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私が人の流れに沿って、ビルの二階にある自動ドアをくぐると、中はエアコンが効いていて、外の息苦しいくらいの暑さが嘘みたいだった。
左手にあるガラスの重いドアを押し開けると、そこはエレベーターホールになっている。
十人くらいのお客さん達に混じってエレベーターを待っていると、少ししてエレベーターの扉が開いた。
ほとんどの人はレストランやカフェがある五階で降りたけど、大学生くらいのお兄さんと私だけは降りずに、六階で降りる。
図書館はエレベーターの正面にあった。
エントランスは自動ドアを銀色の門が囲んでいるようなデザインで、上には日本語と英語で図書館の名前が書かれている。
右手の茶色い壁には銀色の返却ポストが設置されていて、その上には図書館からのお知らせが貼られたショーウィンドウがあった。
私は図書館のエントランスに向かって歩きながら、何気なく仕切りの向こうに目を落とす。
このビルの五階から八階は吹き抜けになっているのだ。
五階の吹き抜け部分はインナーガーデンになっていて、大きな窓の前にいくつものベンチが設えられていた。
そのインナーガーデンの側にあるエスカレーターを上がった先には木製のテーブルと椅子が壁際にずらりと並んでいて、そこで自習をしている人をよく見掛ける。
今日も席はほとんど埋まっていて、私は自習する人達を横目に、図書館の自動ドアをくぐった。
図書館はそこそこの広さがあって、一般書や児童書といった本だけでなく、CDやDVDも借りることができる。
私はパンプレットが並ぶ棚の前を素通りすると、新着図書が並ぶ棚の横を通って、一般書コーナーへ向かった。
今日の目当ては妖怪についての本だ。
私があの日見た女の人は決して妖怪じゃないだろうけど、もしあの人に似た妖怪がいて、その妖怪のことを知ることができたなら、あの怖いイメージを打ち消すことができるかも知れない。
今まで考えたこともなかったことだけど、昨日あのお兄さんと話している内にひらめいたから、ちょっと試してみようと思ったのだ。
妖怪の絵はおどろおどろしくて怖いけど、名前がわからない以上、絵を手掛かりに見付けるしかない。




