表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?  作者: 玉響なつめ
第七章 王女襲来、それが何。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/68

64

 私だけではだめだから、シリウスも勿論お揃いのチョーカーをしているわけで……なんせ一応、そう、一応婚約者だからね!!


「付与してある魔法は追跡だが、引きちぎると五秒後に爆発する」


「すぐ物騒なもの仕込むの本当に止めてほしい。どっかに引っかけただけで私の身に危険が迫る」


「何を言うんだ、お前を守るためのものだろ」


「それで私が怪我したらどうする気なのよ」


「そうだな、お前が怪我を負った箇所に俺も自分の体を傷つけるとしよう。うん、なんだかいいな。下手なアクセサリーよりもとてもいい」


「うわ……」


 ナチュラルに普通の会話でヤンデレてくんの止めてほしいわ。

 本当に私、どうしてこんな男に惚れてしまったのやら……!


 というか王女様にこの一面を見せたらドン引いてくれるんじゃないか?

 そう思ったけどアナベルたちに『それはちょっと……ノクス公爵家の人間がそうだとか思われると困るから……』って止められてしまった。


 ちなみに間諜にバレてんじゃないのかと思ったけど、基本的には私と二人きりの時か、気の許せる人たちの前でしかこのヤバい発言をしない程度の分別はあるんだよね……。

 なので今のところは大丈夫っぽい。


 身分差の婚約者を守るために公爵邸から離れたところで二人暮らしをしている健気な長男ってことになってるらしいよ!

 実際には誘拐からの軟禁でしたけどね!?

 両思いになったからいいよね、じゃないからね!?


「で、王女様っていつ来るの?」


「一週間後にこの国に到着する。到着後は王城で協議や歓待の宴などが開かれるから……そうだな、ノクス公爵領に来るのは二週間以内だろう」


「結構早く来るね。……王城にいてもすることがないから、とか?」


「まあそうだろうな。王位継承権は弟に渡ったし、外交は外交官に任せるだけだ。元々そうだったが」


 クッと笑うシリウスの悪い顔。

 でもそういう顔がかっこいいって思われてるんだろうなあ……。

 実際イケてると思うし。


 こっちで暮らし始めて改めて思ったんだけど、王都の貴族令嬢たちが華奢で優雅な男性を理想とするのはあちらでは戦いが殆どないからだ。


 だが、ノクス公爵領では魔獣も多いことから強い人が大人気。

 勿論、シリウスなんて強くてノクス公爵家の長男だからめちゃくちゃ人気者だ。


 水じゃなくて氷の魔法を得手としていたって領民からすれば魔獣を討伐してくれればなんでもいいって部分はあるだろう。

 ただ……ノクス公爵家の優れた水魔法を継承している人が当主であれば、次も期待できるってだけの話で。


(……次は、もうアナベルがいる)


 シリウスは当主の座を望んではいない。

 私と共にいるためにという意味ではなくて、家族(・・)のことを愛しているから争いごとなんて起こす気がないだけだ。


 そういう意味ではアナベルも、レオナール公子もそうだから……本当に仲の良いキョウダイだよねー!


 とはいえ、そういう理由もあって水の魔法を受け継いでいるのはやはり公爵の実子であるアナベルとレオナール。

 そしてこの国の長子相続法がある限り、たとえアナベルが見つからなくてもレオナール公子が跡を継ぐことは確定だった。


(……それを、他国の王女と結婚することで覆すってのはある意味内政干渉とかにならんのかな?)


 建前上の法律が~なんて言葉でホイホイ例外って覆しちゃったら、次もまた同じようなことが起きちゃうものねえ。

 ただあまり強く拒否するには相手方とのやりとりもあるから、穏便になんとかしようと思ってるんだろうけど……。


(めんどくさ)


 でも、シリウスにそんなに想いを寄せる王女様の姿は見てみたい。

 単純に、オヒメサマってものを見てみたいだけという好奇心で申し訳ないけど。


 ちなみに奪われるかもなんて心配はしていない。

 こんな傷ができたら同じところに傷跡つくるって素敵! とかいう男が他の女性に移ろうようなら熨斗(のし)つけてくれてやるってもんよ。


「……王女が気になるか?」


「そうねえ~。王子様はこの目で見たけど、王女様って見たことないの」


「なら、公爵邸に着いた時に挨拶に行こうか。二人で」


「揃いのチョーカーをつけて?」


「ああ、勿論。当日の服も揃いのモチーフにしよう。色がいいか? 形もいいな。髪飾りやピアスも新調するか?」


「段々大がかりにしようとするの、やめてねー」


 嬉しそうに微笑む姿は、どこからどう見ても私を溺愛する素敵な男性で間違いない。

 私の首元のチョーカーについている爆発物を弄りながらってのが怖いけど。


(まあ、シリウスは私を傷つけないはずだからいいけど)


 逃げ出したらその限りじゃないし、私が腰掛けているこのソファの下にも拘束具があることを知ってるんですよ。

 一応隠している(てい)だけど、私に見せつけて『使われたくないならいい子にしていろよ?』って言外に伝えてくるのやめてくんないかな。


 ……本当にヤンデレってやつぁ怖いな!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