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21 毒舌な後輩

 ◆◇◆


 放課後。


 麿莉奈が一緒に帰りたそうにしていた。麿莉奈は児童養護施設近くのマンションを借りているという。お嫁様バトルロワイヤルが開始するまでの、仮の滞在先だ。


 しかし俺は麿莉奈に用事があると言って、1人で帰ることにする。

 今日はアニ研の部活がない。週に2回だけのゆるい部活だから。


 図書館に行って、30分ほど時間を潰す。

 それから校舎1階にある道場に寄って行く。


 道場に近づくと、

「やあっ――」

「ていっ――」

と女の子の掛け声が聞こえてくる。

 合気道部が練習しているのだ。


 俺は道場入口の扉の窓の横に立って、中を覗き見る。


 白い道着と黒の袴姿(はかますがた)の女子が組み合っている。


 俺はショートの女子を探す。

 あ、いた。


「たああっ――」

 女子が気合一閃。相手の子が向かって来たところを右手首をつかんで後ろに投げ飛ばした。


 パシイイイイイイン。投げられた子が畳の上で受け身を取った音が響く。

 ショートの子はちょっと開けた道着の胸元を直す。


 お見事。これなら大丈夫だな。

 俺は女の子の様子を確認できて満足。


 立ち去ろうとした時に、ショートの子がこっちを見る。

 俺の存在に気づかれてしまった。


 ショートの子がつかつかと近づいてくる。

 扉をガラッと開けて、廊下に顔を出す。


「運動中の女子を(のぞ)きって、幸斗先輩は変態ですね」

 いきなり罵りの言葉を浴びせられる。微笑を浮かべているから、俺を本気で気持ち悪がっているようではないところが救いだ。


「い、いや、君が大丈夫かなって、様子を見に来ただけだよ。まあでも覗きと言えば覗きだね。ごめん、帰る」

 冷たくされた俺は右手を後頭部に当てて、トホホな感じを醸し出す。


 この子は菜々崎(ななざき)(あい)。1年生だ。

 黙っていたら(りん)とした感じの美少女。でも口を開けば、ちょっと毒舌。

 身長150センチくらいでやや小柄である。胸のあたりは膨らみ始めたばかり。


「おかげさまで大丈夫です。練習中ですので、失礼します」

 藍はピシャリと扉を閉めて行ってしまう。


 俺は振り返って、道場を後にする。

 歩きながら藍との出会いを回想した。


 ◆◇◆


 10日ほど前の夕方、俺はアニ研が終わって、1人で児童養護施設に歩いて帰っていた。

 6時過ぎで、かなり暗くなっていた。


 駅裏の区画はビルがまばらに立っているけど、人気がほとんどない。

 車も滅多に通り過ぎない。


 俺は工事現場の横を通る。フェンスの合間に珍しく人の姿が見えて、あれっと思う。

 空地に鉄骨とかが置かれているけど、普段作業している様子を見かけない。工事は中断されているのかなと思っている。


「なあなあ、俺たちに(ガン)付けたよなあ~ 遊んでほしいわけ?」

 柄の悪い声が聞こえてきた。


 学ラン姿の男が3人。スキンヘッド、パンチパーマにオールバック。眉毛がない奴もいる。外見はほぼヤクザだ。


 男たちにイマイチ高のセーラー服女子が囲まれている。


 やばい、カス高生に(から)まれてる――

 怖気(おぞけ)が背筋を走る。


 駅裏には春日(かすが)高校、通称カス高という県内随一の底辺高がある。


 地方にはまだいっぱい不良やら、暴走族がいるが、特にカス高はヤンキーの男女が暴れ回っている北〇の拳の世界らしい。

 実際、カス高生が大麻栽培やら覚醒剤所持で捕まるニュースはしょっちゅうだ。ガチでヤバい奴らの集まり。


 イマイチ高生は入学早々に、先輩から「駅裏には行くな。カス高生と目を合わせるな」と固く言い聞かされるものだ。

 俺は児童養護施設が駅裏にあるから行かざるをえないんだけど、カス高生とは関わらないよう気を付けている。

 

 だがあの女子は言い聞かされてなかったみたいだ。

 それとも言いつけを本気にしなかったのか。ダメだよ、カス高を()めたら。


「君、処女? 初体験を俺らとしたくなった?」

「いきなり4Pかよ。へへへっ」

 カス高生の言葉はやはり下品すぎる。


 俺は女の子が心配で、フェンスの影に隠れて様子を窺う。

 

「自分は合気道三段です。痛い目を見ても知りませんからね」

 女の子は落ち着いて言い返している。

 合気道に自信があるのか……しかし相手はカス高生3人。無茶だろ。


「痛くなるのは君だよ~ 最初は痛いんだから」

「でもすぐに気持ち良くなるからよぉ」

 せせら笑うカス高生。ほんと最低の奴らだ。


 スキンヘッドが女の子に手を伸ばす。

 合気道が強いってのが本当なら、このゴミカスどもを投げ飛ばしてくれ、と願った。


 女の子はスキンヘッドの手首を、パシッとつかむ。

 振り返って背負い投げようとする。


「なっ――」

 スキンヘッドがよろめく。


 おおっ ほんとに投げ飛ばすのか!?


 だが、スキンヘッドの上半身を背中に乗せたところで勢いが止まる。


「くっ――」

 女の子が膝をカクッとする。スキンヘッドの重みで潰れそう。

 スキンヘッドは80キロ以上ありそうなのに、女の子は細身で40キロくらいに見える。


 女の子がつんのめり、ドサッと崩れ落ちる。スキンヘッドに(おお)いかぶさられた。


「へへ、何これ。後ろからされたいってこと?」


 スキンヘッドは、地面に這いつくばった女の子の後ろ髪に(ほほ)をすりすりしている。


「あうう……」

 女の子が苦悶している。

 自信満々だったわりに、しょぼい。実は残念な子だったのか……


 いや、カス高生相手だったらしょうがないよな。


 スキンヘッドが女の子のスカートをまくり上げる。

 白いパンティーが見える。


「おらっ レイプしてやるからよ。せいぜい抵抗しろ」

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