昏き濡羽のヴァンパイア
宵噛帳《よいがみとばり》は吸血鬼に殺された。彼が死に際に放った一撃は、吸血鬼の心臓を貫いたが効果はなく、そのまま息絶える。だが、それが功を奏した。予想外の反撃を面白がった吸血鬼は、帳をただ殺すのではなく眷属としたのだ。かくして帳は隻翼のハーフヴァンパイアに転生する。しかし、とうの本人はそのことを夢だと思い、転生の自覚なく日々を過ごしていた。けれど、ある夜のことである。両翼の吸血鬼に襲われたことにより帳は覚醒を果たし、これを返り討ちにして殺害した。それが切っ掛けとなり、帳は夜の住人として生きていくことを決意する。そして、のちに彼はこう呼ばれることとなった。血咬みの王、と。