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転生したので狂信します  作者: 枝無つづく
三章:異常なる『正常者』

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第96話 『無』の観測

side ルビア


 石化した肉塊が崩壊していく。

 増幅装置に手をかけている狂信者さんは目を瞑り、意識を集中しているように見える。その状況だけ見れば、狂信者さんが自壊命令を送り込んだように見えるかもしれない。


 けれど、ゼットに侵食された手から思念を読み取り続けていた私には違うものが見えている。

 映像みたいにはっきり見えたわけじゃないけど、何が起きたかの断片的なイメージは理解できている。


 あろうことか……彼はゼットに『ゼット・ネイバー』という名を与えて、契約魔法によってその総体意思を擬似的な使い魔にしてしまった。

 それも、無理矢理押さえつける形ではなく、反発がほとんど発生しない形で、和解させてしまった。


 初めからそのつもりだったのか。

 初めから、感染者を操る『病原体』として認識していたときから、共存を視野に入れていた。信じられないけど、準備の良さを考えればそうとしか思えない。


 予め飼い慣らしていた使い魔の依り代とゼットを同じ培地で繁殖させて、契約が可能になるように順応を促した。

 そして、ゼットのネットワークにそれを割り込ませ、さらに自分の血液を吸収させることでゼットのネットワーク全体を自分の『法具(トーテム)』にしてしまった。


 才能の問題というのも、あるのかもしれない。

 確かに、相手が血肉を無差別に吸収しようとしていたからって、ほんの僅かな血を混ぜ込んだだけでその全てをまるごと自分の一部だと認識できてしまう能力は特殊だ。


 けれど……そもそも、普通はその発想が浮かばない。

 事件を解決するために、『病原体(ゼット)を死滅させる』のではなく『病原体(ゼット)を制御する』なんて発想が浮かばない。それこそ、創造者である私ならまだしも、巻き込まれただけの彼の立場で。

 思いついたとして、どうやったらそれができるかなんてわかるわけもない。


 それなのに……彼のしたことは、もはや事件の解決なんてものじゃない。

 彼は私の研究を……不完全だった研究を、一気にほとんど完成させてしまった。たった、五日足らずで。


「さて、これにて一件落着というところですかね。ゼットさんにはとりあえず、村の住人の皆さんの体内については不活性化していただきました。といっても、皆さん長いこと身体を無理に動かされていたせいで倒れてしまっているでしょうが。とりあえず、お馬さん、いえコバルさん以外の死者はいないはずです。アンナさんもノーダメージで乗り切ったそうですし……さて、後はどうやって皆さんに謝罪するか、あるいはどの程度事実を隠蔽するかの相談ですかね」


 私の手からも、ゼットの因子が消えていく。

 全てのゼットが彼の意向に従って、動いている。

 こんなの……


「はあ……あんたは本当にもう! 上手く行ったからいいものの、失敗してたら……」


「申し訳ありません。しかし、こうしてことが収まったのでお手柔らかにお願いします。テーレさんも、ルビアさんを殺したくはなかったのでしょう?」


「それとこれとは……まあ、いいわ。それに、前聞いた話が本当なら『研究施設』の創造物は……」


「はい、おそらくは。ですからそちらについても情報を……」


 こんなの……


「……ルビアさん、大丈夫ですか? 顔色が少々悪いようですが、もしやどこかにダメージが……」


「……はい。ちょっと手が……」


 狂信者さんにぶらりと脱力した手を見せる。

 見た目には何の異常もない普通の手だ。けれど……


「そういえば、ルビアさんの手にもゼットの因子が侵食していましたね。もしや思念変調の影響が届かずに残留しているかもしれませんし……【赤熱石(ジオサーマル)】を使っておきましょうか。少々熱くなりますが、我慢を……」


