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第1節

 薄明かりのヴァスコ号のブリッジには、クルーが全員集合していた。幸い怪我人もおらず、ドクター・ナデージュがマニピュレーターにぶら下げた医療キットが所在無げにしていることが逆に頼もしい。安堵の空気を真一文字に切り裂いたのは、平泉沙耶香艦長の号令である。


報告(レポォート)!!」


柳太郎は何故彼女が「代表連合」の号令をかけたのか? なんてことを考える暇もなく、勝手に背筋が伸びて両手を腰の後ろに回して直立不動になっていた。それにジョンが吹き出してからようやく可笑しいことには気付いたが、他の皆も柳太郎に倣って同じ姿勢を取る。


「いよっし、まずはアタシ達の状況を確認してみようじゃ無いか。長野機関長、(ふね)のダメージは?」


「イエス、マム!」を語頭に付けるのを忘れずに、柳太郎は報告を始める。


「融合炉は着地の衝撃で強制停止しちまった。そのせいで主電力の供給は遮断、いくつかのモジュールは自己診断システムすら死んでて損傷の程度は不明だ。でも、中枢モジュール(キール)のジョイントをアンロックしてるし、バラストも効いてたハズだ。衝撃が上手いこと逃げてくれたなら修復不能にはなってないだろう。それまで生命維持は非常用バッテリーに頼ることになる。普通に使ってりゃ1ヶ月分の電力だ」


「分かった、ありがとう」と沙耶香に言われてから柳太郎は一歩下がる。次に彼女の視線はベッキーに向いた。


「シン副操縦士、シーカーの調査結果を」


「Yes,ma'am. この星は不思議なくらい地球の環境と似ていマス。ほぼ1気圧で1G、大気は窒素を中心に酸素、二酸化炭素を含んでいて、周囲の気温は20℃前後。ヴァスコがdiveしちゃった樹木も炭素ベースの生命で間違いないみたいデス。ネ、麒麟センセ?」


ベッキーの目配せを受けて「ええ、僭越ながら報告申し上げます」と麒麟が一歩前に出る。


「シーカーからの映像を私も見せていただきました。ヴァスコ着底の直前に、無数の鳥類と思しき影が飛び立っていくのも確認できています。地球と同じく、生態系が存在すると考えて良いかと」


「なるほど。…だが、そこまで地球と似てるってんなら、ここは地球なんじゃないのか? GPSの反応は?」


だとすれば大大ラッキーな今後になるところだが、ベッキーは弱々しく首を振って否定する。


「GPSだけじゃなく、ヴァスコからのあらゆるシグナルに応答する人工衛星はありませんデシタ…。それに、大気組成に数パーセント、地球と違う点があるんデス」


「アミノ酸に似た物質が確認されているのですよ、艦長。詳しい性質はもう少し調べてみないとわかりませんが、もし船外に出るならマスクはした方が良いかも知れません」


沙耶香は少し考えたあとに、ジョンへ「ヴォイジャー5のリストに、そんな星あったか?」と訊いた。彼は丸太のように太い腕を組んだまま、やはりパイロットサングラスを左右へ揺らす。


「無いね。V5の探索範囲じゃ生体資源の可能性のある惑星は見つかってない。つまりここは40番目の未知惑星、ミステリアス-40(フォウティー)てことになる」


「40番目の未知惑星」。前人未到の誰も知らない星。そんな場所にヴァスコ号は不時着してしまったのかも知れない、という事実に皆が静まり返る。ただ1人を除いて。


「確かめてみる方法が、あります」


手を挙げながら一歩前に出たのは小柄な女性だった。

ジャングルにでもいるかのようなフィールドワークファッションに見を包み、おさげ頭の頂には「インディ・ジョーンズ」のようにテンガロンハットを乗せているが、それでも柳太郎の肩にも届かないだろう。チープな青いフレームの眼鏡をかけた様子からは非常に子供っぽい印象を受けるが、正体は新進気鋭の地質・鉱物学者、森田(もりた)光輝(みつき)氏である。


