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隊商に拾われたようです。

すごい!毎日投稿なのにPVが伸びてる!

私としては初めての経験!

 うあー。どんどん落ちてくー。でも地面がまだ遠いなー。


「旅をするっていっても何処にいこうかなぁ……やっぱり最初は街かなぁ」


 リューノルガ大陸を見てみれば緑色で覆われている場所が多いけど、茶色のモザイクに見える所が点々としてある。あれが街とかじゃないかな。


「よーし!じゃあ、あの北にある大きなところに行こうかな!飛べー!僕は飛行猫だー!」


 なんだそれ。


 ここでまた一つ魔法を創り出そう。空を自由に飛べるようになる魔法!


「名前はー……空の、飛ぶ、えー……《空飛猫》!」


 そのまんまな名前だけど、速く着きたいから頭の中のイメージは戦闘機。

 名前を決めてから、どんな風な魔法を使うか考える。普通逆だよね、きっと。


「うーんと、風と、火……は要らないか。重力はあった方がいいのかなぁ。時空魔法は使ったらつまんないからなぁ……こうかな?」


 イメージを頭の中で固定化させて、魔法を組み合わせ、発動する。すると自由落下だった僕の身体が、地面に向かって空気抵抗を感じずに高速で飛んでいく。


「……おおおおお!?速い!でも楽しい!うひゃー!」


 そのまま街(というより国といった方がいいかな?)に突っ込むのはどうかと思って、やや南寄りの草原に降り立つ。


「とーちゃく、と。よし、ここからあの城壁に向かって歩こう……うわー!凄いなぁ、本物の城壁だよ!」


 人間の物集女雄二郎の時は日本から出たことないし、生で城を見るのは初めて!

 石っていうか、鉄で出来てるのかな?照り返っているし。高さも……何十メートルあるんだろ。


「あ、でも旅行で熊本城は見たことあるなぁ……アレは、うん、ノーカン」


 時間なんて有り余っているから、とてとてとゆっくり歩いて風景を楽しんでると、平原にも魔物が普通に生息してるのが分かる。


(いやぁ……それにしても)


 魔物、弱過ぎやしないかな……


 厳つそうなバッファローのような魔物も、人間だった時は怖かっただろうけど、今じゃちっとも怖くない。吹けば飛んでいきそうだ。


「むぅ、『最果ての霊峰』にいる魔物は強かったのかな?テロスさんが強いってのはわかるんだけど」


 まぁ、名前がカッコイイから凄いところではあるんだろうなぁ。

 そんな調子ならば僕がこのまま街に行っても、化け物扱いされてしまいそうだ。こんなにも可愛い猫ちゃんなのに。


 そうと分かれば、偽装しよう。


「まず、この額の石は見えないように魔法を掛けといて……あと、魔力を漏れないように、こう……いや、こう……うーん……こう!よし!これで僕はどっからどう見ても!」


 普通の猫!!


 て、あっ!この世界、普通の動物は居ないんだった!あちゃー!


 ……まぁ、でも。見つかってない珍しい猫型の魔物だって居るよ。


「ふふん……猫のカリィノは草原をひたすらに歩く。脚を土で汚しながら、まだ名も知らぬリューノルガ大陸の国へ単身向かうのであった……」


 ああ、もうあらすじだけで泣ける。普通の猫なら苦難を乗り越えていくんだろうなぁ……カリィノ(僕)の場合は、うん。


「……と、うん?」


 何人か、後ろから近付いてくる気配がする。

 あー……普通の猫は気付かない、よね?気付いてない振りをしとこう。

 十分もしないうちに、後ろからガタゴトと音を立てて、何かが近付いてきていた。

 魔法を使って見てみたいけど、バレたら偽装した意味が無いから、振り返るだけにする。


(おお、これは。商人の馬車みたいな……キャラバンとかかな?三車両だけだけど)

