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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 指導する
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恐怖の大型アプデ(所説あり)

「来週アプデですけど、何か準備はしてるんですか?」

「は?いや何もしてないけど」

「え、大丈夫なんですかそれは」

「スタートダッシュするつもりもないからなぁ」


魔法見学を終え、一通りダンジョンを巡った。

その帰り際、マナにそんな話をされた。


確かに『アークオリンピア』は来週にアップデートが入る。

それも大型アップデートとなっており、新コンテンツやバランス調整など様々な変更が入る。

いつもならそれを予測し、スキルや武器の強化、変更リソースなどを貯めこむのだが今回はそれをやっていない。

何故かと言うと・・・


「今回から日坂さんが参加するので」

「あらま」

「買ってもらったんです・・・」

「正確には余ってたVR機器上げただけ」

「ん?・・・あぁ。そういえば二年前のオフライン大会の商品でしたっけ」

「そうそう。まぁそっちは俺が使ってるんだけど」


そう。ついに日坂さんが『アークオリンピア』で遊ぶ日が来たのだ。

大きなアップデートが入るから、一緒にやりませんかと必要な機材一式渡して布教した。

なので今回はスタートダッシュとかしない。

別にランキングはいつでも上げられるしな(強者の余裕)


「あーなるほど・・・あの悲劇は繰り返されると」

「え?悲劇?」

「何でもないですよ。じゃあ日坂さん、またゲームでお会いしましょうね」

「はい!その時は宜しくお願いします!」

「ちなみにアバターの作成は?」

「ん?もう終わってるぞ。俺と一緒であんま変えてない」

「蒼は鎧着てるんであれですけど成程理解・・・着せ変えだな」

「何だって?」

「何でもないですよー」





















電子の空間に広がる青々とした空。

街の中心部である広場には、新規プレイヤーが目を輝かせながらあたりを見渡している。


その一方で、まるでこの世の地獄でも見たと言わんばかりの表情でへたり込んでる奴らもいる。


・・・俺だ。


「」(ちーん

「ちょ、何で君そんな処で死んでるの」

「・・・ん?アルチャ氏?」

「ああはい。アルチャさんですけど・・・とりあえず怖いから一回起きてくれない?」

「うっす」


地面を叩いて体を浮かし立ち上がる。

ちょっとした曲芸みたいな動きに、周囲にいた新規と思われるプレイヤーが拍手をくれる。

それに応えて手を挙げると、近くにいたアルチャ氏が恥ずかしそうに


「目立ってるんですけど・・・」

「今更ですよ。それで?なんの用っすか?」

「いや倒れてたから気になっただけなんだけど。何かあった?」

「・・・実はですね」


先に言っておこう。日坂さん関係ではないと。

そもそも日坂さんが来るのはあと三時間後です。


今日がまさにゲームのアップデート日。

そして日坂さんがゲームに来る日でもある。

この日の為に色々見て楽しいであろう物を探したり、アイテム準備したりと頑張っていた。


その準備自体は恙なく終わっている。


「じゃあいいじゃん。というかあんたゲームでデートてどうなの?」

「デートってより・・・戦闘訓練?」

「何だって?」


もちろん観光もするけど、そちらは主目的ではない。

俺達の目的は、ずばり日坂さんの動きの確認だ。

日坂さんは戦えない。それは体が小さいってのもあるが、それ以上に才能がない。

だからこそダンジョン内では戦わず、隠れて俺が戦い終わるのを待っている。

でもいつまで経ってもそれでは問題になる時が来るかもしれない。

実際二十六層はそれが問題で暫く立ち止まることとなった。


そこで考えた解決策。

俺の装備云々の話だけではなく、日坂さんの方をどうにかしようという話だ。

まぁレベル的な問題もあるからすぐにどうこうなる話でも無いのは分かっている。

