4 前世と理想
キャーーーーー〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
だ、だめーーーーー〜〜!!!!!
かかか、カッコ良すぎる!どんどん脳みそが沸騰しているわ。こんなの直視できない。こんなのって、こんなのって、
わたしはつい考えていたことそのまま、大声で叫んでしまった。
「ダ、ダッメですわ!そ、そんなキラッキラの笑顔でわたしを落とそうだなんて!!わたしにはわかるんです!あなたとわたしは絶対合いません!!」
そうよ、ディライラ!!あんたは軽い女じゃないの!よく言った!!!!
……チラとみると、彼の方はわたしの大声に呆気に取られているようだ。固まっている。
わたしははぁっ、はぁっと息を吐きながら、や、やってしまった、、と今度は青くなった。
そう、わたしの前世からの本性は、超真面目そうとみんなから言われる猫被りおとなしいお淑やか令嬢にみえて、その本性はわがまま・辛辣・口が悪い・策略を練って陰で刺すというまさに陰湿悪役令嬢にぴったりなタイプなのだ!
いつもなら完璧な仮面をかぶっていられるのに、つい本性が出てしまった……。どうしようっ!!どうすればいいのっ???
っていうか我ながら悪役令嬢ぴったりだなっ。
と、わたしが顔にはお首も出さず、その実内心焦りまくっていると、シアルト様が困惑したように言った。
わたしと違って、とても冷静に。
「……君と僕が合わないって、どういう意味?家格は釣り合っているし、年齢も…。それとも、性格的な面の話をしているのかな?」
「そ、そうです」
「どうして、合わないってわかるの?」
彼はいかにも不思議そうな表情だ。それはそうである。
「そ、それは……」
「わたしのアンテナがあなたを警戒しろって言ってるんですよ!!なぜなら私には前世の記憶があって、しかも私はどうみても悪役令嬢!ムリっ、ムリ過ぎ!だってあんた絶対攻略対象でしょっ!!」
とは、口が裂けても言えない。
どどど、どうする、ディライラ・シャールトン?!
するとわたしの言葉に考え込んでいた様子のシアルト様が、口を開いた。すごく悲しげに、目尻を下げて。
「……つまり、僕は君の好みじゃないんだね」
ぜんっぜん、ち・が・い・ま・す!!!!
むしろ、その逆です!!!!
めちゃくちゃドンピシャ好みです!!!!
そんなわたしの必死な形相に何を思ったのか、シアルト様は、
「……ディライラは優しいから、遠回しにしか言えなかったんだね。でもどうか、僕にチャンスをくれないか?ディライラの理想のタイプを教えてほしい。それに近づけるよう努力するから」
と、斜め上すぎる回答を出してきた。
……もしやシアルト様ってちょっと天然…??
か、かわいい!!!
やばいやばいやばい、本当に好きですやばいです神様ありがとうっ!!
わたしは、物腰が柔らかくてスマートな感じで爽やかで笑顔がとびきり優しくて、わたしが裏でリードできる感じに純粋で、わたしの言うことなんでも聞いて甘やかしてくれて、わたしの全てを受け入れてくれて、わたしの口がどれだけ悪くても笑って流してくれて、わたしにだけ優しくて、他の女になんて見向きもしなくて、浮気の心配もかけらもないくらい愛してくれて、ちょっと周りにあんまり馴染めなくてわたしだけ特別扱いで、スパダリで、でもヤンデレで、明るい茶髪にライトグリーンの瞳っていうのが理想なのである。
理想が細かすぎるって??自分でも前世、そう思ってたよ。
実際、そんなキャラはどのアニメにも小説にもいなかったよっ!!
なのにっ!!!!!!!
それが今目の前に具現化されているっ!!(とりあえず外見と雰囲気は完璧!!!)
そんな彼がわたしに求婚している!理想のタイプを聞かれている!!
こっこれは、彼をこっそり誘導して、わたしの理想のタイプに育ててしまえばいいのでは??
……えっ?ちょっと待って、それ、めちゃくちゃ名案じゃない??わたしってやっぱり天才???
「シ、シアルト様っ!!わたしっ、わたし、……」




