交渉と新武器
2024/06/20 改稿して増えた話です。
俺と日坂さんの仕事を、完全に分ける。
それによって、日坂さんは俺と一緒にいないといけない。
・・・でも今思うと、これあれだな。
親の治療費をチラつかせてお前の自由を奪うぜげへへって感じー・・・
「あ、急に死にたくなってきたぞ?」
「アホ行ってないで早くご飯食べてよお兄ちゃん」
「そうよ宗次。糸、手に入れてくるんでしょう?」
「そうだったわ」
あれだ。日坂さんに嫌われないように気を付けよう。
本当に死にたくなっちゃう・・・。
冒険者協会の一室。
割と最近常連になりつつあるその部屋で、俺と日坂さんは桜木さんを待っていた。
「な、何かすっごくいいお菓子なような」
「まぁ一応俺達VIPなんでね?」
「そ、そうなんですか?」
「スキルスクロール売ったらそうなるんですって」
協会への貢献ってね。
そのせいか受付時にめっちゃ頭下げられたし。
俺はのんびり、日坂さんは緊張した面持ちで時間が過ぎる。
数分したら、ついに桜木さんがやってきた。
「すみません。お待たせしました」
「いえそんなには・・・あれ?」
「失礼。こちらは佐々木です。スキル習得者・・・になる予定の者です」
「あ、なるほど」
「佐々木だ。今日はよろしく頼む」
「護衛にも着いてきてもらうことになりました。それに武器についても」
「武器?」
「俺のです。護衛だけだと高すぎるって」
「あ、そうなんだ」
日坂さんはちょっとほっとした様な表情になった。
ああうん。心配させてたのねすんません。
「それじゃあまずはスクロールを」
「はいこれです」
「確かに・・・佐々木」
「ああ。では、こっちが武器でs・・・だ」
「??。ありがとうございます」
スクロールを渡すと、代わりに箱を渡された。
そこまで大きくはない。でも重さ的に確かに中に入っているな。
確認の為箱を開けると、そこには赤い色の篭手と脚甲が入っていた。
「【赫爪】という武器だ。私が新発見した、ダンジョン武器になるます」
佐々木さんさっきから日本語おかしくない??
「ところでダンジョン武器とは」
「えーっと。ダンジョンの中手に入る宝箱とかから手に入る、特殊な力を持つ武器・・・のことですよね?」
「その通りです・・・そう言う形に落ち着いたのですね」
「お陰で面倒がなくなって集中出来ますよ」
「良いと思います。お互いが納得しているなら猶更」
俺が知らない事を日坂さんが教えてくれた。
それを見た桜木さんは、俺達の関係を見抜いたらしい。
何か、めっちゃ笑顔なのはあれだけど。
「付けてみてください。後、佐々木は普通に戻りなさい」
「あ、ああ・・・」
言われた通り全部付けてみる。
しっくりくるな、サイズは自動で調整されるそうだが・・・完璧なんだな。
「握って見てくれ。すると、爪が出てくる」
「・・・へぇ。力むだけでも良いんだ」
「一瞬で使いこなせましたね」
「流石だ・・・」
感覚的には、大分昔に使ってたアークでの武器に近いか。
かぎ爪と通常の篭手として使い分けられる武器だったか。
しかし使ってた期間は割と長い。
一時期は俺の代名詞になってたくらいだ。
馴染む・・・良い武器だな。
「だと思った」
「だと?」
「んんっ!!」
「・・・そんな感じがしたんだ!!」
「なるほど!!!」
「・・・今ので流されるんですか?」
「と、戸村君なので」
イイネ。今すぐにでも戦いたいくらいには馴染んでいる。
最近はもっとデカい爪ばっかり使ってたからな。
偶にはいいだろ、こういうのも。
「ところで、佐々木さんて俺の事・・・てか、蒼セカンドの事、知ってる人です?」
「ぶっ!?」
「あ、気が付いてたんですね」
「いや。これが合うって知ってるの、中々いないですし」
それこそ筋金入りのアークプレイヤーでも無ければ知らない話だ。
歴で言うと四年以上か。それくらい。
あとそう分かってから、改めて佐々木さんを見て思ったことがある。
「得物はデカい刃物。それも斧とかじゃなくて、多分刀系の片刃・・・出刃包丁かな」
「・・・見て、分かるんですか?」
「歩き方で何となく。ただダンジョンだと別の武器っすね。まぁあれはそもそも存在しないか」
「・・・せ、正解です」
多分アークで戦ってた時間の方が長いんだなこの人。
だから歩き方に微妙に癖が残ってる。
その経験を合わせて、冒険者としての戦い方を確立させたタイプと見た。
そこまで俺がわかったのなら隠せないと思ったのか、佐々木さんは話してくれた。
どうもこの人、俺のファンらしい。
「さ、サインを・・・」
「そこまでですか?」
「良いっすよ」
「良いんだ・・・」
サインくらいなら別にまぁって感じだ。
あとそれを聞いて思い出した。
アークの方で俺の戦い方を研究してる連中がいるんだが、そいつらの所に良く出入りしてるプレイヤーがいる。
そのうちの一人が出刃包丁のプレイヤーだったはずだ。
確か去年のコンビ大会にも出ていたっけ。
決勝まで残ったのだが、相方がそこまでだったのと、相手がアーサーだったのもあって負けてたっけ。
ただ個人と言うだけで見たら、十分に強い人だなと思ったから覚えてたわ。
「本当ならば、あの爪を用意したかったのですが」
「いやまぁそれはねぇ?」
「実際作ってもらおうとしてましたよ、こいつ」
「ダメだったんですか?」
「流石に大きすぎるというのと・・・満足いく性能にならないとのことで」
「あんな物を使わせるわけにいかない・・・!!」
強火であった。ああうん。アークにいるわ、こういう人。
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