いかんせん貴方
どうなってるんだ、と言いたいところだが、流石の僕もこの辺で大体の察しは付く。
どうやら僕は能力持ちだ。詳細は不明だが、何らかのチート系の特殊能力が備わっているのだろう。よく聞くやつだ。
それはともかく。
「ありがとう、助けてくれて。それに家にまで邪魔しちゃって」
少女は僕の血で赤く染まった服を洗いながら
「いえ。助けてもらったのはこっちですし、これくらい」
と応える。
まあほとんど強制イベだったし、最終的に俺が助けてもらっちゃったし。
「僕の体は一体どうなってるんだ?」
変な質問だが、ただただ疑問だ。
「自分の体の事がわからないなんて、なんだか面白いこと言いますね」
彼女は少し笑って、続ける。
「貴方は魔法使いです。それも、相当強くて、特殊な」
そう言われても、いまいち、ピンと来ない。
「また不思議そうな顔をして。不思議なのはあなたの方ですよ。何処から来たんです?カラビヤ?ワウニー?」
「えーっと、」
それは地名だろうか。だとしたらやはりどちらでもないと思うのだが。ニッポンですって言えばいいのか?地球って言えばいいのか?それとも僕が元板世界や、この世界にもそれぞれ名前があったりするのだろうか。
戸惑う姿を見て、彼女は続ける。
「――それとも、異世界?」
確信をついた質問に思わず反応してしまう。
なんでわかるんだ?確かに服装こそ完全に異郷の地の物だけど。
「当たりですか?そんな気はしたんですよね」。
どんな気だよ。
あの人異世界人な気がする、なんてことはないだろ絶対。
「昔、貴慮っていう魔法使いが居たんだけど、彼も異世界から来たと聞くわ」
「貴慮。あ、さっき…」
さっきの男たちが言っていたような気がする。
「心当たりが?」
「いや、さっきの男らが…」
「そうでしたか。貴慮は、いきなり現れて、その強大な力でこの町を荒して行きました。このご時世、この辺じゃ魔法使いなんて、それこそ貴慮くらいしか居ないですから。魔法から貴慮を連想するのは理解に難くないですね」
なんだそれ、伝説の魔法使いってことか?もっとも、この町では嫌われているようだが。でもとなると、僕はこの世界で有数の魔法使いの1人ってことか?
彼女は僕の服を濯ぎながら、話を戻す。
「貴方の魔法は身体に依存するものです」
体に依存?
「身体の各部位に。右腕は力の魔法、左手は身体を癒す魔法って具合です」
「へえ。」
よくわからん。
「私が知っているのはそのくらいです。もっと詳しい人は知っていますけど」
「詳しいんだな。魔法」
「まあ一応子供のころから魔法を研究していましたから」
魔法の研究か、なんだかいい情報源を引いたな。
「そういえば自己紹介をまだしてませんでしたね。私はワミル・シアンと言います。シアンって呼んでください」
「あ、僕は尚太。臨海尚太。尚太って呼んでくれれば」
彼女は服を絞って、日向のもとへに干そうとする。
「いや干さなくていいよ。長居しても悪いし」
「え?うちに泊まっていくんじゃないんですか?」
――え?




