表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壮大な嘘告白をされ人間不信になった僕、後ろの席の女の子が付きまとってくるようになる  作者: 有原優
第七章 文化祭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/112

第112話 二日目

 僕はそして、文化祭に戻ってきた。着いた時間は8時32分。遅刻ギリギリだ。

 途中で電車が軽く遅延したのだ。

 芹原は、「後で来てもいいですか」と言った。


 僕は勿論頷いた。それまでは近くのカフェで時間を潰すようだ。

 そう言えば朝ごはんを食べていなかったと、着いた時に思った。だけどもうどうしようもない。

 キッチンカーで何か食べようと思った。


「珍しいね」


 福澤さんが僕に声をかける。


「御堂さんと一緒じゃないなんて、ケンカでもした?」

「喧嘩してません」


 鈴美が言う。

 僕の肩に手を置いた。


「予定があっただけです」

「えー、浮気してたんじゃないの?」

「からかわないでください」


 僕が言うと、「ほんとうかもよ」なんて言うので、


 僕と鈴美は互いに顔を見合わせて、


 とりあえず無視することにした。




 これは浮気じゃない。何しろ、芹原の告白は断ったのだから。



「それで、どこに行ってたの?」

「言えない事はないよ」

「それで浮気」

「違う」


 僕がそう言うと鈴美は無邪気に「知ってた」と言った。


「僕はただ芹原に呼ばれたから会いに行っただけだよ。そこで告白されたけれど、断ってきた」

「それならよかった。……傷つけてない?」

「アフターケアはばっちりだよ」


 たぶん、恐らく。





 そして文化祭の二日目が開始された。



 二日目は一日目と違い、いきなり当番からだった。

 まず最初に当番な代わりに、終われば晴れて自由の身。自由に文化祭を回れるという物だ。


 早速鈴美は見るも恐ろしい幽霊になり、僕はカウンターで案内業務につく。


 一人目のお客さん、二人目のお客さんと、どんどんと捌いていく。


 昨日は、

『怖すぎて心臓が止まるかと思った。こんな怖いなんて知らなかった』

 なんていうクレームが飛んで来たらしく、今日は徹底して、


「怖いですが、大丈夫ですか? 心疾患とか、ホラー耐性はありますか?」


 と訊くようになった。

 とはいえ、それを聞いてすぐに「やっぱりやめときます」なんて言う人はいなかった。

 当然だろう。


 そこそこ並ぶのに、直前になって逃げかえるなんて、時間の無駄だからだ。

 あるとするならば、兄妹とか出来たお客様が一人だけ、妹だけ、「お兄ちゃん頑張って」って言って、外から応援したという事だけだ。

 そうして、三十分ほどたった後、


 芹原が一人びくびくしながら来た。


 彼女は少し恐れているようだ。当たり前だろう。記憶喪失前ならまだしも今の芹原はホラー耐性があるようには思えない。


「どうぞ」と、他のみんなと同じように接客をした。

 その中で、ホラーは大丈夫ですかとも聞いた。


 その言葉には彼女はただ、頷いて見せた。

 大丈夫そうには見えないのだが、はたして……




 そして、芹原は幽霊屋敷に入った。



 大丈夫かな、なんて思う。


 そして次の瞬間。


「ぎゃああああああああ」



 なんていう、絶叫だ。


 当たりに響き渡っている。

 変な感じがする。


 芹原(悪)の声で叫んでいるのだから。


 そして、出て来た彼女はかなり焦燥していた。


 全部の体力を使っている。

 そんな雰囲気だ。


「大丈夫?」


 そう僕が訊くと、


 彼女は静かに首を振った。大丈夫じゃないらしい。


「近くのカフェで休みます」


 そして、静かに言った。



 そして、彼女が去った後も、シフトは続いていく。

 その中で、木村さんも来た。


 彼女は鈴美の顔を見ると、少しだけきまり悪そうにしていた。

 仲直りはしたけれど、その後はほとんど会っていないのだから。



 そしてシフトが終わった後、


「どうだったの?」


 そう僕は訊いた。

 何に対して、勿論、



「芹原の反応」

「面白かったよ。驚かせ甲斐があったよ」


 そう言って鈴美はまたくすくすと笑う。


 そこからは、何のトラブルもなく、文化祭が恙なく進行していく。

 一日目とは違う場所にも僕たちは言った。

 その先で僕たちは楽しい時間を過ごした。

 正直ここまで楽しい文化祭になるとは僕は予想していなかった。


 それこそ。いじめられていた時は。


 文化祭が終われば打ち上げをすることとなった。

 打ち上げは学校でするらしい。片づけを追えれば、キャンプファイヤーの周りでバーベキューをするらしい。勿論、費用は無料だという話だ。


 


「楽しみだね」

 

 鈴美はそう言って笑う。


「僕も」


 僕も楽しみだ。今日の一日の。いや、これまでの文化祭準備の締めくくりとなるであろうこのイベント。

 楽しみ以外の何とも英無いだろう。


「まずはこれを片付けないとだけどね」


 背後から声がした。

 福島さんだ。


「分かってますよ」


 僕はそう返した。


 だけど、片付けと言っても、そこまで大変ではない。

 何しろ、今回は文化祭の片づけだけなのだ。

 お化け屋敷の内装を少し片づければそれでしまいの話なのだ。


 まあ、たぶんごみの分別だけは大変になるだろうけれど。


 しかし、それもクラスメイトで協力をしながらほんの1時間ちょいで片づける事が出来た。

 それが済んだ瞬間、ほっとした。



 ただ、片づけ中に、なんとなくだけど、少し雰囲気の悪さを感じた。

 多分気のせいだろうけれど、空気が悪い。そんな気がしたのだ。


 文化祭が終わるのが寂しいという事なのだろうか。

 いや、変な事を考えるのはやめよう。

 

 考えるのはやめにして、打ち上げイベントを楽しみたいところだ。

 

 そうだ。鈴美と二人で打ち上げへの参加。幸せに違いがないだろう。


 これで、大変な事は終えた。そして次は、最後遊ぶだけだ。

 鈴美の手を取りながら、


 キャンプファイヤーの前に言った。



「そう言えば二人共、少しいい?」


 その言葉を聞き、僕は振り返る。

 そこには、福島さんがいた。


「あの噂って本当?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