でも基礎があるのと無いのとでは全然違う。

そういう点では見れば、アークオリンピアは非常にそういった練習の環境として優れている。


「ふむ。聞いても問題は無さそうだね。じゃあ何で倒れてたのよ」

「・・・アプデ内容見ました?」

「もちろん見てるけど。何かあったっけ?」

「武器種の変更見てほしいんですけど」

「ふむ?・・・これ?」

「それっす」


アルチャ氏が見ている所は、それぞれの武器種ごとの変更が纏めてあるページ。

例えば一部の直剣の重心バランスが変わりますーとかそういうのが書かれている。


アルチャ氏なら弓と罠の欄を重視してみる。逆に言うと他の部分はあまり見ない。

本来ならちゃんと見て相手の武器の性質を理解するのは必要なのだが、正直そこまでしなくても問題は無い。

精々SNSで話題になってる情報だけを確認するだけでも十分だ。


問題は俺の使用武器種である『かぎ爪』の変更内容だ。


「どれどれ・・・一部の武器シリーズのカテゴリ変更?」


アルチャ氏が読み上げた内容。まさにそれが俺に影響を与えていた。


『アークオリンピア』では、基本的に同じ武器種なら攻撃力に差はあまりない。

武器自体の重量での差はあるが、それはDPS・・・秒間攻撃力として見ると変わらない。


例えば『斧』

これは『大斧』と『片手斧』が良く使われる武器種だ。

それ以外にも存在しているが、割とマイナー気味なので使い手は少ない。


まず『大斧』は一回振るうのに一秒掛かるとする。この時のダメージは八~十一。

対して『片手斧』は一秒あれば最低でも倍は振るえる。ダメージは三~六といったところか。

この時のダメージの振れ幅は当たり所などいくつか理由はあるが、一番大きく影響を与えるのは使用者の技量だ。

上手いプレイヤーとそうではないプレイヤーでは当然ここに差が生まれる。


そして重要なのはここから。

先日日坂さんにも教えたが、『アークオリンピア』の仕様として武器は軽い方が火力を出しやすい。

これにも理由はいくつか存在している。

アーツアビリティのクールダウンとか、満足に使用するためのステータスが低いから補助にアビリティを回せるとか。

ここに関しては人によって何が大きな影響かの考えが分かれるポイントになっている。

俺はその点に関して言うと、一番大きいのは武器の扱いやすさだと考えている。


当然だが、軽くて小さい武器なら取り回しが簡単。

その為ゲームからプレイヤーに与えられる動きのサポートも大きい。

逆にデカくて重い武器は、どれだけゲーム側がサポートしても基本扱いにくい。

その為そのサポートの差が影響し、結果として攻撃力に差が生まれている。

俺の場合そのサポートを受ける為のアビリティを全部捨てて身体能力強化・・・ステータス上昇のみを使用している。

これはあくまでも俺の持論だが、まぁそこまで間違ったことは言ってないはず。


さて話を戻そう。

今回アップデートで武器種が変更されることで一体何がどのように俺に影響を与えるのか。


それは、使用できるアビリティが変化することだ。


「あー。あんたの竜装爪変わったんだ」

「そうっす・・・」

「そら萎れるよねぇ。強化アビリティ大分減ったんじゃない?」

「というか新武器種になるんでほとんど空っす」

「うっげ。一大事じゃん」

「だから倒れてたんですよ」

「なぁるほどねー」


これはアークオリンピアに限らないとは思うが、同じアビリティを重ねてセットすることができないって仕様。

俺の場合これの何が問題って、身体能力強化のアビリティはえり好み出来るほど種類が多いわけじゃないことだ。


まずステータス全般を強化する『身体強化』。俺の現実でのスキルと似ているな。

次に特定の武器種を装備している時だけ効果を発動する『武器系強化スキル』

さらに特定の分野のステータスのみを強化する『限定強化スキル』などなど

このうち武器系強化スキルが物によっては効果が重なり、その他のスキルは同種の物の場合は効果が出てこない。


その『武器系強化スキル』が今回全部使えなくなった。

これは俺の戦闘スタイルを大きく脅かす重大な事件である。

何せ強化系スキルの凡そ四割が死んだも当然だからな!!!


