カプリス決意
三者面談も終わり、一学期最後の昼食の時間となった。
いつも通りの場所に向かおうと思ったところで、沙織に呼び止められた。
「今からご飯食べに行くの?」
「ああ、そうだな」
俺の返事を聞くと、沙織は辺りを見渡して納得したような顔をする。
「なるほどね。ならちょうどいいわ」
「なにがだ?」
「ちょっとこっち来てもらってもいいかしら?」
「うん?」
気になってはいるものの、教室では話せない話なのだろうと納得して素直についていくことにした。
階段の踊り場に着いたところで、沙織は話を切り出した。
「単刀直入に聞くわよ」
「あ、ああ」
「結局どっちを選ぶの?」
「……それは、カプリスとしてか?」
「私がちゃんと言わなくても気づいてると思ってたけどな」
「うっ……」
確かにゲーム内ではもちろんのこと、最近では現実でも、ゲーム内と同じような雰囲気を感じることがある。
これが勘違いでなければ、あの二人が現実の俺のことを好いてくれているということになる。
「でも、あの二人が現実で話してくるのはゲーム内の結婚のためだぞ。現実でそんな気持ちはないと思う」
「はぁ……。最初はそうだったのかもしれないけど、わざわざご飯を作ったりしてくるかしら?」
「それもカプリスの気を引くためで」
「男を自分の家に呼んだのも?」
「…………」
確かに、確実に信用している人でないとそんなことはしないと思う。
「というか、何でそこまで知ってるんだよ」
「あの二人と連絡先交換してるのよ。私がカプリスの話をする代わりに色々聞いてるに決まってるじゃない」
「なるほど……」
確かにそんなこと言ってたな。本当に交換しているとは。
「私が話を聞いている感じ、葉山司としての話が七割、カプリスの話が三割くらいね」
「…………」
「こんなこと、ゲーム内の結婚を目指してるだけならおかしいと思うわよ」
最近の態度は確かに変わっていた。明らかに、昔の俺に対してよりかは好感度は上がっているに違いない。
「とりあえず、今日で学校で話せるのもほとんど最後じゃない?」
「まあ確かに」
あの二人と話しているのは昼休みの時だけ。それ以外で話していたら、変に思われるし、向こうの立場も考えたら話に行こうとは思わない。
「……ありがとうな。ちょっと今日切り込んだ話をしてみるよ」
「そうね。見てる分にはいいけど、同じ女子としては早く決めてあげてほしいと思うわ」
「ああ、わかった。流石にどっちかに決めるなんてまだ無理だけどな」
「そこまでは求めてないわよ。優柔不断のカプリスさん」
「言ってろ」
なんだか、一瞬沙織がメサイアに見えたような気がした。頼れつつ、最後を少しいじって場を和ませる。こういう部分は全く同じだな。
そんなことを考えつつ、沙織と別れていつもの場所へと向かった。




