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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 仲間が増える
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冒険者チーム

あっつい・・・

「ただいまー」

「おかえりー。洗濯物いれてー」

「あいよ」


冒険者になって早一か月経った。

五月になりまた暑さが増してきて嫌な感じ。

クラスの雰囲気もマシにはなったがまだ嫌な感じ。

でも改善は見られるので、このまま放置でもいいだろう。


俺個人としてはまぁ・・・特に変化はないか。

ハイペースで到達階層を更新しているところだ。現在九層まで来た。

ここら辺になると徐々に手に入るドロップ品の価値が跳ね上がる。

なのでお金的な意味では、十層のあるモンスターを狙っているところ。

しかしそれについてちょっとした問題も発生している。


「え?物が持てない?」

「ああ。まさか俺もこうなるとは思わなくてな」


そう。ドロップ品をあまり持ち帰れないのだ。

当然だが、ドロップ品を持ち帰るためには自分が持ち込んだ鞄やらリュックやらに入れる必要がある。

入りきらないものはそのまま放置。もしかしたらそれを別の冒険者が見つけて拾う可能性もある。

それ自体は問題ないんだが、ちょっともったいないだろうという話だ。


「んなわけでリアさんや、ちょっと手伝うつもりない?」

「や」


一文字で断られるとは思わなかった。せめて二文字かと。

でもまぁ元からあんまり期待してないから構わない。


「ちなみにお前の知り合いで冒険者って」

「いるわけないじゃん」

「ですよね」


千尋の同級生は不可能だけど、知り合いの先輩とかワンチャン無いかなと思ったんだがな。


本来なら学校の同級生に頼むってのもあるはずなんだが、俺は使えない。

そうなると誰かの知り合いを紹介してもらうしか手が無い。


一応協会側に依頼すれば近い実力の人を紹介してもらえたりもする。

だけどチームを組むなら信頼できる人が良いだろう。

そうでなくても最低限の信用は必要だ。

いくら協会の紹介といっても完全じゃない。

まぁそれしか無さそうなんですけどね。ハハハハ・・・はぁ。


「七瀬スポーツから紹介とかしてもらえないの?」

「最初に聞いたわ」

「ダメだったと」

「今組んでる人たちがいるってのと、俺の問題もあってな」

「お兄ちゃんの?」

「ぶっちゃけどうしようもないタイプの問題があったんだよ」


俺の問題。それは到達階層の更新が早すぎることだ。

一月で九層まで行くというのは現在確認されている中では最速らしい。

そんな俺とチームを組むとどうなるか。

俺は大丈夫だが、ほかの人を置いていく可能性が出てくる。これが不味い。

一度チームを組むと基本的にそのままメンバーを固定する風潮が今の冒険者たちの間にある。

何度も組むメンバーを変える冒険者は何かしら問題があるのではないかと思われるのだ。


「急に人が足らなくなったら入れますよみたいな活動してる人いないの?」

「いるけど。それは本当に一回二回組むだけの人達だからな」


今回の俺の場合そういう人たちに頼んでも根本的な部分が解決しない。

そういう人達は基本分け前を結構取られるからな。

チーム行動を学びたいんですって人がそれしてる場合はそうでもないんだが。


いずれにしても、俺の悩みを解決してはくれないなら今は関係ない。


「リアの知り合い・・・いるわけねぇか・・・」

「ぶっころ」

「はいはい」


引きこもり少女のパワーで今の俺に何か出来ると思うなよ。


結局その日はいい案が出ずに終わった。

まぁこれに関しては長い目で見ていく方が良いのかもしれない。

活動を通して知り合いとか出来る可能性はあるからな。


そう決めた次の日。

土曜日の朝はダンジョンが最も混雑する時間だ。

空いてる時間に来たいなら平日がお勧め。俺はいつもは学校終わりに行っている。

時間はあまり取れないが、その分獲物は多い。


「さて、今日はどこまで行くかね」


休日だからな、どうせなら十層行くか?

