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エアウォーク  作者: 隠戸海斗
第一期
41/102

第四十話

その光景に誰もが見入っていた。


71-0


第四クオーター、試合時間は残り5分を切った。


鮮やかなドリブル、反応できないほどの奇襲的なパス、一瞬で放たれる3P、相手を蹴散らす豪快なダンク。


あらゆる面において、日本央嘉大学は周達を圧倒していた。




ダムダムダム


左、と見せかけて右。

それを見抜いてボールに手を伸ばす。

が、相手は一瞬でターン、ボールに手が届かず、そのままあっさりと抜き去られ、シュートを決められる。


相手を抜くことに関しても、相手を止めることに関しても、チーム一番の麗奈が相手を抜けない、止められない。


「はぁ・・・はぁ・・・・・・くそ・・・・・・」



ダムダム、ヒュッ


高く投げられたボールが弧を描き、ゴール下のセンターへ渡される。

センターは大きく振りかぶり、ダンクを決めに行く。

そこにジャンプして手を伸ばす竹内。

だが、その手を左手で制し、軽く払いのけながらダンクを決めるセンター。


高さでチーム一番の竹内が、あっさり左右を抜かれ、上からダンクを決められる。

そしてこちらのダンクは止められる。


「く・・・そ・・・・・・こいつら・・・・・・」



タタン、ダムダム


妨害に来たまろんと接触せずにあっさりと抜き去る。

ぶつかってもファールにもならずにそのまま続行される。

ゴール下まで来れてもシュートは止められる。

そして妨害があってもシュート精度が高いのが当たり前だといわんばかりに、竹内の手を潜り抜けるシュート。


「んにゃ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・強すぎです・・・はぁ・・・・・・」



ヒュッと最速で放たれる3Pをあっさりと弾き飛ばされる。

今まで練習してきたというのに相手を抜けず、そしてこちらはあっさりと抜き去られる。

自慢の3Pは自分には無理な体勢からでも相手はバシバシ決められる。


「はぁ・・・はぁ・・・・・・追いつけ・・・ない・・・・・・」



そして。

チームのキャプテンを務める周でも。


相手を抜けない、ドリブルに追いつかれる、ボールはあっさりと奪われる。

相手に抜かれる、速いパス回しで追いつけない、ボールは奪えない。

竹内の時には何度か止められたダンクなのに、あっさりと決められる。

そして何よりも。


「ぜぇ・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」


体力でチームの誰にも負けなかった周が肩で息をしている。

自慢のスピードを最大限に生かしてなお競り負けている。



今までの練習で身につけてきた自信すら失ってしまいそうなほどの大差。

1点すら取れずに負けるなんて。



(せめて最後に・・・・・・!)


残り時間はもうわずか。

そんな状況になって、ボールを受け取った周がゴール下に切り込めた。


(一矢報いる・・・・・・!)


相手の妨害を受けながらも、身体を入れられても、止められても、それでも走り続け。


そして、ゴール下からリングをめがけて手を伸ばす。


その手に持ったボールを、ゴールに置いてくる様に。



パァン!と、無慈悲に鉄槌は下された。


最後のシュートを止めたのは笹塚。

2年生にして大学代表チームのリーダーを務める男。



試合終了を告げるブザーが鳴った。


会場からは拍手が送られる。


過去の評価通りの試合展開を果たした日本央嘉大学と、そして、


最後まで健闘した周達に。



「負けた・・・・・・」

「1点も取れずに・・・・・・」

「何も出来なかった・・・・・・」

「負けたんだ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」


がっくりと、うなだれる五人。

そして、応援に来ていた子供達と不良たち。



「礼!」

「「「「「「ありがとうございました!!!」」」」」」


頭を下げて、互いに背を向ける。



「・・・・・・負けちゃったんだね、私達・・・・・・」


周がそうつぶやく。


「・・・・・・そうだね・・・・・・」


俊介が答える。


「強かったね・・・・・・」

「そうだね・・・・・・」


麗奈が答える。


「・・・・・・何にもできなかった・・・・・・」

「・・・・・・そうだな・・・・・・」


竹内が答える。


「・・・それでも、いい経験になったよ・・・・・・」

「・・・そうですね・・・・・・」


まろんが答える。



「でも・・・・・・・・・・・・






 ・・・・・・悔しいよ・・・・・・・・・」




ポロッと、周の目から涙があふれた。

続いてまろんも、麗奈も。

俊介も、竹内も。





「よかったのか?笹塚」


相手のセンターがそう言う。


「少しやりすぎたんじゃないか?」


同じくそういう相手のガード。

だが。


「俺たちは王者を目指すんですよ。

 こんなところで負けていられない。

 それに、手加減なんてただの無礼です」

「・・・・・・そうか・・・・・・」


キャプテンとして、笹塚はそう答えた。

相手が誰であろうと容赦しない。

今年こそは自分達が王者になるのだから、と。




周は何を思ったか、涙をぐいっと拭うと振り向いて声を上げた。


「笹塚さ――ん!!!」


呼ばれた笹塚は振り向く。

他のメンバーも立ち止まる。


「私達!!もっと練習して!!強くなって!!

 来年には絶対!!あなたたちよりも強くなりますから!!!!」


泣きながら、周はそう叫んだ。

歓声と拍手の中だが、その声は届いた。

熱い思いと共に。



笹塚は手を上げて答えた。


「もっと強くなれ!!また相手してやる!!

 ただし、5年も10年も待てねぇからな!!!」




両者はくるっと背を向けた。



本気で越える気ならかかって来い、と。

本気で越えるから覚悟していなさい、と。




来年はきっと、もっと強くなって、あなた達に勝つから。



それは周だけではなく、チーム全員の思いであった。



フルボッコは胸が痛む・・・・・・こうして彼女達の初の全国大会は終わりを迎えたのでした。


第一期ご愛読ありがとうございました。


少し休憩してまた続く予定なのですが、このサイトじゃ人気が出ないみたいだからなー、考え中です。


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