いざ、極の速度へ
また2週間空いてしまった・・・とか思ってたら微妙に2週間も超えてました。
色々重なったのもありますが年末デバフが厳しいですね・・・
「ねぇミホ」
「なぁにルミちゃん」
「ぶっちゃけ蒼ってどうやれば勝てるの?」
「おー。とてもぶっちゃけた質問。でも実は簡単な答えがあるんだよねそれ!」
「えっ。マジ?」
「まじまじ。と言うか既にムサシちゃんが証明してるんだよね」
「ムサシが?ていうと、やっぱり武術を極める方向性なのね」
「んにゃ?全然違うよ?」
「えー?じゃあ何なのよ」
「もっと簡単だよー。だって・・・あ、試合始めなきゃ」
「ここでもったいぶるの!?」
「まぁまぁ。見れば分かるから~」
「ねぇねぇセンちゃん」
「何ーメグさん」
「ぶっちゃけ蒼君って負けそうなの?」
「??。全然普通に負けれると思うけど」
「えー?全然想像出来ないんだけど」
「あー・・・まぁリアルお兄ちゃんを間近で見てるとそうだよねー」
「ゲーム内でも負けそうにないと思うんだけど・・・」
「と思うじゃん?ところがどっこい。実はアークの名からアーサーさんは既にお兄ちゃんを倒せるんだよね」
「遊んでるとかそう言うの無しでも?」
「無しでも。本気でマジのお兄ちゃんを」
「そうなんだぁ」
「・・・センちゃんセンちゃん」
「お、今度はマナ姉」
「あれですよね。蒼の倒し方って・・・めっちゃ極端にするって事ですよね?」
「あ、流石にマナ姉は分かってるか」
「どうするの?」
「チョー単純!お兄ちゃんを倒すには」
『それじゃあ決勝戦。はっじっめるよーん!!!』
「あ、試合始まるや」
「えー。教えてよー」
「まぁまぁ多分アーサーさんが実行するだろうし」
「ですよねぇ。蒼に追いついてるならやらない理由が無いですし」
『じゃあ決勝直前の二人!最後の言葉を!』
『『・・・・・・』』
『・・・アーサーにまで無視された!?』
『じゃあ始めるよー』
『アークバトル・・・レディファイト!!』
大衆の予想では、蒼が攻め、アーサーが守り。
攻守が目まぐるしく入れ替わるわけではなく、あくまでも主体は蒼。
そこにアーサーがどう隙を作るのか。ここが焦点になると、そう考えられていた。
だが試合が始まった瞬間にその考えが間違いであったと気が付いた。
そう。アーサーが選んだのは守りの手ではなかったのだ。
試合開始の合図が鳴った瞬間に・・・アーサーから距離を詰めた。
今回アーサーが選んだ武器は直剣。
やや長い気もするが、ギリ片手剣に分類されている物。
アーサーが一番使い慣れている剣。その二刀流。
加えて初めからアーサーの周囲に青色の剣が浮いている。
こちらは武器ではなくアーツで発生している魔法の剣。
【浮遊刃】と同じく操作の難易度は高いが、耐久性に優れた物。
それらを合わせて合計六本の剣を携えている。
蒼の方は変わらず巨大な爪が武器。
本当にいつもと何も変わらず、ただアーサーを見ている。
そしてついに試合が始まった。
瞬間アーサーと蒼が同時に動き出す。
動き出しも、動きた距離もほぼ同じ。
「チッ」
「一つ!!」
フィールドの中心でぶつかる。
そして拮抗・・・することなく、蒼が即座に下がる。
瞬間、一瞬前まで蒼がいた場所に青い剣が突き刺さる。
「面倒だなぁ!!」
「その割には笑顔じゃないか!!」
『あ、それで蒼ちゃんに勝つ方法だけどね。めっちゃ攻めまくれば良いんだよ』
『・・・??。それで勝てるの?』
『と言うかそれしか勝てないかも』
蒼セカンドに勝つたった一つの方法。
それは・・・蒼と同じレベルで攻め続ける事。それだけだ。
アーサーもそう考えた。
いや、そうとしか考えられなかった。
それもかなり昔から。
それを示すかのようにアーサーは止まらない。
手にした剣と魔法の剣が嵐のように荒れ狂いながら蒼に襲い掛かる。
それを蒼は時に爪で迎撃しつつ、フィールド中を駆け回って躱す。
蒼が受けに回っているが、これは仕方のない事だ。
蒼の身体能力はゲーム内仕様の最大値。
だが蒼自身が使っている武器は大きな爪・・・要するに重量級の武器。
他の武器種に比べて重い分取り回しが悪い。
つまり、アーサーの様な敵が高速で攻撃をし続けた場合、それらを迎撃することが不可能なのだ。
一応立ち回りと体の使い方である程度はカバーが出来る。
実際蒼はムサシとの戦いでは、刀相手に速度で打ち合うという荒業を実行し、勝利している。
だが今回はそれをしない。出来ないのだ。
何せ試合開始の瞬間から今この瞬間も、蒼の直感が警鐘を鳴らしているから。
止まったら負ける。
受けた押し切られる。
今まで通りでは負けしかないと。
だから蒼は止まれない。
屈辱だし本当は正面から受けて立ちたい。
だがそれをするのはアーサーを侮辱することになる。
