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私の住む千葉県木更津市には大型のイオンモールがある。木更津市は特に娯楽もなく特色もない町なので遊びに行くとすれば三井アウトレットパークに行く人が多いのだが、私は築地にあるイオンモールが好きである。三井アウトレットパークはお洒落な店が多く、なんだか気後れしてまうというのと、よくわからない外国のお店もなんだか落ち着かない。その点イオンモールは、おなじみのチェーン店ばかりだし、洋服店もユニクロやH&Mなど、お店の人が話しかけてこないタイプの店が大きな面積を占めておりとても快適だ。
また、イオンモール木更津店も面積が大きく駅から送迎バスが出ているほどなので大きな書店やペットショップ、フードコートやゲームセンターも充実しており、私はイオンモールが大好きだ。
友達や家族といくのも好きだが、私はイオンモールにふらっと一人で行く時間がとても好きだ。
今日は空が白っぽく見えるうんざりするような曇りの日だ。今日は部活がなかったので授業が終わるとまっすぐ帰って受験勉強をしようと思い私は自転車を走らせていた。
自転車に乗りながら受験勉強の進行具合などを考えていたら新しい英単語の参考書が必要だと思い出した。
家の近所にも小さな書店はいくつかあるが、品揃えも微妙だし中学生だと露骨に万引きを疑ってきて気分が悪いのであまり行きたくない。その日の天気が曇りで1日どんよりとした雰囲気だったのもあって私は気分転換も兼ねてイオンモールの大型書店まで行くことにした。
いつもより少し長めに自転車で走り、駐輪場に自転車を止めてイオンモールに入る。
もう何回もイオンモールには来ているけれどやはり入った瞬間のこの感じは何度味わってもいいものがある。床は分厚いカーペットが敷いてあるのでなんだかフワフワして現実感がなくなる。そしてなんだか空気が外と違ういいにおいがする。キャラメルポップコーンとプラスチックを混ぜたような人工的なテーマパークのようなにおいだ。こうなるともう参考書のことなど二の次になり、イオンモールに夢中になってしまう。
そんなにお小遣いをたくさんもらっているわけではないのでしょっちゅう買い物ができるわけではないが、非現実感がとても楽しいのだ。
私はペットショップを覗いたり、雑貨を見たりしてなるべく書店に行くのを先延ばしにしていた。
特にペットショップの観賞魚コーナーは最高だ。小学生の時グッピーをすべて死なせてしまってからなかなか踏ん切りがつかないが魚は大好きなのでいつかまた飼いたいと思っている。もし飼うならどれがいいかと想像するだけであっという間に時間が過ぎてしまった。
フードコートで休憩しウォーターサーバーの水を飲んでいると、受験生がこんなことをしている後ろめたさが急に襲ってきた。
参考書を買ってもう帰ろう。そう思い私は書店へ向かった。




