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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 マナとの今後
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動物園の思い出

マナは宗次とのデートでいくつか分かったことがある。

まず一つ目。


(女の子の扱い慣れすぎでは???)


ただ道を歩いているだけでも歩道側にいつの間にかいたり。

歩く時も歩幅を合わせてくれたり。

話の内容もどちらかが一方的に話すのではなく良いタイミングで切り変わったり。

お会計も気が付いたら払い終わっていたり。

何ならご飯選ぶ時も自分と分け合えるように違うジャンルのものを選んだり(オムライス一口貰いました)


とにかくこちらが不快にならない動きが完璧である。

しかもそれを意識してないと気が付かないのだ。

ここまで完璧なのは見たことが無い。

少なくとも自身の同年代はそんなこと出来ないんじゃないかと思ってしまった。


「・・・デート慣れしてます?」

「ん?そうか?」

「何か随分と色々手慣れてるなと」

「俺が言うのも何だけど彼女が既に二人いる男にそれ言うか?」

「まぁそれは確かに」


それにしたって慣れすぎでは?と内心思いなおす。

恐らくはリアという少女の方だろうとも予測がつく。

巡さんは何となくこういう感じではなさそう。そもそも二人でデートしてないんじゃないかという疑惑すら思い浮かんだ。


「巡さんともこういうデートを?」

「巡さんはなぁ・・・してないんだよなぁ」

「ああやっぱり」

「家でゆっくりするか普段の買い物行くかしか・・・」

「えぇ」


これは日坂家のかつての金銭事情が関わっている。

単純にお金を使って遊ぶという意識が巡に欠片も無いのだ。

なのでどうしてもデートとなるとお金の掛からない形になる。精々が散歩である。


「動物園も微妙な顔するんだぞあの人」

「筋金入りですねぇ」

「まぁ動物園はリアも嫌がるけど」

「えぇ・・・」


じゃあ今の話は一体と思ったのは不思議ではないだろう。


「ん?じゃあ何で私は動物園に?」

「いやお前可愛い系動物好きだろ」

「好きですけど。そんな話したことありましたっけ?」

「前のイベントで猫の何かとってなかったっけ?」

「あ、とりましたね。何なら貰いましたね」

「そうそうそれそれ」


そう。今彼らはまさに動物園に来ていた。

宗次の地元から電車で約一時間程。

今回の為に予め宗次がチケットを取っていたようだ。


これが女性に慣れているとマナが思った理由二つ目。

こちらの好みをちゃんと把握していることだ。


何でもないつもの会話内容をキチンと覚えているのだ。

普段そんなこと興味の欠片も示さないくせに。

ちゃんと聞いているんだなーと思うと同時に、何だかは恥ずかしさも感じる。

あの蒼が自分の為にデートプランを考えてくれたという事実だけで恥ずかしいのだ。


「んじゃ最初は・・・すまん猛獣系がいるエリアだけ行かんでいいか?」

「ん?ライオンとか苦手なんです?」

「ある意味苦手だな」

「ある意味・・・?」


答えはすぐに分かった。

道順的にライオンの檻の前を通った時だ。


宗次が前を通った瞬間に、ライオンが動きを止め、まるで命乞いするかのように腹を見せて震え始めた。


「・・・こうなるんだよなやっぱり」

「あー」


周りの他のお客は見たことのない姿に喜んでいるが宗次的には喜べない光景だ。

マナも何となくその理由を察して言葉が出ない。


「存在そのものが強すぎません?」

「昔からこうなんだよ・・・猛獣系というか、割と凶暴って言われてるのは」

「熊とかもですか?」

「あいつら俺が来た瞬間隠れるからな・・・」


金太郎もビックリである。まず相撲が成立しない。


そんな様子で他の小動物は大丈夫なのかとマナは一瞬警戒する。

だがこちらは逆に大丈夫だった。

むしろあちらから寄ってくるレベル。


ふれあいコーナーに来た瞬間、宗次の足元は小さな兎によって埋められた。


「わぁ」

「弱いと媚びてくるんだよな・・・」

「動物園に良い思い出無いでしょ実は」

「無いな」

「良く来ましたね本当に・・・」

「マナが喜ぶかなぁって・・・」

「ん”ん”っ」(致命傷n回目


宗次は足元に寄って来た兎を一匹抱えてマナに渡す。

それを恐る恐る受け取ると、いつもの無表情ながらも喜んでいるのが分かるオーラが出てきた。


こいつほんと分かりやすいよなぁと、手のひらに頭を押し付けてくるデカい兎の感触を堪能しながら考える。

でもその間も視線は一切マナから動かない。

膝に乗られようと、肩に乗られようと一切動かない。


「・・・実は舐められてたりしません?」

「舐められてた方が楽しいかもしれん」


自分に乗っていた兎達に指で指示を出す。

するとその指示通り兎達はマナの方へと集まり始めた。


「少なくとも言うことは聞いてくれる」

「さらっととんでもないことしてますね。あ、その子ください」

「はい」


だが流石はマナ。

宗次の理不尽行動に慣れているからか適応が早かった。

すぐにその恩恵を受けることに集中し始めた。

