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第八十八話『激闘』


「……」

 砕けた鞘から刃を引き抜き、片菜が構えた。それを見て俊夫が笑みを深くした。

 ライフバーは地味に減少を続けているが、俊夫は気にした風でも無く片菜の前で構えている。そのプレッシャーを感じているのか、片菜のぼんやりとした表情が引き締まった。

 彼女は右足をわずかに前へ出し、体を半身にして、刃を俊夫に向ける。

 対して俊夫は左足を少し前に出し、右足に体重を掛けるようにしてわずかに腰を落とし、軽く握った拳の内側を上に向けつつ左腕を前へと伸ばし、右手も軽く握って脇を締めながら後ろへ引いた。

 一瞬の静寂が、ふたりを包んだ。

「いくぜ」

 つぶやくと同時に放たれた矢のごとく踏み込む俊夫。

 その速さに反応し、片菜はその軌道の外へ向かうように踏み出しながら刃を両手で持って真横に振り抜いた。しかし、その刃が描く白銀の弧を、この漢はサイドステップで避けた。

 直後、着地した足が即座に跳ねて、そのまま蹴足となって片菜の延髄へ。それをしゃがむように避けた彼女は、駒のように回転しながら刃を振った。

 俊夫はそのまま軸足だけを跳躍させ、空中で横倒しのままスピンしてやり過ごして着地。と、同時に右拳を彼女の頭上へと振り下ろした。

 これを片菜が身を投げ出すようにしてステージ上を転がって避ける。それを俊夫は追撃せんと踏み込み、相手の腹めがけて蹴りを放つ。片菜はさらに転がってそれを避けながら起き上がり、彼へと刃を向けた……時にはすでに俊夫の拳が目の前にあった。蹴り足をそのまま大地に踏み降ろし、そのまま片菜へ向かって進撃したのだ。

 響く震脚の音とともに、片菜の顔面へと拳が突き刺さり、そのまま吹き飛ばされ、ライフバーが一気に三分の一ほど削られた。

 そのままステージにたたきつけられるかと思いきや、体を捻って両手両足を地に着いて着地する片菜。その目には初めて感情の灯が点っていた。

 怒りという名の灯火が。

 俊夫はそれを見てニヤリと笑う。

「……いい顔が出来るじゃねえか。さあ、続けようぜ」

 その言葉に応えるかのように、片菜が跳ね飛び、獣のごとく襲いかかった。

 振るわれた刃を籠手ではじく度に、煙が上がり、籠手が溶け落ちていく。それでも俊夫の顔は平静そのものだ。

 ライフバーも少しずつ削られ、八組の面々が声も無く拳を握りしめた。

 その刹那。

 籠手を失った俊夫の右腕が、片菜の刃を受け流し、左肘がその胸に突き刺さった。

 ライフバーが大きく減少し、その一撃によろめいた彼女の脇をすり抜け、両足でブレーキングするように震脚の轟音を響かせながら片菜の背中に自身の背中を叩きつけるような一撃を見舞った。

「……ガッハッ?!」

 全身を襲う衝撃に肺の中の空気が全て吐き出され、片菜は喘えぎ、さらにライフバーが失われる。

 そしてこの隙をこの漢は見逃さない。

 体を反転させ、力強く震脚を響かせながら右足を踏み込みつつ、開いた両の手の平を手首の辺りでくっつけながら彼女の背中に叩き込んだ。

 大きく弾き飛ばされ、地面に叩きつけられた片菜はそのまま転がっていき、ステージ端で止まった。

 わずかに残っていたライフバーは、すべて失われていた。

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