 見た目通り、異常なんてない。

 ただ、悪意があるだけで。


「ごめんなさい、狂信者さん……でも、やっぱりあなたをそのままにするわけにはいかないんです」


 石化して熱感を放つ狂信者さんの手をこちらから掴む。

 テーレさんが私の本意に気付いたみたいだけど、もう遅い。止められても……たとえ、後で殺されるとしても、私は干渉を止めない。


「っ! ルビアさん、ダメですそれは!」


「ごめんなさい! ごめんなさい! でも、どうしても……あなたは、『研究施設』に来るべきなんです!」


 このままでは、狂信者さんは『研究施設』の秘密を知り、あまつさえその研究成果を勝手に完成させてしまうような危険人物としてあの人から敵視されてしまう。下手をすれば消される。第一印象がこれじゃあ、狂信者さんも『研究施設』と敵対してしまう。


 それはダメだ。

 それくらいなら、狂信者さんの考え方を変えてでも……私が嫌われてでも、狂信者さんとあの人が争わないように、できることなら彼の才能があの人の味方になってくれるように……


「っ! 【失敗率証明(ミッシングワン)】!」

「テーレさん! すぐにルビアさんの保護を……」




『「存在」に必要なものは「観測」である。閉じた本のページに残されたインクの染みは、誰かに読まれることで初めて「文字」となり、現実への干渉力を持つ情報(ミーム)となる。そうでしょ、観測者さん?』




 気が付くと、私は真っ暗な闇の中にいた。

 上も下も、地面も空もない、ただひたすら深く濃い闇の世界。

 ここは……精神の世界?


「全く……余計なことをしてくれたよ。せっかく、この世界に来てからはただの虚空(アナ)で済んでたのに、こうして深く首を突っ込んで観測されてしまったおかげで、ボクという概念が『存在』することになってしまった。ココア・ショコラティエはその結果を察してここに来る前に手を退いてくれたっていうのに」


 何もない空間の中に、私以外の存在が一人だけいた。

 その姿は……少女、なのだろうか。というか、そっくりという程ではないけど、どことなく……


「『女神ディーレ』……? いや、似てるけど違う……あれ?」


 待って。

 確かに、絵本やなんかで『女神ディーレ』の姿を見たことはあるはずだけど、その挿絵はあくまで安い絵本のものであって、現実のモデルの顔と見比べても『似てる』とは思えないような、簡単な絵だった。


 そもそも、一介の村娘であって生前の肖像画も何もない女神ディーレの本当の姿なんて、誰も知らないはずだ。彫刻や絵画だって、かなり想像が入っていて女神ディーレの容姿は様々だったりする。

 だけど、今私はこの子を見て……はっきりと、『女神ディーレの姿に似ている』と認識した。『女神ディーレの姿』を知らないのに。


 強い信仰心を持つ狂信者さんの精神空間なら、信仰する女神の姿を模した存在があってもなにも不思議はないけど、それはあくまで彼の主観での『彼にとって理想的な女神ディーレの姿』が反映されるだけであって、私がそれを見て同じように『それが女神ディーレの姿である』と認識するとは限らない。


 推測はできても、私がそれを直感できるようにはなっていない。

 というか……この子は、女神と見間違えるには、纏う雰囲気があまりにも暗い。

 それなのに、なんで私はこの子を見て『女神ディーレの姿に似ている』と認識したのか……


「ボクのことを、女神ディーレに似てると思ったでしょ……あなたは、女神ディーレの外見なんて知らないはずなのに」


 心を、いや、思考を読まれた?

 ここが精神的な世界だというのなら、普通はそれほどおかしいことはないかもしれない。

 けれど……相手が私なら、それは難しいはずだ。


 私は干渉力の高い『狂気の癒し手』の能力を持つと同時に、相手からの精神干渉を防ぐための訓練をしている。当然、思考を読むことも難しい。

 それなのに……


「別に心を読んで答えたわけじゃないって。ま、ここのルールはルビアの想像してる世界観と少し違うから読むのもできるけど。ボクを見て『女神ディーレと似ている』と思うのは必然ってだけだよ。それは、ボクが逆説的とはいえ『女神ディーレと見間違える可能性を否定できない程度に似ている』というミームを持っているから。もう一人、あなたの知らない人の類似ミームを持ってるからそのものではないんだけど」


 第一人称と口調もあって少年のように見えるのに、女神のイメージから女性的にも感じるというか、『女性的な男性』というイメージも受けるというか……チグハグにも見えるのに、妙に簡潔にも見える子供。あるいは、性別や神聖さと邪悪さというような属性で分類できる概念を超越した何か。