「外に出るんです。自分の目で見て確かめるんですよ。もしここが本当にミステリアス-40なら大発見じゃないですか!」


こんな状況に遭ってもなお、光樹は瞳の中に好奇心の炎を燃やし煌めかせている。しかもそこに柳太郎が「いいんじゃねぇかな」と乗っかってきた。


「外装とバラストの破損状況を確認するのに船外作業が要るし、修復に着手してからも時間がかかるだろう。その間、フィールドワークでもしてて貰えば良い小銭稼ぎになるんじゃねぇか?」


「なるほど、そりゃあ結構だ!!」


沙耶香は膝を叩いて艦長席から立ち上がった。彼女は内心、愉快でしょうがなかったのだ。なにしろ光樹も柳太郎も、この状況から艦を修復し、無事に地球まで戻ることを前提として話をしているのだから。こんなにも心強く、励まされることは無い。


「リュウ、森田先生の2名は船外作業。艦の破損状況の調査及び、ミステ…なげぇな、M40(エム・フォウティ)のサンプル採取をやってくれ。マスク忘れんなよ?」


「あっ」と声をあげ麒麟も挙手をすると、「私も同行させていただきたい! 記録(ログ)作成も私の任務には含まれておりますからね!」などと本心が見え見えの嘆願をするが、沙耶香は「じゃあ宜しく頼むぞ」とあっさり許す。


「ベッキーとドクターは大気成分の詳細な分析を進めてくれ。ジョンは生きてる操縦系の確認作業。佐藤シェフは……」


彼女の目線の先に、寡黙な男がひとり腰に手を当てて立っている。頭髪を剃り上げた海兵隊風の男はしかし、軍属でも、そのOBでも無い。人生のより多くの時間を料理に捧げてきた三つ星コック、佐藤(さとう)敏夫(としお)氏だ。敏夫はそれまでガーゴイルの石像のように動かなかったのを解き放ち、ベッキーに「ここは今、何時(なんどき)だい?」と訊く。彼女は少しコンソールを叩いてから「太陽の位置と動きによれば、午前中かと思われマス」と答えた。


「なら、3人が戻ってくる頃には昼食を摂れるようにしておこう。ぼかぁ厨房に戻るよ、艦長?」


「ああ、楽しみにしてるぜ。そのために峰岸会長にアンタを呼ばせたたんだからな」


何を隠そう平泉沙耶香がヴァスコに乗船する条件として峰岸に突きつけたものの一つには「最高の船内食」という要求があった。そのために24世紀のたぬき親父が口説き落とした料理人こそが敏夫だったのである。今更そんな期待はプレッシャーにすらならないと言わんばかりに、彼は手を振って悠々と艦内の食堂フロアへと向かっていった。それを見て、各クルーも仕事の準備を始める。


かくして、ヴァスコ号の「ここは何処で、どう帰るか」という命題に挑む冒険が始まったのである。



 「わかりますよぉ、長野さん」

エアロックの手前、ガスマスクに取り付けられたインカム越しに光樹に名前を呼ばれ、柳太郎はちらっと隣を見た。ちんちくりん女史はマスクの上からさらにテンガロンを被り、ずり落ちないように丁寧に顎紐をかけている。


「長野さんも外、出たくてしょうがなかったんでしょう? 私あれ言うとき、ワンチャンぶっ飛ばされるんじゃないかと思いましたもん。やー、良い助け舟でした」


光樹の言うことはしっかり図星を突いていた。系外の、それも地球に似た環境の惑星なんて、特に柳太郎にとっては心ときめかないハズが無かった。きっと自分1人でここに放り込まれていたなら、帰ることなんて全く考えず、M40での生活を積極的に試みていたことだろう。しかしながら、その通り「いやーそうなんスよ!!」とは口が裂けたって言えない、言いたく無いというのが柳太郎だった。


