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 私とお兄ちゃんは軽く手を合わせて「頂きます」をすると、早速グラスに手を伸ばした。


 グラスの中身は麦茶で、私は一気に半分くらい飲んでから、チョコレートを摘み上げる。


 そんな私の正面では、お兄ちゃんがクッキーに手を伸ばしていて、その左手ではおじいちゃんがクッキーとチョコレートをぱくぱくと食べていた。


 強面な外見からくるイメージとは裏腹に、おじいちゃんは甘い物が大好きなのだ。


 そのあまりのギャップの大きさに、私は十年経ってもおじいちゃんが甘党だと覚えていたくらいで、やっぱり手土産をお菓子にして正解だったなと思う。


 おばあちゃんも甘い物は嫌いじゃないみたいで、おじいちゃんより大分ゆっくり味わいながらチョコレートを食べていた。

 

 私はクッキーを噛み砕きながら、ふと充電中の携帯電話に目を留めて、おじいちゃん達に訊く。


「ねえ、あのケータイ、お父さんのだよね? 充電してるみたいだけど、まだ使ってるの?」


 無口な上にお菓子に夢中なおじいちゃんが返事をしてくれる訳もなくて、私の問いかけに答えてくれたのはおばあちゃんだった。


「使ってるって言うか……メールを待ってるの。お父さんのお葬式でね、お父さんの友達が『これからも時々あまね()君にメールしてもいいですか?』って言ってくれたから、お母さんにお願いして、そのままにしてあるのよ」

「そうだったんだ。いい人達だね」

「そうね」


 おばあちゃんはふふっと笑って、クッキーを美味しそうに食べた。


 家族でもない只の友達が、いなくなってから十年経ってもまだメールをくれるなんて、お父さんは友達に恵まれていたみたいだ。


 今もまだメールをくれているなら、お父さんの携帯電話を見ればアドレスはわかる筈だし、連絡を取ることはできるだろう。


 勝手にアドレスを見てメールするなんて、本当は良くないことだし、無視されてしまうかも知れないけど。


「ちょっと、ケータイ見せてもらってもいい?」

「いいわよ」


 おばあちゃんに許可をもらったところで、私は立ち上がって携帯電話の前に移動した。






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