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『オレの生徒はお嬢様!?』  作者: 宇都宮かずし
第二部 オレの生徒は男性恐怖症!?
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第十六局 待ち合わせ 一本場『何人にも侵されざる、聖なる領域』

 さて、本日はゴールデンウィーク初日の土曜日。天気は快晴、暑くもなく寒くもない、まさにお出かけ日和。


 オレはGパンにスプリングジャケットというラフな格好で、駅の駐輪場へバイクを止めた。


 現在の時間は十時半。約束の時間よりだいぶ早いが、まあ遅れるよりはいいだろう。


 オレは駅の構内に入るとエスカレーターに乗り、二階のペデストリアンデッキへと向かった。


 ちなみにペデストリアンデッキとは、広場と横断歩道橋の両機能を併せ持ち、建物と接続して建設された、歩行者通行専用の高架建築物である。(ウィキペディア抜粋)


 そう、待ち合わせの餃子像は、駅から隣の駅ビルを繋ぐ歩道橋兼、広場の中央にあるのだ。


 駅の構内から高架橋に出ると、お目当ての広場には、なにやら人だかりが出来ていた。


 ん? 何かイベントでもやってんのか?

 まずいなぁ……ちゃんと合流できるかな? こんな事なら、携帯番号を聞いときゃよかった。


 そんな事を思いながら近づいて行くと、その人だかりの違和感に気づく。そう、人だかりと言うには、随分と遠巻きなのだ。


 何なんだ、いったい……?


 首を傾げながら人混みをかき分け前に出ると、そこで驚愕のあまり思わず自分の目を疑った。


 約束の餃子の像を中心に出来た、遠巻きな人だかり。


 そして、その中心に居たのはお目当ての少女。待ち合わせ時間の三十分前に来ていたのは驚きだが、それ以上に驚いたのは彼女の服装。

 お目当ての少女は、一部の隙もない藍色の高そうな着物を着て立っていのだ。


 たかが休日に、ちょっと遊びへ行くだけなのに着物って……


 しかし……しかしであるっ!

 オレとて、あの人智を超えた秘境である、お嬢様学院で数週間過して来た男。確かに驚きはしたが、この程度ならある意味想定内だ。


 オレが驚愕に目を疑ったのは、可憐な少女の周りに立つ、屈強な乙女軍団である。


 おそらく彼女のボディガードなのだろう。お揃いのジャージに竹刀を持ち、遠巻きな人だかりへ睨みを効かせる七人の乙女達。


 身長体重そして年齢共に、全員がおそらくオレよりも上であろう乙女達。

 そしてその風体は、強豪体育大学の武道系運動部、もしくは女子プロレス団体の悪役(ヒール)軍団と言った感じだ。


 可憐な着物少女の周りに、竹刀を持った屈強な乙女軍団……

 そりゃあ、遠巻きな人だかりが出来るのも頷ける。


 頷けはするのだが………………どうしよう?


 北原さんを取り囲む乙女軍団が放つ、人を寄せ付けないオーラによって餃子像の周りには『何人(なんぴと)にも侵されざる、聖なる領域』が形成されている。


 確かに男性恐怖症の彼女に、男を寄せ付けないと言う意味ではとても有効だろう。正直オレ自身、あのAT○ィールドに飛び込む勇気はない。

 更に、あの屈強なお姉様方々の知り合いと思われるのも、これまた正直避けたい。


 なんとか北原さんだけと合流出来ないものか……? やはり、携帯番号を聞いときゃよかった。


 遠巻きの人だかりに紛れ、そんな事を考えていると、軍団の中心に居た和服美少女と目が合ってしまった。


「南先生ぇ~」


 屈託のない笑顔で、無邪気に手を振る和装美少女…………と、昭和のヤンキーみたいな目付きでガンを飛ばして来る、七人の屈強なお乙女軍団。


 その攻撃的な視線を受け、オレの周りに居たギャラリー達は、まるで波が引くようにサァ~、と離れて行く。


 まさに孤立無援状態で、二つ屈託のない瞳と十四個の睨むような瞳に晒されるオレ。


 し、仕方ない……こうなったら、腹を括ろう。


「や、やあ……待った?」


 オレは平静を装い、フレンドリーに声を掛けながら近付いて行く――が。

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