「買い被り過ぎだ、森田先生ェ。あんたみたいな明るい好奇心は俺ぁ持ち合わせて無えさ」


会話をとっとと切り上げてしまおうとエアロックのハンドルに手をかけるが、そのとき麒麟がもぞもぞしているのが視界に入る。訝しんで彼の方を見ると、ガスマスクのフチをしきりに気にしている。「どうした、白河先生?」と声をかけると、「や、どうもマスクがキチンと嵌ってない気がするんだ」などと覗き穴からハの字の眉を覗かせる。


「んなもん、外に出てみりゃ分かるんじゃあねぇか」


「そんな殺生な!? 文字通りに!」


「冗談だ、一旦外してみろ」


麒麟にマスクを外させて、再度取り付け手順を確認する。どうも一部をすっぽかしたか、不十分なままだったらしい。すっかり収まりが良くなった輪郭を髭剃りのCMみたいに撫で回して満足げに礼を述べられたのを受け取ると、柳太郎は今度こそエアロックの隔壁を開けた。


 重厚な二重扉の向こう側から吹き込んできた風はいささかぬるい。3人がそれぞれ機材を手にステップを降りると、背の低い草が足元に生い茂る以外はすぐに確認のできないほど、周囲が霧に覆われていた。光樹は「うっひゃー、ホラゲみたいな星だぁ」なんて言うが、柳太郎は内心で、むしろこんな風なのが落ち着くなと思った。


「おそらく、ずっとこうではあるまいよ。ここの時間は午前中と言っていたし、日が高くなればこの霧も晴れるはずだ。ひょっとしたら、海が近いということも有り得る」


麒麟はクセで眼鏡を直そうとして、ガスマスクのフィルターに手を当ててしまい軽いアッパーを自分に食らわした。


「一応言っとくが、サンプル採取つってもあんまりあっちこっち行くなよ。3人纏まっての移動を心がけてくれ」


「へい!」だの「はぁ」だのイマイチ不安な返事を聞いてから、柳太郎を先頭にヴァスコ号の後部へと歩を進める。段々と見えてくる船体の全貌は、搭乗時に見たそれと比べてあまりにもぐにゃぐにゃに見えた。「これで本当に飛べるのかね…?」と麒麟が恐る恐る訊くと柳太郎は「"これで"良いんだ」と即答した。


「艦の中枢モジュール…キールって言うんだが、複数の容れ物が連結した構造になってんだ。ブースターとか居住区とか、他のモジュールは全部それぞれのキールにくっついてる。居住区だけ回転させて重力ブロックを作れるのもそのおかげだ」


「なるほど、つまりキールの連結を緩めてやれば……」


「そう、地形に合わせて接地面が変わるから、不時着のダメージを軽減できるってワケだな」


 そうこう話しているうちに目的の反重力発生装置、通称バラストの側までやってきた。柳太郎は頑強にロックされた外装を規定の手順で開放すると中のコンソール端末を接続するが、そもそもバラストの電源供給は死んでいるため、やはり自己診断すら走らない有様だった。


ひとつ溜息を吐くと、持参した数キログラムもあるモバイルバッテリーを更に接続し、システムだけでも復旧を試みる。その様子をただ眺めるだけの2人に、柳太郎は端末から目を逸らさないまま「そこそこ時間がかかる。今のうちに作業を進めてもらってかまわない」と言うので、光樹はポリ袋だのプラスチックケースだのを取り出して、麒麟の手を借りつつ草や土などを拾っていった。



 とりあえず、致命的な損傷は無かった。が、一安心には程遠い。何しろバラストは今確認したものを含め4基装備されている。今目の前にあるものが、一番状態が良いのかも知れない。万が一のときには修繕の手立てもあるが、物資も電力も限られている状況となると修復作業そのものが一発勝負になる。


