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冷酷のブレイバー【連載停止中】  作者: 泥陀羅没地
第四章:森の民と魔女の呪い
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紐解く事実

「――〝肉体の再構成〟と、〝死因の克服〟…」

(瘴気…いや、魂を消費して再生…同時に肉体を作り変え、自己強化…成る程)


――ギィィンッ――


「――単純な持久戦じゃ此方に勝ち目は無い…異界に囚われた時点で逃げ場も無い…実質的な〝詰み〟と言えるな」


以前生還した俺と…瀕死ながら生還した〝レリオット〟が例外ケースだった訳だ。


「――〝レリオット〟の方は、納得が行く…お前が〝そう〟で有るならな…だが、俺が生還した理由は何だ」


俺は独り、思考を並列しながら…此方の動きを伺う〝亡霊〟を見て、剣を構える。


(――それも知りたいが…先ず優先するべきは)

「――お前が〝何者〟で有るのか…だ」


亡霊を捉える…奴は動かない…いや、〝動けない〟のだろう…。


「――この際だ、単刀直入に聞く…お前は〝リリア〟か?」


俺は半ば確信に近い思いを込めて、奴へ問う…すると、その亡霊は目に見えて強く反応し…一歩、後退る。


「……ふむ、やはりそうか…お前…少なくとも其処には居るんだな?…俺の救助対象…〝リリア・リル・ラシール〟第一王女は」


一歩退く亡霊へ、俺は更に2歩踏み出し、距離を詰める。


「――違和感は、有った…お前が〝呪われた日〟…その日を境に始まった〝行方不明の増加〟…そこから、〝リリア〟と〝亡霊〟の繋がりを見た」


二歩…奴はその身に侍らせる瘴気とは裏腹に、まるで怯える様に足を後ろへ下げる。


「――その違和感が〝確証〟と成ったのは、〝レリオットの負傷〟だ…レリオットが襲われ、異界に囚われた時…彼奴はお前と交戦し…そして瀕死に追い込まれた」


そんな亡霊の様子に、俺は益々確信が言葉と共に吐き出され、4歩…亡霊へ詰め寄る。


「彼奴がお前に仕留められる間際…事故か偶然か…奴の〝ある物〟が亡霊を退けたと聞いた…その〝ある物〟は、レリオットと…〝リリア〟にとって〝特別な代物〟だと、彼奴は言っていた」


俺はそう言うと、己の胸ポケットから…件の〝物〟を取り出し…ソレを亡霊へ見せる。


「『――※※※※※!?!?』」


その瞬間、亡霊の身体が大きく歪む…まるで、今眼の前にあるソレが…この亡霊にとって不都合な物であるかの様に、奴はソレを忌避し、6歩後ろへ下がる。


「――お前が怯えた理由、ソレは〝縁〟を感じ取ったからだ…この〝ネックレス〟から…自身と〝レリオット〟との〝縁〟を感じ取り、眼の前で死に体と成っていた奴の正体を知ったから…お前は殺す事を躊躇い、彼奴を殺さなかった」


最早歩むことを止め8歩…大地を蹴りながら…俺は揺らぐ〝異界〟の中を進み…動揺する亡霊へ言葉を続ける。


「――それこそが〝違和感を確信〟に導いた…〝亡霊の正体〟が〝リリア・リル・ラシール〟であると言う確信を!」


俺は一つそう言うと、異空間の〝壁〟に打つかり、止まった亡霊へ肉薄し、続ける。


「――お前が何故、〝亡霊〟に成ったのかは見当も付かない…だがこの事件の裏には間違い無く〝魔女〟が潜み…その魔女の企みを破綻させる事が、この事件の解決に大きく関わる事は明白だ」


――ガシッ――


亡霊が空間を操り、道を作ったその時にはもう遅く…亡霊の眼前にまで迫った俺は、亡霊の頭部を掴み…亡霊の〝瞳〟を覗き込む。


「――洗い浚い…〝吐いてもらう〟ぞ」


亡霊の目に光は無く…やはり、死人の目をしていた…だが、その深奥に宿る〝悍ましい魂〟の輝きを、俺が認識した瞬間。


――ビキビキビキッ――


俺の身体を、凄まじい勢いで〝瘴気の腕〟が蝕み…俺の意識を抗う間もなく奪い去って行った。



――ブツンッ――


意識は途切れ、一瞬とも永劫とも言い難い間暗闇へただ落ちて行く…次に、目が覚めたその瞬間。


『――何故』


俺は、屍肉が蠢く悪夢の中で…黒く穢れたその娘と相対していた。



○●○●○●



――ドクンッ――


「ッ!?――何だと…!?」


聖域の中…忽然と瘴気に取り囲まれ姿を消したレイドの行方を探していたその時…ルイーナが焦った様な、驚いた様な声を上げる。


「ッ――何、ルイーナ!」


その緊迫した声に、私は咄嗟にルイーナの元に駆け寄り問うと…ルイーナは早口に捲し立てる。


「――レイドの魂が汚染されている!?…有り得んッ…妾の加護が有れば並大抵の汚染が魂を汚す等出来ん筈…彼奴め、何をしおった…!?」

「ッ――ソレって不味くない!?」

「緊急事態じゃッ!」


その言葉に、私達が慌てふためく中…アンフォートがルイーナへ言う。


「――僕達も〝異界〟に行きましょう…そうすればレイドさんが何をしているのか分かる筈です…!」

「ッ……ソレは…!」


その言葉にルイーナは一瞬顔を上げるが…直ぐにその顔を顰め、呟くように告げる。


「――いや、無理じゃ…妾は兎も角お前達は瘴気への備えが無い…妾の加護を与えても精々瘴気の侵攻を遅らせる程度じゃろう…活動は厳しい筈じゃ」


その言葉にアイリスとアンフォートが歯噛みし…焦りに表情を険しくする…。


「――そう言えば」


そんな時…アイリスが何かに気付いた様にルイーナを見て告げる。


「――ルイーナ…貴女〝共有〟でレイドと魔力的に繋がっているのよね?」

「その通りじゃ」

「――なら、此方からレイドの魂に働き掛ける事は出来無い?…〝浄化の力〟を送り込むとか…」

「……出来るには、出来るが…じゃが、妾の魔力だけでは到底この汚染を除去し切れん……ッ!」


アイリスの言葉に、ルイーナがそう言葉尻を弱くして告げる…その時、ルイーナは何かに気付いた様にアイリスを見て告げる。


「――成る程、そういう事か…!?」

「――〝行ける?〟…ルイーナ?」

「恐らくはのう…何せ初めての試みじゃ……不確定要素も多い…だが、〝試してみる価値〟は十二分に有る!」


ルイーナはそう言うと、誰よりも早く動き出し…聖域の中心へ走っていく…その後ろを追って、アイリス達も駆けていくのだった。

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