ドロップ品は勿体ないけど大体は放置の方向性で・・・


「あの~」

「いやでもある程度は詰めておきたいしな・・・」

「あ、あの~」

「つっても何が必要か。魔石と・・・爪か・・・」

「あの!!」

「んおっ!?」

「む、無視しないでくださいぃ」

「あ、ああ俺か。すみません・・・?」


後ろから話しかけられていたので振り返るが、そこにいた・・・あったのは巨大な鞄だった。


「鞄がしゃべった・・・!?」

「下です下!!」

「あ?・・・ああ」


声の通り下を見ると、そこにちゃんと人がいた。

良かったてっきりそういうモンスターかと。


それにしても・・・


「迷子センターってここにあったか・・・?」

「私は十八です!!」

「おおう」


声がデカい。

冒険者カードと保険証を見せられる。

それがあるということは最低でも十六歳以上。そして生年月日を確認したら確かに十八歳であることも分かった。


え、マジか。このサイズで成人・・・?


「まぁそういうこともあるか」

「何でいきなり納得されたんですか私・・・?」


顔をよく見るとしっかりと大人びている部分が見て取れる。

身長は140以下だろうか。

それよりこの人よくその大きさの鞄持ってるな。


「それで?何か俺に用があるみたいですけど」

「あ、はい。そ、そのですね」

「はい」

「スゥ・・・ハァ・・・」


思いっきり深呼吸している。

何か言い出しづらいことでも言うつもりなのだろうか。

・・・窓は閉まっているな。なんのとは言わないが。


そのまま待つこと数分。どんだけ溜められてるんだ俺は。

だけどようやく覚悟が決まったのか。


「行きます!」

「はい」

「私に荷物運びさせてください!!」

「はい・・・はい?」


何を言われてるんだ俺は???