柳太郎の頭にかかる過負荷が脳細胞の一つでショートを起こすと、飛び散った火花が彼の視界を地球へと引き摺り込む。


 狭い空間に満ちる黒煙。据え付け機関銃の銃声と怒号、それをかき消す爆発音。その中を修理(リペア)キットを抱えながら走り回り、施設機能の維持を試みる自分。


後ろを走っていた仲間が吹き飛んでも、何もしてやれない。そいつの前腕をキットから引き剥がして、それも持って更に前進していく。仕事だから。使命だから。自分を含めた全ての人々が、宇宙への憧れを叶えられる未来のために。


なんとか目的の設備を修復しても、また次の地点に警告が出る。ただちに向かおうと駆け出した瞬間に、今しがた手を施したものが、自分の身体ごとミサイルに吹き飛ばされる。柳太郎の背中の形に凹んだ配管類にもたれたまま、彼は言葉を失う。


「…もしもし?」



 そうだ、ここはミステリアス-40で、声をかけてきたのは麒麟だった。

「状況は深刻なのかね?」と訊かれて、自分がどんな様子だったのかを察した柳太郎は、少し大袈裟に首と手を横に振った。


「むしろコイツは全然良かった。あと3回、おんなじ作業をやっていく。着いてきてくれ」


何事もなかったみたいに機材を纏めて、とっとと歩き出そうとする柳太郎を見た麒麟は、慌てて光樹を呼びに行った。退役してからというもの、こういったフラッシュバックはときどき柳太郎を苛み続けている。峰岸商事の月分署で一人黙々と作業しているうちは感情の動きも少なく済んでいたので、まさかこうも簡単に、自分の頭の中の地雷が踏めてしまうとは思わなかった。いっそう作業に集中することにつとめて、それからの彼はほぼ無言であった。


 工程は順調に進み、最後の一基の診断も終えた。外装に亀裂の入ってしまったものもあったが、内部の容器は無事であったので、使用には問題が無い。結果を麒麟のカメラ越しに聞いたブリッジの面々も、一先ずは胸を撫で下ろした。


「だが、バラストの起動にはバッテリーの電力だけじゃ足りない。融合炉を再起動しないといけないワケだが、それもプラズマ生成にかなり電力が要るんだ」


ブリッジで話を聞いていたジョンは眉を違い違いに上下させる。


「つまり…バラストを起動するための電力を確保するための融合炉を起動するための電力を確保するための…?」


「手は考えてある」と柳太郎が遮った。


精密機器印刷装置(ファイバープリンター)でソーラーパネルを作りまくって、そこから電源を取る。時間はかなりかかるが、ギリギリバッテリーが尽きる前に実現できるハズだ」


「なるほどねェ。んじゃあ、決断は早い方が良いな。リュウ、こっち戻ってきたら早速作業にかかってくれ」


沙耶香へ「了解」と返し、柳太郎はブリッジとの通信を切った。2人に声をかけ撤収を始めようとすると、光樹と麒麟が船首側の森の一角を見つめている。


「…どうした?」


麒麟は腰の後ろで平手を柳太郎に向ける。


「何かいるし、こっちを見てる……」


バレちゃあしょうがない、とでも言うかのように暗い木陰から3頭の野犬…くらいの大きさの四足歩行の哺乳類らしき生命体がにじり出て来た。毛並は暗いブラウンで、陽光を受けると硬そうに照り返す。なんてこった、ここには本当に生態系があるのだ!という興奮を感じる余裕は無い。何しろ彼らはきっと、縄張りを物理的に荒らした犯人だろう我々を標的にしているのだから。その証拠に彼らのマズルからは太い牙が覗いており、眉や瞼の動きがほとんど無いところから察するに、地球の犬ほど表情筋が発達していないのだろう。つまりはゴリゴリの野生種だ。


