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冷酷のブレイバー【連載停止中】  作者: 泥陀羅没地
第四章:森の民と魔女の呪い
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魔女の災い亡霊の兵

――ズガガガッ――


「グッ――でかした、ウィゴー…!」


地面を削りながら、俺は腰に掛けた剣を抜き…己の隣に降り立つ幼竜にそう告げる。


「ギャウッ♪」


その言葉にウィゴーは軽く吠え…喜びから一転、目の前の〝敵〟を前に愉しげな顔で威嚇の構えを取る。


(〝異界〟に引き摺り込まれた…今の一瞬でか)


構えを取りながら、俺は己が立つその場所へざっと視線を送る…。


――……――


其処は…先程までの聖域とはガラリと印象の異なる〝異空間〟…聖域の要素を含みながら、王都の街並みに即した物が混ぜられた様なチグハグさを含んだその空間に、思考が巡る。


「――〝異界〟の構造は構築者の思考が反映される…迷宮と同じシステムだ…」

(逆説的に見たことの無い空間の構築は不完全、知識の範囲内で補完される…さて)


俺はざっと周囲を見渡した後…胸ポケットに隠した〝ソレ〟を握り、思考する…。


(――確信は〝七割〟…今〝コレ〟を使えば、恐らく何らかの反応は示す筈…だが)


瘴気の渦が晴れ、苦悶の声を上げていた亡霊が、その姿を〝修復する〟…その苦悶は途絶え、ウィゴーが闘争の始まりを知覚し…クルルと、喉を鳴らす。


「――〝逃走〟の可能性が、ある以上…コレは最後の手だな」


俺は小さくそう言うと、改めて剣を強く握り…ユラリと動く〝亡霊〟を捉える。


「――先ずは、〝洗い浚い調べる〟…!」


そして、その亡霊が姿勢を低くし…その四肢を大地に付けた…その瞬間。


――ドッ――


地面を砕き、空を引き裂きながら亡霊は高速で肉薄する…その〝狙い〟は――。


「ッ――!」

「――ギャッ!?」


〝ウィゴー〟だった…迫る亡霊を迎え撃とうとしたウィゴー…しかし、俺は亡霊の繰り出す攻撃の動作を捉えると、ウィゴーを蹴り飛ばし、俺もその場から退避する。


「ウィゴーッ、奴の〝手〟に触れられるな…呪詛で汚染される…魔力で全身を覆え!」

「――ギャウ!」


ウィゴーにそう言いながら、俺は地面に着地し…着地ざまに、亡霊へ〝液瓶〟を投げ付ける…その瓶は亡霊に触れると音を立てて割れ、その液体が亡霊へ振りかかる。


「――※※※※※!?!?!?」


すると、その亡霊の皮膚は焼け爛れる様に溶け始め、その溶けた箇所からは暗く匂い立つ煙が上がり、亡霊の悲鳴を引き起こす。


「――よく効くだろう、その〝聖水〟…〝聖女(トゥール―)〟直々に祝福を掛けられた特別品だ」


俺はそう言うと、手脚を振り乱す亡霊へ肉薄し…その首を狙う。


「※※※!!!」


しかし、幾ら取り乱しても命の危機には冷静に戻るらしい…亡霊は俺の剣に込められた魔力を見るとその体を膨れ上がらせる。


「――!」


その予備動作は一瞬俺の思考を驚きで満たし、俺は次に奴が何をするのか理解すると…その切っ先を亡霊の首から大地へと変更し…地面を砕き割る。


――ズガァッ――


俺の剣が砕いたと同時に岩は隆起し、俺の目の前に分厚い壁が生み出される…その瞬間。


――ズガガガガカガガッ――


岩の壁を削り取る様に四散した骨と歯が至近距離で爆発し…見る間に岩の壁は跡形も無く削り取られてしまう。


「チッ…〝前よりも戦い慣れている〟な…?」


俺は舌打ちと共に、以前に増して手強くなった亡霊へそう言い、魔力を壁に込めソレを蹴り飛ばす。


――ズドォッ――


その一撃は岩壁を亡霊の元へ押し飛ばし…壁際へまで吹き飛ばす…しかし、その場所には既に亡霊は居らず――。


「※※※…!」


唸る様な音に、俺は背後へ腕を回す…その瞬間。


――メキッ――


凄まじい衝撃が、俺の両腕に減り込み…その衝撃で後退る…其処には、その異様に細長い腕で俺をさへ殴り掛かる亡霊が居た。


「――グッ…化物が…!」


義手だと言うのに、まるで己の腕がへし折れたかの様な錯覚に襲われる…チラリと一瞥した両腕は大きく凹み…生身であれば、この一瞥で俺の両腕は使い物にならなくなっていただろうと理解し、微かに戦慄する。


(以前に比べてかなり動きが良い)


間のとり方、構え…そのどれもが〝一級の戦闘者〟のソレだ


「どうなってるんだ?」


湧き出た疑問を吐き捨てながら、俺は一瞬の膠着の後、駆け出す。


「※※※!!!」


その動きに、亡霊が俺へ注意を向けたその瞬間…。


「〝ギャウ〟!」


亡霊の直ぐ側にウィゴーが現れ、その尾で亡霊の首を刎ねる。


「良くやったウィゴー」


ウィゴーの働きに俺はそう褒めると、そのまま頭と身体で分かたれた亡霊へ肉薄し。


――ザザザザザンッ――


その身体を念入りに斬り刻んだ…。


「――コレで、〝一殺〟…」


切り刻まれた〝亡霊〟に目をやりながら…俺は、再生を始める亡霊の〝魂〟を視る。


『オォォォォッ……!!!』


亡霊の中に渦巻くのは、〝一つの魂〟…しかし、その魂は黒く粘液質な〝瘴気の塊〟で覆われ…醜く脈打っていた。


――グチュッ…ズズズズッ――


その魂から瘴気が膨れ上がる…すると、斬り刻んだ亡霊の身体が独りでに動き始め…その冷たく腐った身体を〝繋ぎ〟始める。


「……やはり〝急所〟は無いか…心臓、頭を潰しても再生を始めるなら、残る狙いは〝魂〟だけ…だな」


しかし、その方針の問題は魂を覆う〝瘴気〟だ…アレが並大抵の魔力を拒絶する…直接魂に攻撃するには、あの〝瘴気の泥〟をどうにかしなければならない…が。


「――さて、〝検証〟だな」


俺は独り言を呟きながら、得物を構え直し…ウィゴーに目配せする…そして、亡霊が立ち上がったのを確認すると、亡霊が動くより先に駆け出し…亡霊の身体目掛けて剣を振り抜く。


しかし…。


――ガキンッ!――


その刃は、亡霊の黒い衣に触れた瞬間…そんな音と共に火花を散らす……。


「ッ――チッ!」



その感触に俺は舌打ちし、返す刃に振り抜かれた亡霊の貫手を躱して距離を取る…。


「ギャウッ!」


――ガチィィンッ――


ウィゴーの尾の一撃を受けても尚、亡霊はよろめくこと無く俺達を見据える…その、身体には…。


「――厄介な〝力〟を持っているな…」


人の骨で創られた強靭な鎧が身体に張り付き…亡霊を堅牢に護っていた

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