自身を超えるためにここまでしてきた友人兼ライバル。
そんな最高の敵を相手に、自身の趣味を押し付けるだけは無粋。
そもそも正面から受けれないのは自身の技量不足が原因。
アークオリンピアの仕様と、蒼の好みで生まれた隙をついてきたアーサーを責める事は出来ない。
だからこそ蒼は動き回る。
受けて勝てないのなら、走って勝つ。
本気で勝ちを狙うことこそが、彼との戦いに相応しいから。
「・・・クヒッ」
思わず笑みが漏れる蒼。
魔法剣が上下左右から襲い掛かり、アーサー自身も突きを放つ。
アーサーから距離を取り、魔法剣を空中に浮いた状態のまま体を捻り回避し、爪で叩き落とす。
「・・・ハハハ」
笑いがこみあげてくる。
思考がドンドン研ぎ澄まされ、冴えていく。
それに釣られるように、アーサーの攻撃が鋭さを増していく。
そしてさらに蒼の中で何かが溢れる。
「ヒッハァ!!!!」
蒼が魔法剣の包囲を抜けた。
振るわれる大爪。
それを六本の剣が重なって受け止める。
「やっぱお前ダヨなァ!!!!」
「ようやく起きたか!!!」
背後から迫る七本目の魔法剣を弾きながら距離を取る。
鎧に上から降ってきた八本目の魔法剣が掠る。
「オオォォォォ!!!」
「ハッハッハッハ!!!」
王が叫び、魔物が嗤う。
戦いはお互いに一切引くことなく攻め続けるのに、お互い傷が増えないという謎の展開が始まる。
お互いの攻撃が凄まじすぎて、逆に当たらないのだ。
アーサーの攻撃は躱されるし、蒼の攻撃は受け止められる。
『おー・・・分かってたけどマジでこうなるんだ』
『こうって?』
『アーサー君が反応速度で蒼ちゃんに追いついたのは言ってたじゃん』
『言ってたわね』
『だからもう攻撃し続ければ単純な話、蒼ちゃんと同じことが出来るー・・・って理屈上の話が目の前にあるって話』
『わ、分かるような。分からない様な』
ムサシとの戦いとは違う。
攻撃した結果削り合いになるのではなく、攻めているがお互いに削られない。
ムサシは蒼と比べると反応速度などの面で劣る。
だからこそムサシ自身は蒼の動きに反応することを辞めて、ただ自分の動きを押し通す事を決めた。
これは蒼にも同じことを許すことになる。
だから去年は削り合いになった。
どういう動きをしても相手は動きが変わらないから、蒼は自分の攻めのパフォーマンスを100で発揮していた。
だがアーサー相手ではそれが出来ない。
相手は自身と同じ速度で反応する。
しかもあの動きを見るに身体能力も最大値に近い。
つまり下手に動けば、その時点で流れを持ってかれる。
そうなると流石の蒼でも自分の思い通りに動く事が出来ない。
しかしアーサー側もこれは同じ。
下手に動けば蒼の直感でそれがバレて一気にやられる。
お互い何かを食らったらそのまま押し切られると分かっているから成り立っている現象。
攻めているのは同じなのに、ムサシの時と違うのはこれが原因だった。
だからこそお互いに止まれない。
止まったら負けてしまうのだから。
戦いは更に加速していく。
速度自体は変わっていない。
ただ二人の思考速度がここにきて更に加速してきている。
ゲーム内のシステムでかなり早くとも目で姿を追えるようになっているはずなのに。
そのはずなのに、最早二人の動きは影すら追えない。
時折フィールド上で武器同士がぶつかり合い生まれる光だけが、そこにある戦いを見せていた。
『全然見えないんだけど!?』
『蒼ちゃんってまだ早くなるんだ・・・追いつけるんだアーサー君・・・』
『化け物か!?・・・いや化け物だったわね!!??』
そんな中で蒼とアーサーの二人は奇妙な現象を体験していた。
自分達の体を動かす速度が速くなっていない。
ただ他の部分が速くなった。
その影響でむしろ自信を含めた全てが遅くなっているように感じ始めていた。
アーサーが目線の動きで剣を操作する。
それを蒼が見て捉え、軌道を直感で先読みして包囲が薄い方向へ駆ける。
だがそれを読んでいたアーサーが突っ込んでくる。
そこも直感で分かっていた蒼が弾く様に逸らす。
その全ての動きが遅い。
だが見た瞬間に動かないと追いつかない。
(これはこれで・・・)
(止めれねぇ分余裕ねぇな・・・)
アーサーも蒼も常人とは比べ物にならない程の集中力を持つ。
だが本当は速いのに、遅く感じてしまう程の動きを続けているせいか、短期間で一気に消耗している。
一息呼吸を入れる暇もない。緩急すら存在しない。
エンジンをフルスロットルで掛け続けているようなものだ。
アーサーは当然として、蒼ですらそんなことはしたことがない。
二人は戦いの中で、人間が踏み込んだ事のない領域に突っ込みかけていた。
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