 マズい……精神世界で遭遇しうる超越者なんて言ったら、それはもう……


「ボクが誰か? そうだね、『ヘンペルの黒い烏』の理論を元に……なんて言っても、この世界では通じないかな。だから、誤解を恐れずもっとわかりやすい認識を与えてあげようか。とりあえず、混乱してるみたいから性別は雌(女)ってことでいいよ。類似ミーム的には四分の三以上が女性型なんだし。ユング曰く『人は己の中に異性としての己を持つ』とも言うしね」


 彼、あるいは彼女が自らの性別を定義すると、私の認識の上で完全に目の前の存在が『女』に固定される。

 自分自身の性別改変? それとも私への認識操作?

 いや、違う。そんなものじゃない。

 これは一種の『権能』……ある事象の世界に対する定義を操作することのできる権限。


「ボクは『悪魔』。それも、この世界とは成り立ちの違う異世界から来た高純度なミーマチッククリーチャー……同時に、あなたに観測されることで世界の異分子として存在が確定した『思想』そのもの。まあ、基本構造としてこの世界の夢魔の因子も取り込んでいるから純粋な地球産とは言えないけど、異文化の接触で『魔のもの』の概念が混同して変化順応適応するのはよくあることだし、多少の解釈違いは大目に見てね」


 能力を解除して脱出を試みる。

 でも、手応えがない。

 私には既に、自分の能力でこの世界に存在している侵入者じゃない。

 私は既に、目の前の存在が許さなければ現実世界に戻ることもできない、完全に存在の全てを囚われた獲物にすぎない。


「思考実験悪魔『無神論』、それが一番簡潔な表現かな」


 一つの『世界観』そのものを司る悪魔が和やかに笑う。

 決して敵意はないと示すように……同時に、既にこの状況自体が手遅れであることを憐れむように。


「ボクは神々への信仰で成り立つこの世界に、存在するべきではない思想(ミーム)の具現。『ある概念の存在を証明するには、その概念の存在しない場合を仮定した世界と、実際に成立している世界の相異点を提示しなければならない』という観点から言えば、ボクは『妖精界の鍵』を利用した『セルフ・ダムナティオ・メモリアエ』で反ミーム化してるから、厳密には誰かがわざわざ空白を浮き彫りにするような観測(こと)をしない限りは世界に影響を与えず、結論的には存在すらしないはずだったんだけどね」


 私はとんでもないものに触れてしまった……いや、私の観測によって、とんでもないものがこの世界に定着してしまう。

 私は、触れてはいけないものに触れてしまった。


「さあ、せっかく来てくれたことだし、他人の意見を取り入れた議論というものを試みてみようか。『妖精界の鍵』を開けば精神の時間は好きなだけ引き延ばせるし」


 その姿を認識するだけで、その声を聞くだけで、その成り立ちを理解するだけで、現実世界では絶対にあり得ないような情報量を強制的に理解させられてしまう。この世界の秘密を、知りたくもない真理を理解してしまう。


 ああ……そうか。

 狂信者さん、彼は今までずっとこんなものを一人で……そりゃ、こんなものと比べたら、私の研究成果なんて、怖くとも何ともないよね。

 『これ』が外の世界に出たら……『存在』してしまったら、それだけでこの世界は……


「最初の議題はそう……今回の事件の主題、ゾンビにちなんで『食人は必要悪か否か』について論議してみるのはどうかな?」







side テーレ


 何が起こったかわからない。

 ルビアがマスターに触れて『狂気の癒し手』の能力を使おうとしたから、私は咄嗟に【失敗率証明(ミッシングワン)】でそれを妨害しようとした。


 常時発動の『癒し手』が妨害できるかは賭けだったけど……手応えはあった。

 確かに、マスターへの洗脳は防げた。それは確かだ。

 だけど……この『結果』は予想外だ。私の押し付けた『不幸』は、『悪いもの』は、どこへ行って何をした?