そして今の大きな声で回りの注目を集めてしまった。

ここだと話しづらいか。一旦場所を移そう。


小さい人にそれを提案すると、割とあっさり頷いた。

この人は人を疑うとか無いんだろうか。

・・・いや、そういう感じじゃないな。


協会の建物の一部屋を借りることができたのでそこで話し合うことに。


「えーっと。自己紹介からでいいですかね」

「あ、そういえば・・・」

「俺は戸村宗次です。冒険者歴は一月です」

「わ、私は日坂巡ひさかめぐるです。冒険者歴は・・・そろそろ三か月になります」

「おおー。大分先輩っすね」

「に、二か月だけですよ?」


そこそこでかいと思う。二か月だと多分十五層まで行けると思うし。


さてこの小さな女性。日坂巡さん十八歳。

見た感じ戦えそうにないし、そもそも荷物運びをさせてほしいとはいったいどういうことなのだろうか。


「えーっとですね。つまりは・・・」

「・・・なるほど」


要するに、俺が倒して得たドロップ品を俺の代わりに持つ役割らしい。

一人では持ち帰れるドロップ品の量に制限が大きい。

でももう一人いれば、単純計算でも倍の量を持ち帰れる。

しかもそのもう一人が戦わないと考えると、容量はその分増やせるとみていい。

つまりは手に入れた分を半分こにしても利益的には増える。

良いシステムだな。でもそんな話聞いたこと無かったけど。


「その。皆さん基本自分で戦いたがるといいますか」

「ああ。レベル上げたいですもんね」


そりゃ確かにやる人はいないし聞くこともないだろう。

ダンジョンに行く理由として一番多いのは金だが、その次はレベルを上げるためだからな。

レベルが上がれば身体能力が上がる。そうすればダンジョン以外でも何かしらで役に立つ。

スポーツ選手なんかは競技の公平性を保つためにダンジョンに行くことは禁止されているが。


でもそれを考えると、日坂さんはレベルがいらないのだろうか。


「レベル上げなくていいんですか?」

「うっ・・・じ、実は」

「・・・度胸あるっすね」


話を聞くと納得した。そらレベル上がらん・・・というか上げられんわ。


「まさかまともに戦えないとは」

「ね、ネズミは倒せるんですよ!」

「あんなのいくら倒しても誤差じゃないですか」

「うぅ」


この人は本当に年上なのだろうか。

そして話を聞くと同時に何故荷物運びを申し出たかも凡そ分かった。


戦えないから、その分荷物運びをすることで稼ごうというわけだ。


「でも正直、それするなら他の事した方が良いんじゃ?」

「私スキル持ちなんです。【鞄拡大】ってスキルなんですけど」

「何か読んで字のごとくみたいなスキルっぽいですけど」

「実際そうなんですよね。中を見てもらえますか?」

「どれ・・・おお!」


日坂さんが持っていた鞄の中身を見せてもらう。

なんと中にテントらしきものが入っているではないか。

他にもいくつか物が入っているが、何よりすごいのはそれでも鞄の容量の半分以下であることか。

これなら魔石だけでもかなりの量を持ち帰れる。それも同じサイズの鞄を二つも持っているからさらに倍プッシュか。


「すごいっすね」


でもこんなスキルならちょっと気になることも出てきた。

何で俺に声をかけたんだ?

俺より下の階層で活動している冒険者はあそこにもいたはず。

なのになぜその中で俺を選んだのか。

ちょっと聞いてみるか。


「このスキル持ってるなら、他の人も誘えますよね」

「そ、そうですね」

「何で俺に声かけたんです?」

「・・・実は」


日坂さんは、今みたいに他の人に声を掛けるというのを数日前から繰り返していたらしい。

だけど一人も捕まらなかった。何せ話を聞いてもらえなかったのだから。

その体の小ささのせいで。


「私だって好きでこんなちっこくないんですよ・・・」

「・・・ご愁傷様です?」


まぁ事情は分かった。

何となく大変そうだなぁくらいしか思わないが。


では今回の提案を飲むか飲まないか、だ。

ぶっちゃけ受け入れてもいいだろう。これが今日だけなのかこれからずっとなのかは要相談だが。

本来ならば臨時のチームはあまり組みたくない。

でも日坂さんは俺の求める要望を完璧に満たしていると言っていい。

荷物を人一倍持てること。報酬は6:4でいい。

何より戦えないのがマジでいい。経験値は全部俺が欲しい。


うんうん。やっぱり断る理由がないな。

でも一個だけ聞いておきたいことが。


「まぁ荷物運びはいいんですけど」

「本当ですか!?」

「ええまぁ。ですけど」

「で、ですけど?」

「何でそこまでダンジョンにこだわるんです?」

「ッ・・・そこ、大事ですか?」

「俺が気になるだけですよ」


初めからこの人から感じていたのは焦りだ。

それと同時に、何かに縋りたくて仕方ないという感じ。


焦りの感情はよくゲーム内で見たものだ。

俺やランカーの連中にずっと勝てなくて、イラついて無駄に時間を消費している連中の目によく浮かんでる。

後半の感情に関しては・・・まぁ昔見たことがあるとだけ言っておこう。


何故そんな感情を浮かべるのか。

なによりダンジョンから離れないのか。

別にこんなこと聞かなくても問題は無い。どうせやることは変わらないのだから。

それでも聞くのは、そうした方が良いと俺の勘が言っているから。

戦いで最も信頼している本能的な部分だ。だから日常でも基本的に信じるようにしている。


俺の質問に対し、日坂さんは一瞬顔をしかめた。

本当に一瞬だから見逃す人は多いだろう。

だけど俺はしっかりと見てしまった。


「だって・・・そうじゃないと間に合わないから・・・」

「ん?今何て」

「いえいえ!単純にお金が手っ取り早く欲しいんですよ!!」

「・・・なるほど。そうですか」


100%の嘘だ。間違いない。

だがどうしてだろうか。ここで踏み込むべきじゃない気がする。

ここは納得しておくか。いずれ話してくれるかもしれないし。


「理由は分かりました。じゃあチーム組みましょうか」

「あ、本当に気になっただけなんですね」

「まぁそうですね。こんなにダンジョン向いてない人いないだろって思ったんで」

「・・・まぁ自覚はありますけど」


ちょっとストレートに言い過ぎたかな?

ところでなんだが


「チームってどうやって組むんでしたっけ?」

「えぇ!?」


何か研修で聞いた気もするんだがさっぱり忘れてしまった。

というか組むことがあると思ってなかったからなぁ。

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[一言] 最速○と荷物係とスポンサー契約…紐もといヒロインはまだか
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