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第35話 祐希と明日奈の秘密(2)

「そのお願いって、聞くの怖いんですけど……」


「ふふ、祐希くん、察しがいいのね……

 一生のお願い。祐希くんの童貞、私にちょうだい!」


 明日奈は真剣な目で祐希を見つめた。


「そ、そんなの無理ですよ……

 仮にも兄のお嫁さんですよ」


「それを言うなら、元、嫁でしょ。

 ほら、私の身体、綺麗だって言ってくれたじゃない。

 祐希くん、じっくり見てみたいと思わない?」


「そ、そ、それは見てみたいですけど……」


 祐希は、つい本音が漏れてしまった。


「でしょ、それじゃあ話は決まり。

 ほら見て、私の胸、綺麗でしょ……」


 明日奈が押さえていたタオルケットを取ると、Fカップはあろうかという美乳が姿を現した。


「お願い、祐希くん、私の欲求不満を満たして」


 祐希の目は、明日奈の美乳に釘付けとなった。

 初めて見る生身の女性の裸に祐希は興奮した。


「その反応は、OKとみなすわよ、いいわね?」


 祐希は、息を呑み無言で頷いた。


「ありがと、じゃあ、邪魔が入らないように、鍵を掛けて来るわね」


 明日奈はベッドを下り、一糸まとわぬ姿のまま部屋の鍵を掛けた。

 すらりと伸びた脚、しなやかな腰のライン、肩に滑り落ちる長い髪──そのすべてが、まるで一枚の絵画のように祐希の目に焼き付いた。

 普段、物わかりの良い義姉(あね)として振る舞う明日奈とは、まるで別人のようだ。

 カチャリと小さな音を立て鍵が閉まった。

 その金属的な響きが、薄暗い部屋の中で異様に大きく聞こえる。


 (もう、後戻りはできない……)


 祐希は明日奈の見事なプロポーションを目の当たりにして、思わず生唾を呑んだ。


「さあこれで、もう誰も邪魔できないわよ」


 明日奈は背後から祐希の服を脱がせ、パンツ1枚にした。

 そして緊張している祐希の手を引いて一緒にベッドに上がった。


 2人は至近距離で見つめ合った。

 明日奈の唇が近づき、祐希の唇を覆った。

 すると得も言われぬ、女の甘い匂いが漂い、祐希の鼻腔を刺激した。


「後はお義姉さんに任せて……」


 祐希は黙ってうなずいた。

 しばらくすると、ブリーフが降ろされ、下半身を生暖かい感覚が襲った。

 祐希の全身に、今まで感じたことのないゾクゾクとする快感が駆け巡った。

 それと共に辺りに淫靡な水音が響いた。

 

「祐希くんの、おっきいんだね……

 同じ、兄弟でもこんなに違うんだ」


「ほら、胸、さわってもいいよ」


 祐希は、恐る恐る明日奈の胸に触れた。

 その感触は想像以上に柔らかく、弾力のあるものだった。


「祐希くん、さわり方、うますぎる……

 あぁん、そんなさわり方したら……もう我慢出来ないよ。

 お願い……今すぐにちょうだい……」


 祐希はベッドの上で仰向けとなり、明日奈がその上に跨った。

 義姉と義弟は初めてひとつとなった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 明日奈との初体験は、祐希にとって夢のようなひとときだった。


 乱れたシーツの上で、祐希は仰向けのまま天井をぼんやりと見つめていた。

 全身の力が抜けて、指一本動かす気力もない。

 まだ心臓の鼓動は速く、耳の奥で鳴り続けている。

 すぐ隣では、汗ばんだ髪をかき上げる明日奈がいた。

 常夜灯のオレンジ色が、彼女の白い肌に淡く滲んでいる。

 信じられなかった。

 少し前まで「義姉(あね)」として接していた相手と、自分は本当に結ばれてしまったのだ。


 (こんなことが、本当に許されるのだろうか……)


 わずかな罪悪感と、それを上回る満たされた感覚が、祐希の身体の奥で渦巻いていた。


「祐希くん……とても良かったよ……

 童貞卒業……おめでとう……

 最初から3回もしちゃって、ゴメンね。

 これで欲求不満解消できたし……今夜はグッスリ眠れそう……」

 息を切らしながら明日奈が言った。


「ぼ、僕……ちゃんと出来てましたか?」


 祐希は、息も絶え絶えに明日奈に聞いた。


「うん、大丈夫……

 私を満足させられたんだから、合格よ……

 自信持っていいわ」


「そ、そうなんですか……」


 その時、祐希は明日奈の身体にすっかり魅了されていた。


「これで、お互いに秘密が出来たわね。

 ねえ、祐希くん、また来月もお願いしていいかな」


「えっ、流石にそれはまずいんじゃないですか?」


「そっか、住人にバレたら大変だよね」


「そうですよ、僕達、義姉弟(きょうだい)なんですから……」


「そうね、ここだと、誰かに声を聞かれちゃうかもしれないしね……

 じゃあ、次はホテルとか、人目が気にならないところでしようか……」


「え、明日奈さん、それマジで言ってます?」


「うん、こんなの他の人に頼めないよ……

 祐希くん、人助けだと思って、お願い!」


 明日奈は、両手を合わせて祐希に頭を下げた。


「わ、分かりましたから、頭を上げて下さい」


 祐希は、「人助け」という言葉に弱いのだ。

 こうして、明日奈と祐希の「秘密の関係」が始まった。


「あ、先に言っておくけど……

 私、祐希くんを束縛するつもりはないから安心して……

 恋愛は祐希くんの自由にしていいよ。

 今まで通り、義姉(あね)として温かく見守ってあげるからね」


 明日奈のその言葉に、祐希はなぜか複雑な思いがした。

 それは、明日奈に少しだけ恋慕の感情があるからに違いない。

 祐希は、自分と明日奈が、禁断の実を食べてしまったアダムとイブのようだと思った。

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