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PAINT IT BLACK  作者: ねずおあきとし
ブラック・ロータス編
9/9

阿修羅、決着

東条は、完全に意識を失った蓮を背後に、阿修羅の全員を前に立っていた。


「源、俺の部下たちはどうだった?」


「ここの小僧が、ほとんどを片付けた。桂まで一撃で倒した」


「だろう? こいつを頻繁に見かけるようになっても、驚くなよ……」


東条は蓮を見た。


「あの子は、俺の理想を叶えるために手を貸してくれる」


「残念だな、東条。お前の理想はここで終わりだ。お前も、彼らも」


源は大翔を見た。


「小僧、お前もそろそろ働き始めてもらうぞ……今日、東条修吾は自分の墓を掘るんだ」


東条は学ランを脱ぎ、眼鏡を芝生に投げ捨てた。


「ふぅ……後悔するなよ」


東条と源の視線が交差した。その緊張感は凄まじく、阿修羅のメンバーさえも恐怖と動揺を感じた。


「大翔ちゃん、誰にお前をやられた?」


大翔は傷ついた顔を触り、悪魔を指さした。


「よし!」


ドッ!


悪魔はその日、三度目の意識を失った。


「全員、かかれ!」


東条は深く息を吸った。


「来い!」


赤いジャケットの渦――阿修羅の色――が形成された。次々と倒れるメンバーの中、東条は集中し、常に前方、背後、側面を警戒していた。


東条の蹴りは、雄牛の群れのような威力だった。


「くそ……捕まえろ!」


六人のメンバーが東条を捕まえ、源は地面にあったバットを拾った。


「本気でやるってわけか」


「いつだって本気だ、この野郎!」


ゴッ!


「当たった!」


東条の頭がゆっくりと下がっていく。


「本当に当たった!」


笑い声。


「誰に当たったって?」


源は驚いた。バットの一撃は、東条を後ろから拘束していた自分の部下に当たっていた。東条は拘束から抜け出し、残りの四人を倒した。


「親分! 撤退を――」


ゴッ!


