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その31 「身辺」で生きていけ 夭折
「身辺」で生きていけ
七分でいい
すぐパンパンに張り切ってしまうが
ふっと抜いて
三分は相手のために
残しておけ
ぬいた三分で
お前も息を継げるのだ
所詮 人間は
人間に浮いている
己の意志も
人間が醸し出すもの
身体の外縁から溶け出し
身体を包んでいる
フワフワとした靄
透明なゼラチン
―「身辺」と呼ぼう
ここで人は人と接する
やわらかな「身辺」であれば
自他の電気がより多く
ViViと飛び交う
ぱっくんと
エネルギーをもらい
楽しく生きていけよ
夭折
坂本梧朗
短かった時間
詰めすぎた
生き急いだ
この世では
寛げなかった
弱かった
百歳が覚える感懐を
二十歳で知り得た
もっと生きたかった
もう十分だった
「馬齢」という言葉とは
無縁でいられた
ポキンと折れた
茎の先から
滴る水