「うっ、ぅぇえええ! はあ、ぅ、ゲホッ、ゲホッ……」


 ルビアが突然、自分の頭に手を当てたと思ったら激しく嘔吐した。

 それもすごい勢いで、一度胃の中を吐ききってからも、無理にでも絞り出そうとするように。


 これは異常だ。

 『癒し手』が能力を使ってこんなことになる事例は聞いたことがない。相手の精神に反発されて精神的なショックを受けたり集中力を使い切ってグッタリとしたりというのはあるけど、ここまで劇的な拒絶反応のようなものは見たことがない。

 まさか、ゼット感染の後遺症? それとも、『癒し手』が『狂気の癒し手』に変わったことによる反動かなにか?


 何もわからない今できることは……


「ルビア! もうやめなさい!」


 喉奥に何度も指を突き入れて無理矢理に嘔吐しようとするルビアを押さえつける。放置していたら喉の肉を自ら引っ張り出しかねない勢いだ。


「ゲホッ、離して! 食べちゃったもの全部出さなきゃ、今まで食べたもの全部……」


「もう胃の中からっぽで胃液しか出てないでしょうが! そこまでして何を……」


「全部、私が今まで食べちゃったもの全部……」


 すごい力。

 『万能従者』の筋力で押さえつけているけど、冒険者でもない女子供の普段出せるような力じゃない。

 それこそ、狂気じみた精神状態でなければこんな力は出せない。本当に何が……


「『浮気封じの呪紋(ルーン)』。本来の用途と違うので多少の鎮静効果しかありませんが、ないよりマシでしょう」


 私が押さえつけている隙を突いて、マスターが呪紋(ルーン)を刻んだ。

 本来は魅了対策ではあるけれど、外部からの精神影響によって変化した状態を瞬間的に平常状態に戻す呪紋は効果があったらしく、ルビアの抵抗力が弱まる。


 けれど、顔色は悪いまま。

 身体もあれだけ暴れていたのに妙に冷え切っていて、医療関係者として見ればかなりマズい状態だ。

 マスターは、そんなルビアの目を見つめて……


「ルビアさん。混乱するのはわかりますが、落ち着くべきです。おそらく、今のあなたの目には世界が豹変してしまったように見えているのでしょうが……それは、少し見え方が変わっただけ。世界は元からそうなのです。あなたも世界も、何も変わってはいない」


 ルビアの苦悩の全てが理解できているかのように、そう語りかけた。

 ルビアの震えが少しだけ小さくなる。


「マスター……わかってるなら説明して。ルビアに何があったか……いや、ルビアに、何をしたの?」


「……ルビアさんは、私の深層意識に手を伸ばし、私の思想の一部に深く触れてしまったのでしょう。私としては意識したものではありませんが……私は、彼女の認識を勝手に『治療』してしまった」


「『治療』?」


「ええ……多くのヒトは、食物を摂取する際、それを『生物の死体』だとは意識しません。それは、知識として理解している『それは自分と同じように生きていた生命体の遺骸である』というミームを『それは食べ物である』というミームが上書きしているからです。けれど……」


 マスターは……全ての生命を『自分』と同一視できてしまうこの人間は、やや躊躇いがちに、ルビアを汚染した認識を告白する。


「おかしいとは思いませんか? 知識の上では疑いようもなく、それら全てが自分と同じように生きて死んだ生命であると理解しているのに、それが『食べ物』というミームに上書きされただけでその認識を失うというのは……『異常』だと、思いませんか?」


 こいつは、ゼットすら『隣人』として対等に思いながら、一方で平気で肉を食べ、モンスターに止めを刺す。

 どこかで、線引きをしているものと思っていた。知能の高さや人間との共生の可能性で、折り合いを付けていると勝手に思っていた。


 でも、そうじゃなかった。

 こいつは……単純に対等の生命として認めた上で、知能の高さに差があったとしても間違いなく尊厳があり尊重されるべき知性を持っていたであろう存在と認識した上で、全てを贔屓せずに平等に扱っていただけなのか。


 こいつは、農家や酪農家が家族のように大事に育てた家畜を殺すときに『家族のように思っていても家畜だからしょうがない』と言って割りきる部分を、割りきることなく『家族のように愛する者を殺して食べる』とそのまま認識する。