そのメンバーは源によって倒された。


「ふざけるな! 俺たちは阿修羅だ! 撤退などするか!」


「それが賢明な判断じゃなかったな、源。阿修羅のリーダー……いや、元リーダー」


源が振り返る。


「これで終わりだ」


かかとでの蹴りが、彼の顔面を砕いた。


全員が倒れた。阿修羅は敗北した。


――そう、東条は思った。


「修吾くん、危ない!」と結衣。


「兄ちゃん! やめて!」


背後に気配を感じた瞬間、東条は阿修羅のメンバーに襲われた。


「死ね、この野郎!」


悪魔がナイフを手に、卑劣にも刺そうとしていた。東条はとっさに反応し、ナイフを手で受け止めた。痛みの叫びを堪えた。


東条は怒りに満ちて悪魔を睨んだ。


「ナイフか……?」


悪魔は東条が近づくにつれ、後ずさった。


「はああああああああああああああああああああ!!!!!」


全力の一撃が顔面に直撃し、悪魔は意識を失った。


一ノ瀬が東条に駆け寄り、手の傷を手当てした。


「バカ! ナイフを無理に掴んだら、指を失うところだったよ!」


「でも、失わなかっただろ?」


「兄ちゃん!!!」


大翔が泣きながら東条に抱きついた。東条は安堵の表情で弟を見た。


「大丈夫だ、大翔ちゃん……全部うまくいく……」


篠崎と五十嵐も少しずつ立ち上がっていた。彼らは東条たちを守ろうとしていた。


「五十嵐、フィン。よくやった」


「修吾、黒に礼を言えよ……」


「フィンの言う通りだ。黒がほとんどを片付けた」


「そうか。じゃあ、起きられるようになったら礼を言うよ」


遠くからサイレンの音が聞こえた。


「おっと……」


「まずいな……」


「誰か警察を呼んだのか!?」


「きっと近所の誰かよ」


「逃げるぞ! 行くぞ! 五十嵐! フィン! 黒を俺の家まで運べ! 大翔! お前も一緒だ!」


「うん!」


清流はその場を去った。蓮は篠崎と五十嵐に抱えられ、大翔が付き添った。東条は一ノ瀬を乗せてバイクで。


警察が到着した時には、彼らはもう別の場所にいた。警察は阿修羅のメンバーを逮捕した。警官の一人が、悪魔のナイフの近くの血の跡を見つめた。


◇


清流は黒と東条のマンションに着いた。蓮を慎重に運び、東条の部屋へ向かった。蓮をソファに寝かせ、残りは休憩した。


「とんでもない午後だったな」


篠崎と五十嵐は怒った顔で東条を見ていた。


「少なくとも、校長との交渉は進んだのか?」とフィン。


東条は落ち着いて答えた。


「ああ……でも、それは明日話す。とりあえず、もう帰っていい」


「忘れるところだった……東条……黒はこの近くに住んでるのか?」


「なぜそう思う?」


「だって……戦ってる時、ずっとこっちの方向を見てたから……」


「本当だ! この階に住んでるんだ!」


東条のアパートは驚きの声に包まれた。


「みんな、最後の頼みがある……」


◇


三十分後、蓮は目を覚ました。最初に見たのは、ブラックホープの三人と一ノ瀬、そして大翔の驚いた顔だった。


「ここは?」


「俺の家だ! ははは……」


「頭が痛い……というか、体中が痛い……」


蓮は壁の時計を見た。


「くそ! 今日は妹の誕生日だ!」


「えええ!? 本当か!?」


「だからあんなに集中してなかったのか」とフィン。


「ああ、理由がわかった」と五十嵐。


「なぜ先に言ってくれなかったんだ!? 知ってたらもっと誰かを送ったのに!」


蓮は突然立ち上がり、鏡を見た。


「くそ……こんな姿で家に帰れない……咲奈に殺される……」


「本当か? お前は殺しても死なないぞ、黒――」


五十嵐が篠崎の口を塞いだ。


「シーッ、文字通りに受け取るな、フィン」


東条は手を叩いた。


「結衣ちゃん!」


「はい!」


「黒くん、今から結衣ちゃんがなぜ俺たちにとって大切か分かるぞ」


「じっとしててください、黒さん」


悲鳴と文句の中で……


「よし!」


「何をしたんだ……」


「お前の傷は完全に隠れた!」


「……」


「よし、みんな、計画の第二段階だ!」


「第二段階があるのか?」とフィン。


「まあ……今考えた」


大翔と一ノ瀬が近づいた。


「今……」


「……考えた?」


◇


黒家。


「もう遅いわね……」と愛美。


「あのバカ、また問題を起こしたんだ……バカ兄……」と咲奈。


「泣かないで、娘よ……兄ちゃんはもうすぐ帰ってくる」と篤。


「ワン!」


トントントン……


「きっと彼だ! 開けるよ」


篤がドアを開けた。


「こんにちは!」


黒家は静まり返った。


「……」


愛美は東条を認識した。


「あなたは……ご近所さんですよね?」


「黒さん、はい! 正式にご挨拶してませんでしたが、東条修吾と申します。ご近所で、手芸部の部長もしています」


篠崎と五十嵐が、蓮を支えながら入ってきた。


(手芸部? この三人が?)と咲奈は思った。


「あら! でもどうしたの?」


「それが……ええと……」


大翔が入ってきて説明した。


「放課後、蓮さんたちが公園で僕と遊んでくれたんです! でも、兄ちゃんが僕を強く押したから、僕が蓮さんを蹴っちゃって……」


蓮の両親は一瞬、戸惑った。


(本当にそんな言い訳を信じるのか? うちの家族はそこまでバカじゃ……)と蓮は思った。


「ああ! なるほど! それなら事故だね!」


「わざわざ家まで送ってくださって……ありがとうございます!」


「ワン!」


蓮、篠崎、五十嵐、一ノ瀬の顔に、悪い意味での驚きの表情が現れた。


(本当に……信じた?)


東条は挨拶をして、全員帰っていった。蓮はゆっくりと立ち上がった。


「咲奈……誕生日おめ――」


咲奈は遮り、蓮に近づいた。


「私、そんなにバカじゃないよ、バカ兄……」


「咲奈……」


「でもいいよ、間に合ったから」


蓮は安堵のため息をついた。黒家の誕生日会が始まった。食卓に座り、ケーキを食べていた。蓮は痛みの中で汗をかき始めた。


「蓮、今日の授業はどうだった?」と篤。


「ああ……まあまあかな……」


「たくさん友達ができたといいね!」と愛美。


「ああ、まあ……」


蓮は顔をこすり、化粧が溶け始めた。全員が蓮の殴られた顔を見た。


「事故ね、そうでしょうね……」と咲奈。


「説明できる……」


■ 後書き


PAINT IT BLACK 第一部「ブラック・ロータス編」、これにて完結です!


ここまで読んでくれてありがとうございました!


楽しんでもらえたら、ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです!


これからも物語は続いていきます。ぜひお付き合いください!



—ネズオ・アキトシ

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