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結城さんがあそこまではっきり断言したからには、お父さんは本当に不倫をしていなかったのだろう。
おばあちゃんや度会さんの話とも矛盾しないし、納得できる。
でも、だからこそ引っ掛かった。
「私がお父さんの子だから話せないって言われたんだけど、何でだと思う?」
「そうだなあ……」
お兄ちゃんはスポンジに付いた泡を流すと、同じようにお皿に付いた泡を洗い流しながら続けた。
「その女の人が父さんの腹違いの姉妹だったとか?」
「うーん……確かにありそうだし、デリケートなことだから話し難いのはわかるけど、絶対子供に話せないことかなあ? まあ、本人の許可もなしに話すのは、確かに良くないとは思うけど……」
お兄ちゃんの読みは悪くはないけど、当たってはいない気がした。
だったらどんな理由なのかと訊かれても、答えられないけど。
「とにかく結城さんを説得するしかないよ。手伝ってね」
「はいはい」
お兄ちゃんはお皿を洗い終えると、水を止めた。