 ルビアが食べたもの全てを吐き出そうとする気持ちもわかる。

 当然だ。記憶自体が改変されたわけではないけど、精神的ダメージとしては『記憶の中で、これまでの人生で食べてきた食べ物全てが人肉にすり替わった』と言うのとほぼ等価なのだから。

 そして、それを考えればますます異様なのは……


「感染者がゾンビ状態になり食人を行おうとした場合、それは『自分と同じ人間』が『食べ物』というミームに上書きされてしまうということですから、いざとなったらそれを元に戻すために必要になるかと、アンチミームを散布するための理屈理論論法を頭の中に用意していたのですが、おそらくルビアさんはその記憶に触れて誤作動させてしまったのでしょう。先程の行動と呪紋(ルーン)の効果を見る限り、おそらくは咄嗟に自身の記憶を消してダメージを軽減したのでしょうが……」


 ルビアは、その思想(ミーム)に汚染されただけの共感者に過ぎない。強力な『癒し手』の能力があったとしても、それは汚染元を超えるわけではない。


「ルビアさん……申し訳ありません。しかし……慣れるまでは辛いでしょうが、既に血肉にしてしまったものは吐き戻すこともできませんし、吐き戻したところでそれらが生き返るわけではありません。むしろ、土中で分解され養分になるとしても一度食べたものを拒絶するというのはその生命に対して失礼なもの。罪悪感ではなく、血肉となってくださったことへの感謝を考えるようにしてください。そして、さすがにここからさらに今回の件について罰を与えて追い詰めるというのは酷な話です。ですので、事故ではありますがルビアさんは十分な罰を受けたということにして後はお手柔らかに……テーレさん?」


 こいつは普段から、遭難中の極限状態で人肉を食べるのと同じ覚悟で全ての食物を食べている。


 他の人間が『可哀想だけど生きるためには仕方ないから一々気に病む必要はない』『獣や草木に人並みの感情や死への恐怖なんてない』と思い込んで、目を逸らしているものを直視して、その残酷さを『慣れるまでは辛い』程度のものと思っている。

 知識として理解しているのなら、事実を正しく認識するべきだと信じて、その正しさを貫くために毎日『死体』を食べて生きている。


 それはきっと、他の人間にはできない、精神の強さを要求される認識だ。

 食人趣味の快楽殺人者だって、それは背徳感の快楽が忌避感を上回るというだけで同じようには生きられない。


 ルビアはきっと、これから先の人生でも目の前にした食べ物全てを『かつて自分と同じように生き物だった物体』として認識し、吐き気を覚える。

 けれど、こいつにとってはそれは当たり前で、罰としては軽すぎるかもしれないと私に減刑を求めている。


 言われなくても……ルビアは、十分に報いを受けた。

 というか、自殺しないか心配なレベルだ。背徳好きの私でもこれは酷いと思う。


 正直事故だとしてもココアに説明したくない。

 というか、下手をすれば殺したっていう方がまだ慈悲があると言われても否定できないかもしれない。

 私が『失敗』させた結果かもしれないのがさらに酷いし。


「ルビア、そもそもこの事件の原因だったり、最後の最後で裏切ったりこいつを洗脳しようとしたりは、当然悪いことだけど……本当にごめん。頑張って強く生きて」


 生命を弄って利用しようとした研究者は、生命の重さを強制的に理解させられるという罰を受けた。

 これなら、彼女はこれ以降は安易に生物を生み出して無責任に危険な実験をしたりはしないだろう。罪を深く悔やむ彼女に、これ以上の罰はいらない。


 ……みたいな感じで、美談っぽくまとめちゃダメかな?





 今作の『思考実験悪魔』。

 実は名前だけは以前別の短編で出たことあります。

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― 新着の感想 ―
しこうじっけんあくま! ちゅうにごころがくすぐられるぞ! こちょこちょ!
超常的存在のメンツの出番をもっと見たいな('ω')
[良い点] 今回の思考実験悪魔だったり前回の全能のパラドックスだったりそういうの大好物やけんどんどん出して欲しいめちゃおもろい 年取るに連れてそういうもんだ。で納得するようになったけど小さい頃とかはこ…
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