第8話 遊園地のきっかけと、熱い視線。
今回は短めです。
始まりは夕ご飯を食べさせてもらっていた時の、佐山さん(お母様)の何気ない一言だった。
「二人はもうデートとかには行ったの?」
僕は、熱も下がりいつもの状態に戻った佐山さんと目を合わせる。ちなみに起きた後の出来事プラス甘えた時の記憶は残っているようで、かなり長い時間顔が真っ赤だったのだが、さすがに夕飯を食べるときには頬の赤みもそれなりに引いていた。
「……最近付き合い始めて、デートというデートはまだ、です」
「あらまーそーなの。それじゃあ…これあげちゃう!」と言って、カバンからおもむろに何かを取り出す。
「はい!これ!ダズニーシーのペアチケット!これ会社の人からもらったんだけど、お父さんもあんまり好きじゃないみたいだし!」
ダズニーシとはキモカワで有名なナマコの妖精、という設定のダズ二君というのがいる比較的有名なテーマパークだ。
意外と人気で女子を中心に流行っているらしいのだが…正直ダズ二君とやらの可愛さが分からず、『ただただキモイ、ナマコ』にしか見えないのである。それに 最近は人気を博し、チケットはそこそこな値段まで上がっているダズニーシー。
「えぇ、そんな、悪いですよ」
と言ってやんわりと断ろうとすると今まであまりしゃべらなかった佐山さんが目をキラキラさせ言った。
「行く行く!絶対行く!!行くよね天根川君!?」
なんて言われたら断れない。
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて行かせてもらいます、…こんなに高価な物、ありがとうございます」
「いーのいーの!たのしんできてねぇ。ウフフ」
それとさっきから、気にしないようにしていたのだが、先程からお義父さんのメラメラとした視線が痛い。
その視線に気が付いたのか、それとも佐山さんにはいつもと違うように見えたのか、お義父さんに声を掛ける。
「パパー今日全然喋んないけどどうしたの?」
お義父さんは体をビクッとさせ佐山さんに返事をする。
「いやぁ?ちょっと今日うちにネズミが入ってきたから退治しなきゃなぁ、と思ってね」と僕を睨みながら言ってきた。
いや絶対僕のことなんだよなぁ。
「え、そ、そうなの!?怖いよ!?早めに退治してね!」
なんて返事をしているあたり、佐山さんは気が付いていないのだろう。
しかし、お義母さんは気が付いたようでもうっ、と言いながらお義父さんの頭を強めに叩く。
それに対しお義父さんは怒ることなく、しゅんとしながら謝る。一発でこの家の力関係が分かった気がする。
……もしもの時のためにお義母さんに媚を売っていても損は無いな。
しかし、しゅんとしながらもなお、お義父さんはこちらをメラメラとした目で見てくる。コワイデス。
まぁ、何はともあれ、佐山さんとデートに行けることはすごくうれしい事なのでお義父さんは見なかったことにしよう。うん。
今回も読んでいただきありがとうございます。
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あと一話ほど話を挟んで遊園地編です。お楽しみに。