「どーしましょ…長野さん、テッポウとかって……」


「無いな。ヴァスコは民間の(ふね)だし、そもそも原生生物は法律で手出し厳禁だ」


「第一、それでビビってくれるかも分からんよ。弾に当たってはいけない、と思ってくれなきゃ奴さんたちはあっという間に我々の方まで来てしまう!」


麒麟の言葉に柳太郎はハッとする。


「つまり、"怖い"の共通言語みたいなモノなら通じるってコトか? 火ィとか」


「大いに可能性はある。発煙筒か何か持ってないか?」


「いや。だが熱源はある」


腰のツールベルトに手を伸ばしながら、ゆっくりと柳太郎は2人の前に出る。金属の筒にゴムグリップが巻かれた握力計のように無骨な機材を掴むと、ベルトから引っ張って取り外す。


「白河先生ェ、RECは今も回ってんのか?」


「ああ…なぜ?」


「これは、記録(ログ)には残すな」


柳太郎が親指でスイッチを入れると、筒の中から警棒のように畳まれていた棒が飛び出す。その材質は一見して樹脂や金属で無いとは分かるものの、いまいち判然としなかった。なぜならそれは瞬く間に赤熱し、周囲の大気までをも揺らめかせるほどになったからだ!


「あっ!!」と声を出しそうになって肺のところで踏みとどまった麒麟にはここで見当がついた。柳太郎が携えているものは宇宙空間で船舶などの誘導に使われる誘導棒、フラッシュ・トーチの初期モデルであると。


 真空中での振る舞いは強い輝きを放つ棒以上のものではない。発光部の芯材として使われるムーン・クリスタルは微小重力下でのみ生産できるとても頑丈な物質で、特定の周波数のエネルギーを高効率で吸収・伝播する性質を持っている。おかげで人間が片手で扱えるサイズの筐体内に収まる程度のバッテリーでも、暗く広い宇宙を行き交う巨大な宇宙船からでも分かるほどしっかりと長時間光り続ける優れ物だが、その開発初期にはとんでもない欠陥を抱えていた。なんと地上で展開した場合、大気成分に芯材の微細構造が反応してしまい、可視光になるはずだったエネルギーが熱振動に変わり、高熱がさらに空気をプラズマ化させることで合金ドアすらも溶断せしめる剣と化すのだ!


本製品はあっという間に回収され、安全なニューモデルへと置き換わった。そのうちの一つを、なぜか彼は所持していたらしい。


 両手でトーチを構えた柳太郎は剣先をゆらゆらと振って獣たちの注意を引く。彼らにも威嚇の意図は伝わっているのか、退がりこそしないものの警戒の姿勢をとっているように見える。まだまだ脅しとしては弱い、と見た柳太郎は、近くの背の高い草に向かって刀身を振り抜いた。熱したフライパンに水をぶっかけたような音をたてて細胞壁に青々と蓄えていたであろう水分は一瞬にして蒸発し、残りかすが須臾の間を置いて燃え尽きる。柳太郎は一連の動作をわざとらしく見せつけてから、再度切先を獣たちに向けつつ、にじり寄っていく。時折足元の小さな草などを焦がし、「こちらに向かってきたら最後、どうなってしまうか」という想像を彼らに掻き立てさせるかのように迫る。


3頭にとっては自分たちの威嚇よりも、柳太郎の威嚇の方が勝っていると判断したのかも知れない。目を逸らさないままにトコトコと後ずさって、藪に紛れたあとには枝を踏みつけ草を掻き分ける忙しい音が聞こえてきた。柳太郎はふぅ、と一呼吸置いてからトーチを格納すると、「撤収急ぐぞ」と麒麟、光樹を急かした。


 サンプルを持ち帰り、報告を済ませれば終わりの一同はハッチまで駆け足になるが、どうもこのとき、一部始終を遠くから見ていた者がいたことを、程なくしてクルーは知ることになる。そしてそれが、ヴァスコ号がエム・フォウティの地で大事件に巻き込まれる直接のきっかけだったのだ。きっと"その女"は小高い丘か何かから柳太郎を見て、企むような笑みを浮かべたに違いない。


「アレ…「雷電の勇者」なんじゃない…!?」

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