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真実の愛。もう、後戻りはできない。

翌日の朝、グリザスは身体の具合が悪かった。

そして、その具合が悪い事を、フィーネに知られたくなかった。


何か感づかれたら、男として生きていけない。いや、もう死霊だから正確には生きてはいないんだが。


従って、フィーネが来る前に部屋から逃走した。


どこへ隠れればいいか?


考えた挙句、講習をやる教室へ行くことにした。


教室について床に座り込むと、クロードが心配して、来てくれた。


「具合悪そうですね。ちょっと無理させすぎちゃったかな…」


「俺の身体の事はどうでもいい…。そして、もう…俺には関わるな。お前の人生を壊したくない。俺が原因でお前の人生を壊してしまったら、申し訳なくて、顔向け出来ん。」


クロードはグリザスに手を貸すと、転移鏡を展開して。

「俺、魔法陣展開するの苦手なんですよね。この鏡で俺の部屋に行きましょう。」


クロードの部屋に着くと、ベットにグリザスを寝かしてくれた。


そして、クロードは決意したように。


「俺、アイリーンとの婚約を解消します。解消することで、色々な不都合が出てくると思うけど、心に嘘はつけない。俺はグリザスさん、貴方を愛しています。貴方と共に生きたい。」


手を握り締めてくる。グリザスはそっと握り返して、


「本当に、とんでもない事になってしまったな…。200年に渡る魔物との責め苦から逃げて、このマディニア王国の王宮に帰ってきた。聖女様との約束があったから…。ディオン皇太子殿下も聖女様も俺を普通の人間として扱ってくれた。騎士団で皆と過ごす事に幸せを感じて…クロードの気持ち、とても嬉しく思う。とんでもない事になってしまったが…後悔はない。ああ、そして本当に申し訳ない…。」


クロードはグリザスに向かって。


「泣かないで下さいよ。お願いですから…。俺は今、幸せなんですよ。貴方と同様に…。今まで生きてきた中で一番幸せだ。貴方を守ります。きっとアイリーンが貴方の存在を知ったら殺しに来ると思う。だから、内緒にして、隠し通します。絶対に。」


その時、狭い部屋の床に魔法陣が展開した。


一気にクロードとグリザスは緊張する。


ミリオンがその中から現れた。


「凄い結界を張ってるな。何か不都合な事でも起きたか?」


クロードが呆れて。


「結界を張っていたから、会話は聞こえなかったでしょうけど、ミリオンの魔法陣は凄いな。結界を破って入ってくるなんて。普通なら転移出来ないんだけどね。」


ミリオンは頷いて。


「ああ…会話は聞こえていないけど…お前らが心配でちょっと様子を見に来たんだ。

結界強化。よし、これで会話は確実に外に漏れないぜ。ふふん…お前ら出来たな。あれだけはぐらかしておいて。」


グリザスは恥ずかしくて消え入りたかった。


クロードがミリオンを睨みつけて。


「だから何だというんです。アイリーンと婚約解消しますよ。ちゃんと俺、責任取ります。」


ミリオンはクロードに向かって、


「これから、魔王も倒さなければならんのに…今、婚約解消か?」


「ええ、今夜にでも解消を申し入れます。真実の愛に生きるんだ。」


「ま、そこまで言うのなら止めはしないけど…クロード。ちゃんと魔王を倒す役割は果たせよ。お前たちの事は心配だし、友だと思っているが、ディオンの力になりたい。そして魔王を倒すことは息子である俺の使命だ。それは譲れない。」


「フォルダン公爵の出方次第ですよ。騎士団への推薦を取り消して俺を退団させるっていうのなら、脅しに使います。魔王討伐に加わらないってね。あの人の悲願のはずだ。あの人が愛したリリアさんの悲願でもあったわけだから。」


二人は喧嘩しそうな勢いで睨み合っている。


グリザスはベットから起き上がり、二人の間に割って入って。


「言い合いはそこまでにしてくれ。頼む…。ミリオン、心配してくれて有難う。こうなってしまったが、俺はクロードを愛している。こんな死霊の身を愛してくれるなんて、俺は本当に幸せ者だ。」


ミリオンは仕方ねぇなぁって感じで笑って。


「お前が幸せならいう事はないか…。ああ、もうヤケだ。おめでとう。互いに想いが通じて。絶対に幸せになれよ。大変だろうけど…俺は応援する。あ、ちょっと待ってろよ。」


ミリオンは魔法陣を展開して、消え、しばらくしてから戻ってきて。


グリザスに薬を手渡してくれ。


「魂の破損に効く薬だ。魂が破損すると、身体にも痛みを感じる。これで少しは楽になるだろう。」



グリザスは礼を言う。


「有難う。助かる。」


クロードも頭を下げて。


「有難う。ミリオン…。俺も魔王を倒す役割を果たしたいよ。でも騎士団に居たい。退団したくない。」


ミリオンは頷いて。


「まぁ脅しに使うのは賛成だが、魔王が復活して暴れまくったら、騎士団は消滅するぞ。脅しだけにしておいてくれ。お前だってディオン皇太子殿下の治める国を見たいだろう。」


「ああ…きっと凄い国になるんだろうな…。あの人は眩しいから。」


「それじゃ俺、帰るわ。アイリーンから守ってやれよ。グリザスをな。」


ミリオンは再び魔法陣を展開し、帰って行った。


クロードがポツリと。


「あの人。何だかんだ言ってもいい人なんですよ。さぁグリザスさんはお薬飲んでひと眠りして下さい。今日の午前中の授業はお休みしましょう。ね?」


グリザスは薬を飲んで、ベットに再び横になる。


もう、後戻りはできない。


クロードを失ったら、それこそ生きてはいけない位に愛してしまっている。


クロードが手を握っていてくれて、いつの間にか、眠くなって幸せを感じながらそのまま眠ってしまうグリザスであった。


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