003話
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☆★☆の間は、説明となっています。
◆◇◆の間は、登場人物のパーソナルなどに関わる説明になっています。
▽▼▽の下向きの三角は現実世界の始まり、△▲△の上向きの三角は現実世界の終わりを表しています。
こいつは、イケメンで頭も良い……俺はこいつに勉強を手伝ってもらって、少し高望みした地元から通える同じ大学に入ったのだ。ゲームばかりしているのに、俺より頭がいいとかマジで理不尽だよな……おまけに見た目がいいから、並んでいる俺が引き立て役みたいになってるんだよ。悲しいぜ。
まぁ大半の女子は、残念イケメンが喋りだすと苦笑することになるけどな。
「そっか。MMO-RPGなんだから、戦闘も楽しまないと損だよな! でも、モンスターと戦っても経験値って手に入らないんだろ? モンスターと戦う意味ってあるのか?」
「分かってないな。お前が好きだったあのゲーム覚えてるか?」
「どれだよ?」
「ハンティングゲームで、よく物欲センサーが! って言ってたあのゲームだよ。モンスターの狩りはあれと同じ感覚だな。倒して素材を手に入れて、強い装備を作る。素材を売って装備を買うこともできるから、厳密に言うと同じではないけどな」
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『物欲センサー』とは、主にゲームなどで稀少なアイテムの入手や特定の行動の成功・失敗に確率が大きく関わってくる時、プレイヤーが成功を望めば望むほどプレイヤーの理想とは、かけ離れた結果に終わりがちであるというもので、『プレイヤーの物欲を検知して望まれない結果に改竄してしまうセンサーが存在する』というジョークである。
『物欲センサー』という言葉は、20世紀最後の月に発売された、ファンタ〇ース〇ーオンラインで使われ始めたと言われている。
半世紀も昔……当時は、今とは違いオンラインゲームはほとんどなかった。そのため、物欲センサーという言葉が一般的に認知されるのは、もう少し後の話だ。
諸説あるが、ラ〇ナ〇クオンラインや、モンス〇ーハン〇ーポータブルシリーズが流行りだした頃から、一般的に認知された始めたとのではないかと考えられる。
物欲センサーの語源となったのが、マーフィーの法則だと言われている。マーフィーの法則は、1990年代に書籍が出版され広く知られることとなったらしい……
マーフィーの法則については……自分で調べてくれ。
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「あ~あのゲームな。欲しい素材が手に入らなくて、よく素材マラソンしたっけな。あんな感じで、素材を集めて装備作って強化するのか?」
「そうなんだけど、このゲームの売りを覚えているか?」
「このゲームの名前の通り、エニシング……何でもあり、だろ? とにかく自由度が高いんだって話だよな」
「イエス、ザッツ、ライト! その通り! 何でもありで自由度が高い。ということは、何でもできるということだよ、ワトソン君」
発音の下手な英語と同じ意味の日本語で答えて来た。頭痛が痛いみたいな感じになってるぞ、残念イケメン。これなのにテストの点がいいとか、理不尽だよな。
「誰がワトソン君やねん! で、だからどういうことなんだ?」
「フレアは、察しが悪くなったな……何でもできるってことは、自分でも作れるってことだぞ。現実とは作り方も違うけど、素材によってベースとなる形があってだな。無理のない範囲に見た目を改造できるんだよ。性能は変わらないけどな。鍛造みたいなこともできるけど、パラメーターをいじって形を変えるのが主流だな。叩いて形を作るとか、無理ゲーだぞ」
「おぉ~なるほど! 自分で作れるのか……じゃぁ、もしかしてナイフや包丁みたいな刃物も作れたりするのか?」
「もちろんだとも、友よ。実際のところ、パラメーターをいじって作るより、鍛造で作る方が性能が良かったりするんだよな。リアルの話にもあるんだけど、鋳造より鍛造の方が武器単体としては優れてるだろ? それと同じで、パラメーターいじる方は鋳造みたいな扱いなんだ。パラメーターをいじるっていうけど、要は型を作っているようなもんだな」
「さすが、残念イケメン! 俺に分かりやすい説明だな! 性能が優れてるっていうけど、ナイフや包丁ならどっちも大して変わらんか?」
「それが、そうでもないんだよ。どういう演算装置を積んでいるか分からないが……例えば魚を捌くときなんかは、切れ味が全然違うっていう話だぞ。そこらへんは、追々自分で試してみろ。それより、このゲームで作ったナイフや包丁を現実で作ってくれるんだぜ。まぁ、限界はあるし法律の問題もあるから、審査が入る上にそれなりの値段になるけどな」
ゴクリ……ゲームの中なのに、唾を飲み込んでしまった。