「お……?おおい!メリエ!来てみろ!見たことない猫の魔物が居るぞ!」


 すると馬を御していた、髭が濃い男が後ろに向かって叫ぶ。

 すると間もなく、十歳くらいの青色で短い髪の少女が、キラキラな笑顔で走ってきた。


(わー……髪色が。それだけでファンタジーだね)

「きゃー!!ほんと!見たことない!可愛い!可愛い!!」

(おっとっと、危ない、《侵入禁止区域》は解除っと……)


 僕は無抵抗に少女に抱きかかえられる。まぁこれも猫の宿命だよね。でもその抱き方だと口から何か出そう……


「おいおいメリエ……ちゃんと尻を持ってやんなきゃ苦しいぞ?」

「お父さんうるさい!大丈夫だから!……よしよーし可愛いねー」


 お父さん?似てないなぁ、娘さんは青色の髪なのに、お父さんの毛は黒いんだね。


(いやぁ、お父さんの言うことは合ってるから……お尻持って支えて欲しいなぁ)

「にゃー……(苦しい……)」

「……野生の魔物にしては随分大人しいな。ミスダさんなら、なんて種類か知ってるかもな」

「あ、丁度来たよ。ミスダさーん!」


 女の子が手を振る方を見てみれば、いかにも騎士といった風貌の女性が馬に乗ってこっちへ来た。顔だけ見える見えるけど、美人というより可愛い顔だね。


(おっ……この人は弱くはないな)


 この辺の魔物とかと比べると多くの魔力を持っているのが分かる。

 それでも鬼いさんにさえ及ばないくらいかなぁ。(鬼いさんは『最果ての霊峰』の中ではかなり弱い方の魔物だったんだよね……)


「どうしたの、メリエちゃん?あら、珍しい。猫の魔物じゃない」

「ミスダさん。この魔物、どんな種類か分からない?飼いたいんだけど!」

「飼うなんて言ってないぞメリ「お父さんうるさい!黙って!!」


 目に見えてショボンとするお父さん。僕が居るのを教えたのはお父さんなのに……メリエちゃんは親に強気ですなぁ。


「……うーんごめん、分からない。黒の毛色で尻尾の先が……なにこれ金色?聞いたことないわ」

「そうなの?この子、珍しい魔物なんだ!」

「王国屈指の聖騎士でもわからないのか……危険じゃないか?」

「……魔力は弱いわ、見たとこだけどね。潜在能力が高いのかもしれない」

「えー!クロちゃん飼えないのー!?」

(わお僕の名前決まってるッしかも安直ッ)

「ふふ、逆よ。子どもだからそんなに強くないかもしれないけど……大人になったらとっても強くなるかもしれないの。だから今のうち飼って、友達になっていれば、将来心強いパートナーになるかもしれないわよ?」


 あー、なるほど。魔物使いってやつかな。

 僕がみたところメリエちゃんは魔力が強い訳でもなさそうだしねー。僕は構わないけど。

 ……僕の寿命ってどれくらいなんだろ?今度『最果ての霊峰』に帰ったらテロスさんに教えてもらおう。


「そーなんだ!じゃあクロちゃん、これからよろしくね!」

「にゃーん(はーい)」

「あら!返事をするなんて利口な子ね」


 なんとなく返事しちゃったけど怪しまれなかった。良かったー。


「あと半日くらいで着くからなー……」


 メリエちゃんのお父さんは小声でそう言うと、前を向いて微動だにしなくなった。寂しそうに丸まった背が哀愁漂ってる……


「にゃーん」

「あっ!」


 可愛がってくれるメリエちゃんとミスダさんの手からスルリと抜けて、お父さんの横に座ってあげる。


「にぃー(元気出しなよ)」

「お、おお……!良い子だなぁ……よしよし」


 ほっこりした顔でメリエちゃんのお父さんが僕の背中を撫でていると、嫉妬したメリエちゃんがお父さんにドロップキック。

 容赦ない。

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