↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
52/203

52 新婚さんみたい

「さ、ウチが料理をしてますから、幸斗さんはさりげなく近寄って来てください。そして後ろからエプロンの内側に手を差し入れて、ウチのおっぱいを揉みしだいてくださいね」

 麿莉奈が俺から身を離す。


 お鍋がグツグツしているコンロの前にいって、わざとらしくお玉でかき回し始める。またしても麿莉奈のお尻が丸見えである。


「ふんふんふーん」

 麿莉奈がまた鼻歌。


 妻が裸エプロンで料理を作っているところに、夫が後ろからイチャイチャするっていう新婚さんごっこをしたいんだ。


 男の夢のシチュエーションということで、ネットで描かれているんだろう。麿莉奈は俺に夢を叶えてくれようと頑張っているっていうのは伝わって来るんだが……

 俺は突然の非現実的な展開に立ちすくんでしまう。


「千紘姉さんとニーナちゃんが近くにいるところでするわけないでしょ。いや、他に人がいなくても俺はエッチなことはしないから」


「見られても大丈夫ですよ、幸斗さんは王様やから。ウチにエッチなことをしはっても他の子は当然やと思います。私にもしてほしいってなります」


「俺は人前でエッチなことができる変態じゃないよ…… 麿莉奈がせっかく思い切ってやってくれたのに、悪いけど。もう服を着てよ、頼む」


「そうですか……うう……外しましたね」

 麿莉奈がうつむいて、悲しげな声を出す。


 渾身(こんしん)の一撃を放ったのが不発に終わってしまった。


「い、いや、外したってことはないよ。俺は麿莉奈が料理を作ってくれる以上のサービスをしてくれるっていうのは伝わって来たから」

 俺は麿莉奈を落ち込ませたくなくて、焦って言葉を並べる。


「ウチは女子校育ちで、男の人のことがよくわからないんです。やっぱりネットで調べたんじゃダメやわ……」

 

 男から隔離されてきた麿莉奈なりの苦労がある。逆境に抗って、女の子が頑張ってくれるっていうのは、どんな男でもうれしいだろう。努力が空回りして、しょんぼりする麿莉奈をいじらしく思う。


「麿莉奈は桃香たちに対抗しようとしたわけだから方向は合っているよ。ちょっとオーバーラン……じゃない、すごいコスプレをしてくれて、俺の評価は上がっているからね」


 俺は公平であるべき立場だから、評価は軽々しく口にすべきじゃない。でも麿莉奈が露出狂の痴女と思われるくらいまで頑張ってくれたから、慰めてあげたい。


「ほんとですか!?」

 麿莉奈が、ぱああっと明るい顔になる。恥ずかしい思いをしても、俺の評価が上がったらOKなのだ。


「うん。だからもう服を着てね」

「わかりました」


 麿莉奈はコンロの火を止めてから、トタトタと自分の部屋の方へ走っていく。

 お尻がぷりっとしている後ろ姿を、俺は見てはいけないのに高校生男子の性(さが)で見てしまう。


 すぐに麿莉奈は白いTシャツに、ジーンズの上にピンクのエプロンを着た姿で戻ってきた。


「ふう……」

 俺は裸エプロンが解消されてホッとする。エプロンを付けているだけでも麿莉奈はとてもかわゆい。


「幸斗さん、お味噌汁の味見をしていただきたいのですが」

 麿莉奈はカウンターキッチンの中に入って、味噌汁を小皿によそう。俺に小皿を差し出した。

 ようやく俺が本来キッチンにやって来た目的が達成される。


 俺は一口飲んだ。


「うまい」

 出汁(だし)がきいているし、味噌の濃さもちょうどいい。


「よかったわー カレーの方は味見していただかなくて、サプライズってことにさせて下さい」

「へえ?」


「幸斗さんがカレーを食べた時のお楽しみということで。おいしいかどうか、ウチはちょっと心配やけど」


「麿莉奈のカレーなら絶対おいしいに決まってる」

「幸斗さんはやさしいなぁ」


 キッチンで麿莉奈と料理について会話するなんて、新婚さんみたいだと思う。俺としてはこれで十分に楽しい。

痛い話を書いているので、ブクマ、ご評価をいただきますと救われます。よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。