「ふむふむ。『モンスターアーム』ねぇ。まぁ似合ってるというかなんというか」

「種類自体が増えるのは良いけど・・・良いんだけど・・・!!」

「肝心のあんたが弱くなったってことね」


じゃあその該当する武器種の強化スキルを使えばいいじゃん?って思うだろう。

だがことはそう簡単にはいかない。

ゲーム内でスキルを使えるようにするためには、いくつかの条件を満たす必要があるからだ。


「特定モンスター討伐・・・熟練度達成報酬・・・戦闘勝利回数・・・」

「ほぼ苦行かな」

「やっぱりそう思います?」

「まぁあんたは他の人より楽でしょ」

「気楽に言ってくれるなぁ」


この変更で前に武器に追加した伸び縮みする機能も一回リセットされたけどそこは良い。その分の補完はされてるし。


でもずっと前に終わらせた課題がまた出てくるとかいうクソみたいな現実がキツイのだ。

特にモンスター討伐・・・てかクエスト達成が面倒。

戦闘系はあるにはあるけど、ほとんどおつかいとただのロールプレイだったりするし。


「ん?でもこの内容なら別に問題無くない?」

「はい?」

「いや。普通にかぎ爪使えば?」

「ああ。出来ないんですよそれが」

「ありゃ。そうなの?」

「ちょっと調べたんですけど。俺のこれみたいな武器全部『モンスターアーム』になっちまいまして」

「使い慣れてる方が良いってか」

「というか普通のかぎ爪は軽いから嫌いなんですよね」

「はぁ。流石態々重い武器使ってるモノ好きは違いますわ」


それなって感じ。


でも実際の所、かぎ爪使えばムサシに勝てるかと言われると間違いなく無理。

まず今より一歩近づく必要があるって点がマジで無理。

今のこの竜の爪くらいの間合いで一方的に殴る斬るを繰り返すからある程度戦えるのであって。

てかこの一歩の間合いを測るのに何度即殺されたかと。


「はぁ。マジで今回はランキングやめようか視野に入ってきた」

「あははは。まぁどんまいどんまい。そういうこともあるって」

「てか『モンスターアーム』って。確実に俺当ての調整ですよねこれ」

「露骨ではあるよねぇ。でもほら、刀も調整されてるみたいだし」

「ん?・・・あ、本当だ」


刀のカテゴリが増えたのか。

今まで刀は『刀』でしかなかったけど、そこから『居合刀』や『脇差』何かが増えたと。

それによってまたスキル範囲が変わってるようだ。

ムサシは・・・微妙だな。あいつの一番の刀ってめっちゃ普通の刀だし。


あ、でもそうなると暫くあいつそれしか使わなくなる?


「喧嘩売りに行こうかな・・・」

「いきなりバイオレンスだねあんた・・・てか先にスキル埋めしなさいよ」

「はぁい」


めっちゃ行きたくねぇ・・・でも後三時間くらい時間あるし・・・


「はーしゃーねぇ行くか」

「よっしその調子だ若者よ!」

「いやアルチャ氏だって若いでしょうよ」

「いやぁ。私はそこまでぴちぴちじゃないですよ」

「んー?でも扇雀が・・・・あ、今の無しで」

「おいあいつ何て言ったんだ」


すまん扇雀。今度会ったら何かおごる。



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― 新着の感想 ―
[一言] というか、この仕様変更マジクソというやつでは??? 「短剣でも長剣でも大剣でも同じ分類です」 から 「3種別扱いになります。いままでのスキルはすべて長剣分類になるので短剣と大剣は新規スキル…
[一言] ゲーム空間で一人お通夜空間を形成してるランカーの絵面はなんともシュール… つかモンスターアームってリアルの闇魔法そのまんまな気が
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