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数日後、夏休み前最後の学校が終わった。
私が通っているのは、最寄り駅の隣の駅からバスで十分程度の所にある県立高校だ。
別の路線の駅で降りれば徒歩十五分くらいだけど、そちらの路線は電車の本数が少なくて不便だから、敢えて少し遠回りして通学している。
最寄り駅の近くにも高校はあるのに、わざわざこちらの高校に通っているのは、この高校が進学校だからだ。
漠然と大学に行こうかなと思っているくらいで、具体的な進路の希望がある訳じゃないけど、せっかく学力が足りているのだから、近いからと言って学校のレベルを下げるのは勿体無いだろう。
私の通う高校は駅から遠いだけあって、近くには大したお店もないし、周りは住宅街だった。
マンションや一軒家の中にある白い壁の学校は、三つの棟が渡り廊下で繋がっている。
五十年以上の歴史がある校舎はどこも使い込まれた感があって、お世辞にも綺麗とは言い難いし、「災害時の避難所になっているけど、地震が来たら真っ先に校舎が壊れる」なんて冗談を言う先生もいる程だった。
正直掃除をしようがしまいが、見た目にはあまり変わらないけれど、大掃除は昨日済ませていたから、今日は終業式だけだ。
これから一ヶ月以上も学校に行かなくていいのだと思うと、気が緩んで少し眠くなってきたけど、こんな日でも部活動は行われていて、運動部員達の大きな声や吹奏楽部が奏でる楽器の音が聞こえてくる。
でも私は帰宅部だから、今日もホームルーム後にすぐ学校を出た。
友達は文化系の同好会に入っているけど、年に数える程しか活動していない同好会だから、帰りは大抵一緒だ。
同好会に入らないかと誘われたこともあったものの、勉強以外に取り立てて得意なことがない私にとっては苦行にしかなりそうになかったから、丁重にお断りした。
いくら友達が一緒でも、嫌々同好会の活動に参加するのは気が進まない。
私は額にじっとりと汗をかいてくるのを感じながら、正門から学校を出ると、友達二人と駅に向かって自転車を走らせた。




