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魔法国アルカディア (1)

「ほらお客さん、着いたぜ?ここが魔法国アルカディアさ!」


馬車の運転手に言われ、オレは馬車降りると


「すっげーーーー!!!!ここが魔法国アルカディアかぁ!!」


オレは思わずその場で叫んでしまう


今まで色んな国に行ってきたが、まぁ何というか異世界感というのが無かったのだが…


この国の人々は魔法が使える人が多いらしく、サーカスか何かをやってる人は、魔法を使い、色んな技を披露してたり、浮遊魔法で移動をしていたり、飲み物を飲んでいる人は、手を使わず魔法を使って飲んでいたりと、常に魔法を使ってる人達がたくさんいた


「お客さん、感動してるとこ悪いけど、代金の3万Eは払ってくれよ?」


運転手に言われ、オレは3万Eを運転手に渡す


「毎度あり!楽しんでいけよー」


と言って、運転手は去っていく


ど、どうしよう。特殊クエストに来たわけだが、観光でもしようかな


こんな楽しそうな街にせっかく来たんだ。

観光しても罰は当たらんだろう


オレはそう思い、歩き出そうとすると


「あれ?ユウキ殿じゃないか?」


背後から声がかかる


ん?この声、もしかして


振り返るとそこには


「あー!ヨハンじゃねーか!!」


濃い緑の髪色をした、イケメン少年ヨハンがいた。


ヨハンは、帝都の決闘場でアイリスを賭けて勝負をした仲だ。……仲良くはないな


「やっぱりユウキ殿か。お久しぶりだ」


ヨハンはそう言って握手をしてくる


あれ?オレとコイツって、こんな仲良かったっけ?


「ユウキ殿もやっぱり『神の憤怒』が目的で来たのか?」


「というとヨハンもか?」


オレが尋ねるとヨハンはコクリと頷き


「あぁ。みんなで一緒にね。」


おい、みんなって言うとまさか…



「ーー久しぶりね、愚民!」



背後から声がし、振り向こうとすると


「おわっ!」


背後のそいつに背中を蹴られ、その場に倒れる


「いてててて…。くそ!この声、ルティアだな!」


振り返ると、やっぱりそこには、赤茶の髪色をした美少女、ルティアがいた。


コイツは帝都の決闘場でオレと戦い、オレにコテンパンにされて以来、何かと突っかかってくるのだ


「ふん!愚民風情が私に話しかけないで!」


「お前から話しかけてきたんだろうが!っていうか、お前も平民だろうが!」


「確かに私は平民よ!けどね、私は貴族のヨハン達と同レベルの平民。あなたは薄汚い部屋で暮らす、薄汚い平民。つまり愚民よ」


こ、こいつ……相変わらずムカつく


「まぁまぁ2人とも落ち着いて。ところでユウキ殿がいるって事はアイリスさんも来ているのかい?」


ヨハンはオレに尋ねながら、辺りを見渡す


こいつ…まだアイリスを諦めて無かったのか


「残念だがオレ1人だ。あいつらは今、エレメンタリーにいるよ。」


オレがそう言うとヨハンは驚いた顔をして


「え?って事はアレかい?特殊ダンジョンには1人で乗り込むのか!?」


「まぁな」


やっぱり1人は危険だよなぁ。まぁ、だからってアイリス達を巻き込めないし


「は、はぁ!?1人で『神の感情』のダンジョンに挑むとか、あんた自殺希望者なわけぇ?」


ルティアはオレの発言に声を張り上げる


「仕方ないだろ。アイリス達からは大反対を食らったんだ。無理やり連れてくるわけにもいかないし。」


これは命がけのダンジョンらしいし、行く意思の無いが者を無理やり連れて行くのは可哀想だ


「……へ、へぇ、な、なら私が特別にあんたと組んであげてもーー


「いや、遠慮する」


ルティアの言葉を遮り、オレは拒否する


「……ッ!あんた何か、特殊ダンジョンでくたばっちまえばいいわよ!」


と言って、ルティアは怒ってどっかに去っていく


「……君は気づいているかい?ルティアの気持ちに」


ヨハンはルティアの去った方を見ながら、オレに尋ねてくる


そんなの決まってんだろ


「気づいてるよ。アレは多分オレに惚れてんだろ」


どっかの鈍感ラブコメ主人公じゃないんでね。流石に気づくさ


「……そうか。なら、どうかルティアを幸せにしてやってくれないか?彼女はルックスもスタイルも悪く無いだろう?それに、平民とは言え、かなりの貯金もある。結構悪く無いと思うが?」


なんだ?コイツにしては珍しく……いや、オレはコイツの事なんて何も知らないや。


もしかしたら、第一印象が悪かっただけで、案外良い奴なのかもな。


「嫌だよ。オレは性格の悪い奴は嫌いだ」


まぁそれとこれは別だけど


「…ッ!彼女は確かに性格は少しアレだが、でもアレは照れ隠しみたいなもので!」


「知ってるよ。つか、何でそんな必死なんだ?お前ってそんなキャラだっけ?」


「…彼女は僕がパーティにスカウトしたんだ」


それは知ってる。前にルティアが言ってからな


「けど、ウチのパーティってほら、貴族出身が多い…というかルティア以外がそうだろ?だから、彼女はちょっと浮いちゃってね」


意外だな。ヨハンのパーティは結構仲良さそうに見えたが…


「まぁみんなはそんな気は無いんだ。ただ、彼女自信が僕達を避けててね」


なるほどな。自分だけが貴族じゃ無い事にコンプレックスを抱いたわけか


「もちろん、みんなは彼女にたくさん話しかけたさ。けど、彼女の方からだんだん距離をとっていってね。遂には業務連絡の時しか発言しなくなっちゃったんだ。」


まぁ、何かあいつの性格からしてありそうな話だな


「けどそんなある日、というか決闘場終わってから彼女が突然話しかけてきてね。まぁ、話す事と言えば君の話ばっかでね。それである時提案したんだ。『ユウキ殿のパーティに加入しても良いよ』って」


「おい、勝手にそんな話を進めるんじゃ…」


オレがヨハンに文句を言おうとすると、ヨハンは手でそれを遮る


「そしたら彼女は『私のパーティはここだから。』って言ってね。だからせめて、パーティ以外で君との仲を取り持ってあげたくてね」


…決闘場では色々あったが、こいつらって案外良い奴なのか?


「で、どうだい?性格を抜きで考えれば彼女は本当にオススメだよ」


いや、そんな事言われてもな…


「そんなのオレには……」


関係無い、と言おうとしてオレは固まる


あのルティアの姿が、かつてギルドの端のテーブルに1人寂しく座っていた、1人の少女と重なってしまったからだ。


誰ともパーティを組まず、喋りかけても大して反応を示さず、けど内心はとても寂しがり屋なかつてのアイリスに


……あーもう!くそ!仕方ないなぁ!


「彼女とかにはなれないが、友達くらいにはなってやるよ」


オレがそう言うと、ヨハンは嬉しそうな顔をして


「ありがとう、ぜひ彼女にも伝えてやってくれ!!彼女は『月の宿』ってとこの宿にいるから」


「はいよ、仕方ないなぁ」


オレはそう言って、ヨハンに背を向け歩き出す


すると再びヨハンが「ちょっと待ってくれ」とオレを呼び止める


「なに!?今からルティアに会いに行くんだけど!」


せっかくこっちがやる気だしたと思ったら今度は何ですか!?


オレが怒鳴ると、ヨハンは申し訳なさそうに


「あ、あの、月の宿は逆方向だよ?」


と言ってくる


……今着いたばっかなんだよ











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