「おっ? その顔は、ヤル気になったみたいだな。昔っからモノ作りが好きだったもんな。リアルで買うには金がないとどうにもならないから、バイトするなりここで稼ぐなりしないとな」
「ここで稼ぐ? どういうことだ?」
「ゲームプレイや趣味映像を配信なんかして、その際に広告とかで収入を得る。お前も知ってるだろ、ネットプレイヤーって呼ばれている奴だな。そういう俺も、そこそこ人気のあるネットプレイヤーだけどな」
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ネットプレイヤーとは、フルダイブ式のオンラインゲームの中で、動画を作成したり生配信をしたりして、協賛してくれる企業や広告を出している企業から収入を得たり、視聴者からの投げ銭で収入を得たりしているゲームプレイヤーのことだ。
今も、半世紀前から生配信や動画の広告でお金を稼いでいる人たち……ユーチューバー……はいるが、今は名前を変えて、リアルプレイヤーと呼ばれている。フルダイブではないゲーム配信や実況プレイ動画をしている人たち、eスポーツで稼いでいる人たちは、ゲーマーと呼ばれている。
半世紀前のゲーマーと言えば、ゲームで遊ぶことを趣味にする人……ゲームの種類によっては、オタクと呼ばれることもあったが、現代では、ゲームでお金を稼ぐ人のことをいう。プロゲーマーからプロを取ってゲーマーと呼ぶようになったのが始まりだ。
フルダイブとは、VR(仮想現実)の究極の姿であり、マルチギアを使って、仮想空間内に五感を接続してその世界に入ることだ。 操作する者は仮想空間内のアバターと一体化し、コントローラーを操るのではなく自分の体と同じように、意識そのものでアバターを動かすことができる。
マルチギアとは、現代の日本人であれば、ほぼ全員が持っているインターネットに接続することのできる装置の事だ。
2072年の現代ではスマートフォンは存在せず、すべてのコミュニケーションを一括にして行えるツールである。それでも機械アレルギーの人もいるため、一度駆逐されたガラケーが復活している。
フルダイブを行うためには、椅子やベッドに自分の使っているマルチギアと対になる専用の装置が必要なので、どこでもフルダイブ式のオンラインゲームを楽しめるわけではない。自分の部屋でのみ使えるといったところだ。引っ越しするときは、メーカーに頼み対の装置を移動させる必要がある。
一昔前で言えば、インターネットのモデムに近い感じだろう。対になる装置がない場所では、フルダイブで遊ぶことはできない。ただ、限定的に遊ぶことは可能である。ハーフダイブと呼ばれているシステムだ。
原理としては、VRゴーグルみたいなものだ。マルチギアに付属の眼鏡を接続することで、視界だけをリンクしたような形にできる。その他は、現実の体の動きを再現する形だ。
ハーフダイブも場所を限定されており、それ以外の場所でハーフダイブすることはできない。
1~2世代前はインターネットカフェと呼ばれていたものの替わりとして設置された、ダイブカフェという場所でハーフダイブは可能である。
インターネットカフェとは違い、スポーツジムに近い場所だ。
ハーフダイブは、フルダイブの視界だけのバージョンであり、体を動かすとゲームの中のアバターが同じ動きをする、というシステムである。なので、ダイブカフェには専用の部屋が用意されており、マルチギアとリンクさせることによって、部屋の床や壁が視界に合わせて変形する。
およそ3m四方の部屋の中で自由自在に動き回れるのだ。クライミングも落ちる心配なく楽しむことができる。
現代ではどこでもインターネット接続できるようになっており、マルチギアを通して使用者にしか見えない投影型ディスプレイをハンド操作で色々することができる。
現代では、パソコンやテレビなどは家にないことの方が多い。半世紀前には当たり前に家庭にあったものだが、今では高級品扱いである。専門的なことが必要な職業の場合は、自宅に置いてある。
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「お前、アバターになっても見た目だけはいいもんな。それなりに人気が出るのもうなづけるわ」
「お前もモテない人間から見れば、こっち側の人間だと自覚した方がいいぞ。その内、誰かに刺されんぞ」
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フルダイブの場合は、リアルの体をもとにアバターを作成する。リアルとアバターの差異が大きくなると、現実でも仮想現実でも動きに支障が出ることが分かっているため、大きく変化させられないようになっている。体系……ポッチャリを痩せ型にすることは可能だ。その逆もまたしかり。
いい子のみんなは、見た目に騙されちゃだめだぞ!
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