたらすぐに教えてね」

「わかりましたです……須藤のことをお話してなくて、ごめんなさい……です」


「ニーナちゃんはかわゆいからな。変質者に狙われちゃうよね」

 妖精さんの美しさを愛でるだけっていう男がほとんどだけど、世の中にはニーナちゃんに手を出してくるヤバい奴が一定数いる。


「うう……ごめんなさい」


「ニーナちゃんが謝ることはないよ。タワマンで同棲してるのはセキュリティ的にはいいのかもね。ニーナちゃんのお家に1人で帰るよりも、リムジンで送迎してもらった方が絶対に安全」


「はい。ゆきとさんのおそばがいいです」

 ニーナちゃんがヒシッとしがみついてくる。


「俺と同棲している限りは、俺の責任でニーナちゃんを守るよ」

「ゆきとさん、かっこよかったのです。わたしを守ってくれるヒーローなのです」

 ニーナちゃんに元々フラグが立っていたけど、もう1本追加で立ったみたい。


 俺はニーナちゃんにフラグを立ててやろうと思って、戦ったわけじゃないんだけどな。大事な娘さんをお預かりしているので、守るのは当たり前だ。


 リムジンがタワマンの車寄せに到着。

 グレーのスーツ姿の氷室さんと、セーラー服姿の女の子4人が立って待っていた。女の子たちは俺が心配で、警察署に押しかけるつもりだったんだろうか。


 リムジンのドアを開けるなり、女の子4人が殺到してくる。

「ゆきとー 大丈夫なのか?」

「幸斗さん、おケガは本当にないんですか?」

「先輩……」

「幸斗にもしものことがあったら、私は死んじゃうよ」


「大丈夫だよ」

 リムジンから降りながら笑顔を見せる。


「「「「よかったー」」」」

 みんなホッとする。

 

 女の子に心配してもらえて、俺の方こそうれしいよ。


「幸斗様、ご無事で何よりです」

「氷室さんが警察の上層部に話を付けてくれて助かりましたよ。あと、スタンガンを持たせてくれたおかげで命拾いしました」

「使わずにいて欲しかったんですけどね。ところで、須藤蚊太郎についてですが……」


「ん? あいつは少年院に行くってさ」

「それでは手ぬるいです。数か月後には戻って来てしまいます」

 

「いいっ!? そんなすぐにかよ。また襲って来そうだ。日本は犯罪者に甘すぎるだろ」


「なので、私の方で対処しておきます。須藤の父親の会社は六文銭ホールディングスの下請けです。圧力を掛けて、父親をリストラさせます。一家離散で、須藤蚊太郎は住む場所もなく、マグロ漁船にでも乗せてしまいます。海の上で何が起きることやら……」


「おお。さすが氷室さん……金は命よりも重い感じにするんですね」

 俺はかなり引き気味。


「……おっしゃっていることの意味がわかりませんが、お任せください」


 氷室さんがばっちり対策をしてくれるみたいなので、一安心である。


 俺はまだ泣きべそをかいているニーナちゃんの手を引いて、最上階に帰った。

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