一際大きな兎を受け取ると先ほど以上にモフモフし始めた。


そして三十分後。


「大満足です」(ムフー

「それは良かった」


そして次の場所へ。。


「あれ?併設してる水族館行かないんですか?まさかこっちも変な思い出が」

「いや海夏がいるから行けないってだけ」

「あ、なるほど」


ちなみに海夏と水族館に行った場合途中で我慢できなくなり水槽に勝手に突っ込んでいく。


「次はどうする?美術館もあるし、買い物行くのでも良いけど」

「む、選べるタイプですか・・・じゃあ買い物で。この辺あんまり来ませんし」

「OK。つってもこの辺だと買い食いとかになりそうだけど」

「楽しみですねー」

「ちゃんと拡大鞄持って来てるから何か買ったら入れてやるよ」

「用意が完璧」


動物園を出て今度は買い物の時間。

途中でコーヒーショップへ寄りドリンクを購入しておく。


「マナー・・・あっぶねいつもの癖で」

「ん?何しようとしました?」

「いや癖でお前のドリンク飲もうとしてた」

「え」

「いや普段飲ませたり、飲ませてもらったりしてるからつい」

「・・・//」


ちょっとしたアクシデントもあったがそれ以外は問題なかった。

マナがちらちらと宗次の方を見ては赤くなる事以外は。

それも屋台が並ぶ場所まで来たら無くなったが。


「ええい。もうやけ食いですよやけ食い!」

「この牛串六本ください」

「さらっと大食いしてますね。あ、私も一本ください」

「ほれ一本」

「む。お金・・・」

「悪いが今日はお前に一銭も払わせる気はないぞ」


買い食いくらいはとマナが財布を取り出すより前に宗次がそれを止めた。

これにはマナも自分の方が年上なのにと思う。

お金だったら自分だって持っているのにし、そもそも宗次にたかるような事はしたくない。

そのままそう伝えるのだが・・・


「男の甲斐性みたいなもんだからな。今日は俺を立ててくれ」

「むぅ。蒼っぽくない事言ってますね」

「ガラじゃない自覚はあるよ。でもかっこつけるくらいは良いだろ」

「・・・別にそんなことしなくてもカッコいいですよ」(ボソ

「ありがとよ」

「何でこういう時は普通に聞こえてるんですか!」

「・・・お前の言葉を聞き逃さない為?」

「蒼って本当にびっくりするくらい素直ですよね!!」

「ありがとう?」


これが宗次とデートして分かった事三つ目。

昔からそんな感じはしていたが・・・宗次がとても素直だということだ。


好きだと思ったらそれに向けて一直線。

それもこっちが不快にならない様に気を付けながら。

普段の雑な蒼からは考えられない。

だけどその落差のせいで恥ずかしさが増す。


あの蒼がこんなにも言ってくれるなんて・・・と、そう思ってしまうのだ。

その時点で既に負けている様な気がしないでもない。

でもやっぱり返事は出来ない。


「ち、ちなみに今日って何時までの予定なんです?」

「お前が良いなら夕飯前には終わろうかなって」

「え」

「いや。最初のデートでいきなりその先は行かねぇよ」

「あ・・・そ、そうですよね」

「でもどうする?今から言えば千尋が飯作ってくれるけど」

「・・・それは久しぶりなので食べたいですね」

「んじゃ伝えるか」


今日一日でそんなことは無いだろうと分かったが、何となくまだこのくらいの距離間でいたいと思ってしまった。


返事をしなければ、蒼が真っすぐ見てくれるなんて。そんなことを。


「あ、今日巡さんいないのか」

「あらま。というか毎日蒼の家にいるんですか??」

「家近いしな。殆ど住んでるようなもんだぞ」

「いい加減隣に日坂さんのおうちでも建てたらどうですか?」

「それもそうだな。確か裏の家が近々田舎に帰るから家売るとか言ってたな・・・」

「え、マジで検討しますこの流れで・・・ん?巡さんがいない?」

「今日は家族で食べるってさ。何か用事あったか?」

「いや用事は・・・ちなみにリアさんはいるんですよね?」

「そら住んでるからいるけど。あいつ一昨日から引きこもり始めたから多分夕飯には出てこないぞ」

「へぇー。お仕事なんですね」

「だから俺と千尋とマナの三人だけになるな」

「なる・・・ほ・・・ど・・・?」


瞬間、マナの脳裏にある考えが浮かんだ。

千尋の頭の回転は自分を上回る。その上で予知の如き先読み、細かな変化も見逃さない観察眼も併せ持つ。

そんな彼女が、今の自分を見たらどう思うか。


そもそも、夕飯を食べに蒼の家に行くというのがどういうことなのかを。

しかも今日に限って、他の女性がいないというタイミング。


それはつまり・・・


「そ、蒼!」

「お、おう?どうした急に」

「今日はダメですからね!」

「え、いや何の話」

「ま、まぁ?一応可愛いのは履いてきてますけど!!」

「おう落ち着けマナ」

「べべべべ別にそういうことを期待してたとかそういうことじゃなくて」

「ああダメだ聞いてねぇ。風奈音遮断しといてくれ」

『クェー』


マナの暴走は二十分程続いたとさ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] かわいい リアと巡さんとは違ったかわいさ
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