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私がそう考えていると、お兄さんは続けた。
「今のこの国では不可思議な現象は妖怪ではなく、科学によって説明するものと考えられているし、妖怪を恐れる者も随分と少なくなった。妖怪は、最早ほぼ完全に娯楽の対象だろう。怪談が恐怖を楽しむために作られている以上、妖怪の類を恐ろしく思うのは自然なことだろうが、娯楽のための創作物の一つと思えば、そう極端に恐れる必要はないと思うぞ?」
確かに、私だって本気で妖怪がいると思っている訳じゃないし、妖怪が出てくる漫画やライトノベルを読むことがある訳だから、何だかんだ言いながら妖怪を娯楽として消費している。
それでも妖怪が大の苦手なんて、我ながら矛盾していると思うけど、これはやっぱり子供の時に見た、あの光景が原因なのだろう。
血塗れのお父さんと、あの妖怪みたいな女の人。
あの女の人が誰なのか、それを確かめようと思った。
もう十年も前のことで、今更調べたって何もわからないかも知れない。
全部無駄かも知れない。
それでも、やってみようと思った。
まさか本当に妖怪な訳じゃないだろうし、きっと何かしらわかることがあるだろう。
あの女の人のことがわかれば、あの怖いイメージも消えて、妖怪が怖くなくなるかも知れない。




